Angling Net / Story of Great Topwater Plugs

Heddon SOS Wounded Minnow
ひとくちサイズのSOS

Heddon SOS Wonded Minnow (75mm 22g)

SOSウーンデッドミノー‥‥‥これまたアメリカンなネーミングや。直訳すると「怪我して助けを求める小魚」‥‥‥か。

この形‥‥‥実にうまそやね。真横から見たらソラ豆とかエンドウ豆のさやの形に似てる。バスは菜食主義やないから、さしずめこいつは大型の芋虫かなんかに見えるんかな?

ジェームズヘドンがプラスチックになって、このプラグの名前から「SOS」の文字が消える‥‥‥。
私がトップウォータープラッギングに夢中になり始めたころは、もう釣具店の店頭にはプラスチックのヘドンしかなかった。したがってコイツに出会うのはそれから十数年後、アメリカのオールドタックルショップのオークション‥‥‥これが目をむくような値段やった。
当時は、こんなものをコレクションする御仁が存在することを知らなかった。なんでこんなボロボロのルアーが、当初の販売価格の数倍から数十倍もするのか理解できひんかった。
実際この手のコレクションは相当なブームで、けっこうええ商売になってるらしい。おかげで私みたいに「昔のバスプラグの動きを知りたい」と単純に釣りに対する興味から古いプラグを求める者には、大きな障害になってる。

やっとの思いで手に入れたSOS。馬鹿でかいペラが前後に2枚。これだけでじゅうぶん迫力があった。プラスチックのウーンデッドスプークはこいつの後継。そんなこと、当時の私には知る由もなく‥‥‥。

「カタチには理由がある」というけれど、よくもまあこんな見事なカタチを考え出したもんやね。ヘドンはやっぱり世界一や。

しかし、言うとくけどこいつは泳がへんよ。でっかいペラも見かけ倒し。ボディとのバランスが悪すぎる。プラスチックになって生まれ変わったウーンデッドスプークの方が、はるかにバスを連れて帰ってきてくれる。

オールドプラグには旧き佳き時代の匂いがする。深い味わいがある。今となってはまったく使いモンにはならへんけど、その昔、ジェームズヘドンがこんな楽しい大人の玩具を作り出してくれたおかげで、こっちはもう何十年と悩まされ続けてるわけで、まったく罪作りなオッサンや。
しかも、それがアメリカだけやなしに、世界中にヘドンシンドロームを蔓延させたその罪は、決して軽くはないよ。