Angling Net / The Grotesque Night

衝撃のモンスターフィッシング
滋賀県曽根沼の雷魚

もう20年も前、真剣に雷魚を釣ってた頃があった。ん? そしたら今は真剣に釣ってへんのかって? そうではない。真剣に釣ろうにもライギョが居なくなったのだからどうしようもない。ライギョであふれ返っていた池も川も、今は雷魚の「ラ」の字もないんやから、これはもうどうしようもない。

ところで、アメリカ人は雷魚を「スネークヘッド」て呼ぶらしい。なるほどたしかに蛇の頭や。そしたらナマズは何と呼ぶかというと「キャットフィッシュ」やて‥‥‥見たまんまやがな。

近年、雷魚の生息域が後退してる。この十数年の間に雷魚は確実に減ってしもた。原因はいろいろあるけれど、まず考えられるのがバスとブルーギルの台頭。
ニッポンを舞台にした「アメリカ」VS「アジア」の壮絶な縄張り争いに、雷魚はあっさり敗れしもたことになる。メーターオーバーに成長する雷魚がなんで敗れ去ったのか? もちろん成魚同士なら雷魚に敵はない。おそらく幼魚期にバスやブルーギルに駆逐されてしまうのだろう。なにしろブルーギルの悪食にかかったら‥‥‥卵まで食べてしまうんやからね。

雷魚の産卵期は概ね初夏。5〜7月の間に1対で1000個の卵を産む。そして夏には卵が孵る。
その間、雷魚の親魚は離れず面倒をみ続ける。池の浅いところで体長1〜2cmの仔魚の大群を見つけたら、必ずその下に親雷魚がいる。もしこの親魚を釣ってしもたら‥‥‥一瞬にして稚魚は他の魚に食い散らかされてしまうことになる。しかし雷魚釣りの最盛期は夏。つまり子育て期に釣ってしまうことになる。

しかし、親魚があれだけ必死に守ってても、バスやブルーギルにはかなわんらしい。米軍は多勢に無勢。これではいくら釣人が自重しても大きな効果はないのかも‥‥‥。いずれ雷魚には住みにくい世の中になったものである。
カムルチー (82cm)
Muddy Waters "Cracker"


ところでひとくちに雷魚と言ってもすべて同じ魚ではない。日本には1906年に台湾から移入されたタイワンドジョウと、1923年頃に朝鮮半島から移入されたカムルチーの2種類が棲息してる。
両種の区別は難しい。見分け方は体側の斑紋がタイワンドジョウは小さく3列、カムルチーは大きく2列ある。
他に背ビレの軟条数がタイワンドジョウでは40から44に対し、カムルチーの場合は47から53と多い。釣れたらいっぺん数えてみて。
体長はカムルチーの方がはるかにでかく、1m以上になる。タイワンドジョウは70cmぐらいで成長が止まる。タイワンドジョウは主に近畿地方以西に多く、カムルチーは全国どこにでもいる。釣り人が特にこの両種を選んで釣り分けるということはないけれど、大きいのが釣れた場合はほとんどカムルチーだと思ってよい。

ほかにも同種で沖縄県の石垣島に台湾からコウタイという雷魚の仲間が移入されたが、これは小型で(30cm)釣りの対象魚としては精彩を欠く。私は釣ってみたいけど‥‥‥。


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