Angling Net / The Grotesque Night

外国へ出向いてその国の魚を釣るということ


ニッポンの外来魚、例えばニジマス、ライヒー、カムルチー、バス、ブルーギル、テラピア‥‥‥事情は個々に異なるが、それぞれがそれぞれに、害魚として虐げられてきた歴史を持つ。しかし、魚には何の罪もない。すべて人間の強欲が招いた自然破壊だ。

バラマンディ釣り堀。一日100B(約300円)で何匹釣ってもかまわない。それでもタイでは贅沢な遊びらしい。釣り堀とは言え、バラマンディの引きは並ではない。ヘビータックルが伸される、伸される。アスレチックジムに通うつもりで筋力トレーニング‥‥‥というのはどうだ。

そして今また、タイにバスを移植しようと企てる者(団体)がいる。目先の利益に溺れ、後先のことは一切考えない破壊者だ。実に情けない。実に薄汚い。しかも、それは日本人だという。タイの湖にバスが入ったらどうなるか‥‥‥多くの在来魚が食い荒らされ、住処を奪われ、絶滅に瀕する。結果は火を見るより明らかだ。

Bueng Borapet(ブンボラペッ)というタイで一番大きな自然湖には、毒や電気で違法に乱獲する職漁師がいる。そんな違法すら取り締まれない国も情けないが、ゲームフィッシングをするだけのための魚を他国に持ち込もうとするテロリストのいる国はもっと情けない。

人間の傲慢は地球規模だ。どれだけの動物を惨めな環境に追いやれば気が済むというのだろう。ライオンしかり、ゾウしかり、ペンギンしかり、トラウトしかり、バスしかり‥‥‥。その一方で、シャムタイガーという希少種がいま、静かに滅び去ろうとしている。

その国にしか居ない魚を釣りたいのなら、多少のお金と時間と労力をかけてでも、釣り人は出向いていくべきだとボクは思う。


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