Angling Net / The Grotesque Night
 
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2004年9月

それから半年後
ボクは再び函館空港に降り立った
初心者マークがまぶしい真っ黒なクルマが出迎えていた
カジカガイドのヨシダコウキだ

ガイドをしてもらうのは実は本意ではない
お膳立てが整いすぎると意気消沈するタイプなのだ
他人の力を借りず自力で釣りたい‥‥‥
しかしコウキならいいか
あいつなら
ボクの気持ちを分かってくれているにちがいない
手取り足取りなどということは決してないはずだ

向かったのはM漁港
コウキが初めてカジカを釣った場所だ

夕刻‥‥‥
それは釣り始めてすぐのことだった
コウキがいきなりカジカを釣りあげた
やや小振りだが
それはまさしくカジカだった

衝撃が脳天を突き抜けた
やられた‥‥‥

さらに‥‥‥
日が落ちて辺りが闇に包まれ始めたころ
またしてもコウキがグッドコンディションのカジカを釣った

申し訳なさげに喜びをかみしめるヨシダコウキ

焦ってはイケナイ
ゲームは始まったばかりだ
しかし‥‥‥焦る
ジグヘッドリグは根に取られてばかりだ
焦る
焦る
ようやくアタリが来たと思ったら

こんなのだったり

こんなのだったり‥‥‥

ソイ釣りなら文句なしのサイズだ
しかし
ボクはソイなんか釣りに来たんじゃないぞ!
知らずのうちに魚を睨みつけているではないか!

釣り初めて3時間
さらにコウキはカジカを連発する
すでに4匹目を釣っている
コウキ自身も
「一度にこんなに釣ったのは初めてです」
と言う
それにしても‥‥‥
ボクの竿はいっこうに曲がらないではないか
焦る
焦る

北大釣りサークルのポールさんが札幌から駆けつけた
ついでにコウキの後輩横山くんも来てくれた
みんなとってもいいやつだ
挨拶もそこそこにボクは釣りに専念する

それにしても根が荒い
ジグヘッドでは釣りにならない
痺れを切らしたように
ボクはコウキからワームとシンカーをもらった
不本意ながらテキサスリグに変更した
些かきまりが悪いがこれで釣れるはずだ
まちがいない

ところが‥‥‥

いきなり良型のカジカを釣るポール氏

「すみません釣れちゃいました〜」
「おいおい、ちょっとまってくれよ」

焦る
焦る焦る
焦る焦る焦る

これはドツボではないか!
これで横山くんが釣ったら
ドツボにはまってとっぴんしゃんではないか!

そして
釣り始めて5時間が過ぎた‥‥‥


‥‥‥つづく