Angling Net / Fishing Reports 雹が降った次の日 ジャンキー内藤とバスを釣る3 午前5時‥‥‥暑い一日を予感させる澄んだ空 前の夜、大阪は雹(ひょう)に見舞われた。真っ暗な夜空から大粒の氷の塊が降り注いで、局地的に小さな被害を出した。 そんな中、背中になにやら重い荷物を背負った私は、独り夜明けに向かっていた。淡路島をすり抜けると、煌々と輝く山吹色の満月に照らし出された四国の黒い島影が見えてきた。 「雨降った?」 「ちょっとだけ」 「大阪は雹が降ってんで」 「そうらしいですねえ」 5時00分。我々を載せた12フィートは、暑い一日を予感させる今明けやったばかりの空の下を滑り出した。 ■つんつん ドカンと出るバスはいなかった。つんつん突き上げるだけで姿を見せない。やる気がないのかなあ‥‥‥月曜日は。あっというまに数時間が過ぎた。 そろそろドカンがほしいなあ‥‥‥と、思っているとJ内藤にドカンときた。竿が曲がった。けっこう強い。上がってきたのは40cmをちょっと超える奇麗なバスだった。 「そのプラグええなあ」 「ピクニック!」 「やっぱり釣れるなあ‥‥‥」 ついさっき手渡したピクニックで、もうグッドサイズを釣って笑っている。ジャンキー内藤にかかれば、どんなプラグでも答えはすぐに出る。バナナアンポンタンしかり、フーチークーチーしかり。 スマートさはないけれど、的確で豪快で、まるで漁師のように一切の無駄がない。 ■トップウォータージャンキー新作デビューか? ジャンキー内藤が珍しく羽根モノを出してきた。無塗装のプロトノイジー。 「なにそれ?」 「ユキさんのガンディーニに対抗して作ってみたんやけんど」 バタバタバタバタバタ‥‥‥ けっこういい音出してる‥‥‥と「ドカン」 この夏、あるいは来年、トップウォータージャンキーからノイジープラグが発売されるような気がする。 ■夜明けから日没まで‥‥‥ あと30分もしないうちに真っ暗になる。そんな時間まで釣りをしていた。夜の8時前だった。そこまで私は一匹もバスを釣り上げていなかった。何度もチャンスはあったが、ことごとく不意にしてしまった。 そして‥‥‥これがほんとうに最後のチャンスだというように、ズバッとバスが水面を割って出た。オレンジ色のガンディーニが水面から消えた。 全員の力を込めて大アワセを入れた。きれいに乗った。 「よっしゃ、やっと乗ったよ」 「イエ〜イ、バラさんといてね」 「う〜ん、だいじょーぶ」 それまで出ても乗らない、乗ったらすぐにバレるの繰り返しだった。久しぶりに出た大型雷魚にまでルアーを吐きだされてしまった。ここへきて、ようやくまともに竿を曲げることが出来たのだ。 「う〜ん、竿が曲がるとやっぱり気持ちがええねえ、はははは」 「そんな余裕かましてたらバレますよう〜」 「う〜ん、だいじょーぶ」 よし、そろそろ上げて写真を撮ろうと‥‥‥ポロリ 「あああああ! バレたあああ!」 そのとき、背中で誰かがクスリと笑ったような気がした。 魚釣りとは、一方の先に魚が居て、もう一方の先にばか者が居る状態である。それなのに、一方の先に居るはずの魚が居なくなったら、もう一方の先に居るばか者はいったいどうしたらいいのだ‥‥‥。立場がないではないか。 夜明け前から日没後まで‥‥‥完璧なアホぢやないか。 27 May 2002 Ikasas Ikuy return to topwater bassin' |