Angling Net / Story of Great Topwater Plugs
Heddon Crazy Crawler
クレイジークロウラーの懺悔
左がOld Wood、右が現在のCrazy Crawler。同じフロッグパターンやけど黒目の大きさがちがう。サイズは今の方が若干大きい。
クレイジークロウラー‥‥‥世界一ひょうきんなプラグ。
ヘドンがプラスチックルアーを作る前、つまり今から40年以上前までに作られた木のプラグの表情はもっとひょうきんやった。「目」がちゃう。
だいたいトップで使うんやからどんな目を描いたってバスからは見えへんはずやのに、このへんのこだわり方がバス釣りの面白さでもある。
ところでこのクレイジークロウラー、ウッドがプラスチックになったところで何ら変わりはない。ウッドの方が泳ぐという人も居るけど、それは気のせいでしょ。
ところで‥‥‥
私、中学校の頃水泳部でクロウラー(自由形)やった。次のオリンピックめざして毎日猛練習に励んでた。ところがチームメイトに私より早いのが2人もおって、どないしてもこいつらには勝たれへんかった。これではオリンピックどころか、学校の代表にもなられへんがな‥‥‥。
そこでええ考えがひらめいた。競争相手の少ないカテゴリーのバックストロークに転向したろ‥‥‥と。つまり背泳に鞍替え。そしたら先輩、同僚を押しのけてすぐにレギュラーになれた。ははは、悩むことなんかなかったんや。
おまけに市内の中学生競泳大会に出場したら3位に入賞して表彰状までもろた。くだんのチームメイト2人は相変わらず張り合うてたけど競泳大会では予選落ち。彼らのカテゴリーは競争相手が多すぎた。
あれから何十年か経って思うこと‥‥‥
中学1年でクロウラーから逃げて以来、今まで要領よう生きてきたけど、なんか胸につかえがあるような‥‥‥
一番頑張らんなん時に逃げてごまかしたことが心残りであるような‥‥‥
遠いとこで忘れ物をしてきたような‥‥‥
必死に腕を振り回わして泳ぐ、クレイジークロウラーのあの姿はじつに健気やね。あの泳ぎには頭が下がるよ。そして私に何かを語りかけてるような気がする。
「お前も根性あったらクロールやってみい」
付け加えるまでもないけれど、オリンピックには出場していない。もちろんメダルも取っていない。
|