Angling Net / The Grotesque Night ■ 赤いナン川でプラサワイを一匹釣ること 太陽が中天にさしかかる頃だった まさに青天の霹靂だった 突然 吸い込み仕掛けのラインが沖に向かって走り出した ボクは慌てふためきつつ のけ反るように大アワセをくれた 糸が「キュッ」と鳴った 竿が「グイッ」と曲がった リールが「ジジジ」と悲鳴を上げた 巻いては出し‥‥‥ 出しては巻き‥‥‥ そいつはドラッグを何度も引きずり出して大暴れした ボクは狼狽しつつ 筏の上に寝転がった 腕をいっぱいに伸ばした そして 水面でドタバタ暴れる魚のエラに手を掛けた やった とった プラサワイだ! プラサワイは3大目標のひとつだ つまり プラビヤウ プラテポー プラサワイの3種類のナマズを釣ること それが今回のタイ釣行の目標だった うれしさがこみ上げてきた やったー! プラサワイを手に持っている写真が撮りたかった しかし シゲちゃんはドズ氏とブンボラペッに出漁していた はやま氏は体調を崩して部屋で寝ていた 「だれか写真を撮ってくれ‥‥‥」 ボクは魚をぶら下げて走り回った 家の前にいたノックさんを見つけた カメラを渡して撮ってもらった いい歳をして ボクはかなり興奮していた ノックさんがきれいな日本語で 「食べますか」 ときくので ボクもぎこちない日本語で 「食べます、食べます」 とこたえた プラサワイをヒョイとぶら下げると ノックさんはにこにこ笑いながら台所に消えた しばらくして‥‥‥ ボクのプラサワイは トムヤムプラサワイとプラサワイヤーンになって現れた 暑さで胃がやられていたが ボクは食べた プラサワイは美味かった アロイマーク アロイマーク back |