Angling Net / The Grotesque Night

こんなん釣れました



ギギ:21.5cm
場所:武庫川武田尾
記録日:16 Aug 1996
釣り人:ささきたく

武庫川・武田尾のギギ

武庫川の上流に武田尾という温泉がある。ひなびた旅館が二、三軒あるだけの小さな温泉場だ。大阪からJRで一時間もかからないところだが、わざわざ武田尾温泉にいく人は今は少ない。

この温泉場のすぐそばを武庫川が流れている。以前はJR福知山線が生瀬駅からずっと川沿いに走っていたのだが、今はトンネルができて昔のような景色は臨めなくなってしまった。
それで旧の軌道敷はどうなったかというと、廃線になった後はレールが取り除かれて、今はちょっとしたハイキング道になっているのだ。
その廃線跡を歩きながら、少し道をそれると川原に出られる。ここがこれから話すギギのポイントだ。

ギギはネコ科ではなくギギ科である。最大は30cmになるらしい。しかしまだそんなでっかいのは釣ったことがない。
ギギ科には他に、ギバチ、ネコギギ、アカザなどがいるが、どれをとってもめちゃくちゃ気色悪い。
じゃ、どうしてこんな気色悪い魚を釣るかというと、専門に狙ったのではなく、バス釣りのオマケで釣れたのがそもそものきっかけだ。武庫川のこの辺りはけっこういいバスが釣れる。

夏休みのある日、僕は友だち数人とバス釣りに来ていた。アタリがないので、ルアーを小さめのグラブに変えたとたんにギギが釣れたのだ。ファイトはまったくなく、まるでゴミのようにあがってきたのだ。

みんなは気持ち悪がって騒いでいたが、これはけっこう面白いぞ、と僕は思ったのだ。本で調べると、ギギは「ギギ」と鳴くからギギと呼ばれると書いてあったが、あれはどう聞いても「ギギ」ではない。実際は「カリカリ」と鳴くのである。釣った僕が言うのだからこれは真実だ。

釣り方は簡単だ。小さなワームかグラブに軽いめのウエイトをつけて岩の間を引いてくればよい。フックも小さいめにするとかかりがよい。投げ釣りで使う流線型の鉤を応用するのもいい。
注意することは、ギギは動きがトロくさいので、あまりはやくルアーを動かさないことだ。初めて釣れたときも、疲れていて極端にリールを巻くスピードが遅くなっていたと思う。

その後何回かこのポイントへ釣りに行ったが、この「チョベリスロ」メソッドを知っている僕にだけ釣れる。というより、みんなはあんまりギギを釣りたがらないようだが‥‥‥。
真夏のドピーカンでも釣れる魚だから誰にでも釣れる。ただし、居る場所に行かなければ誰にも釣れないということを付け加えておく。

みなさんの健闘を祈る。

1995 summer
解説:宝塚西高2年 ささきたく


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