Angling Net / Topwater Bass Fishing

recollection of old tool
ABU Reel

Real Reel

嶋津さんからリールが送られてきた。「もうバス釣りはやらないからオークションで売ってほしい」ということだ。私は送られてきた荷物を開けて驚いた。なんと中には私がバス釣りを始めたころに使っていたのとまったく同じリールが入っていたのだ。

二十数年前、私はこの3台のABUリールでバス釣りをはじめたのだ。まるで昔の思い出が、突然里帰りしてきたような懐かしさに襲われた。
それに、その当時はまだまったく面識のなかった嶋津さんが、私と同じリールを使ってトップウォータープラッギングをしていたなんて‥‥‥とても不思議な気がした。

朝からなにもせず、3台のリールを眺めては手に取り、ハンドルを回しては昔の思い出に浸っている。


■ Ambassadeur 1750A

今から25年前、私が始めて手にしたABUリール。赤いボディが斬新だった。

当時、チヌのかかり釣りをしていた兄から同じものを2台もらい受けた。兄によると、近所の釣具屋に1台11000円で取り寄せさせたという。当時のチヌのかかり釣り用のリールとしては破格の値段だったらしい。
バス釣りを始めたばかりの私は、Shekespeareのグラス竿にセットしての池を走り回っていた。ハンドルの軸のところにクラッチを切るボタンが付いていて、その部分がよく故障した。
残念ながら今はもう手元にない。結局2台とも故障(ダイレクトリールとしては使えたが)してし、修理しないまま1台はバザーで100円で買われていき、もう一台は友人にあげた。


■ Ambassadeur 1500C

小さなリールが好きだった。

当時も主流だった5000番台のリールは、大きくて重くてとても使う気がしなかった。当然2500か1500になるわけだが、細身のロッドに載せたとき、2500より1500の方がバランスが良くて美しいと思った。年月を経てもその愛らしさは変わらない。
バスのトップウォータープラッギングから、ナマズ、ニゴイ、ケタバス、ニジマス、アマゴに至るまで、あらゆる淡水の釣りをこの1台でこなした。
残念ながら今はもう手元にない。あるとき、ナマズ釣りに行った川にロッドごと置き忘れてきてしまった。慌てて探しに戻ったが、既に誰かに持ち去られていた。


■ Ambassadeur 4600CB

5600より4600が好きだった。

コンパクトなナロウスプールに憧れた。しかし高くて買えなかった。
当時32800円のリールは私にとって非常に高価なものだったのだ。やっと手にしたとき、嬉しさのあまり小躍りしたのを覚えている。
4600CBは、アンバサダーがパーミングカップになって一番最初にラインアップされたモデルだったと思う。
今までに一番たくさんのバスを巻いたリールで、私にとっては一番思い出の多いリールでもある。おそらく三〜四千匹ぐらいは巻いた。今では滅多に釣れることがない50cmオーバーのバスもたくさん巻いた。
残念ながら今はもう手元にない。七色ダムへ釣りに行く途中、車が燃えたときに一緒に燃えてしまった。


偶然とは言え、あまりにも印象深い出会いであった。さらにもっと偶然なことに、つい昨日、私は十数年ぶりに右手巻きリールでバス釣りをして、もう2台ほど右手巻きリールを手に入れようと思っていたところだった。
オークションで安値で売り飛ばすには勿体なすぎるではないか。よし、私が買い取ろう。その方がきっと嶋津さんも喜ぶはずだ。


24 october 2002 ikasas ikuy


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