Angling Net / Topwater Bass Fishing

気難しい夏のバスを釣る

半年ぶりのジャンキー内藤は、相変わらずご陽気、ご陽気。

「何? そのリール?」
「これ、欲しかったんです」

いつもの道楽に、なんやけったいなリールが付いてる。前から欲しかったシェクスピアだと言う。念願かなって手に入れたらしい。

今時こんな古ぼけたリール使てるやつはおらへんやろ‥‥‥

J内藤は、この古い使いにくそうなダイレクトドライブを相当気に入ってるようすで、まるで自分の子どもみたいに大事に扱う。なるほど、自他ともに認める「道具フェチ」やね。

キャストのたんびに大きな音を立てていっしょに回るハンドルは異様に小さいし、もちろんストッパーもないから、常にバックラッシュせんようにサミングかけとかなあかん。

「どこがええん?」
「これ、欲しかったんです」

J内藤には骨董趣味がある。しかしコレクターではない。古い道具を使うことが好きらしい。そのうちスチールパイプ製のオールドロッドを使うんやろ。

梅雨の後期。気温、水温とも完全に夏になってる。J内藤はこの時期の雨はバスをディープにすると言う。条件としてはかなり悪いと言う。

しかし私の意見は反対で、雨の後は釣れると思う。とくに梅雨期の雨は酸欠状態のバスにとって恵みの雨になるはず‥‥‥。

同じ釣り方でバスをやっていて、意見が違うところが面白い。どちらが正しいとも、間違いとも言いがたい。言えることは、この時期のバスはたいそう気まぐれであるということ。


過去の記憶をひもといても、夏バスが安定して釣れたことは少ない。爆発するか黙り込むか‥‥‥。一定の釣り人が入って、相当のプレッシャーがかかったエリアでは、梅雨の後期から夏にかけてが一番釣りにくい。思うに、バスが最も安定した生活をしている時期で、産卵後、普段の静けさを取り戻してるに違いない。

こんな時は「サイズを落とす」のが定石。しかし、相変わらず1オンスクラスのプラグを投げてる。一般的には「釣る気がない」ようにも見えるが、実は「出たら大きい」という期待がある。J内藤に至っては、キングバサー以外のプラグを結ぼうともしない。

夏の旧吉野川はヒシがところどころに顔を出して、いかにもバスがおるぞという雰囲気なんやけど‥‥‥

この日、J内藤はバス5匹。私は3匹。ヴァンガードに2発と、ノビーズ「イヌカミ」に1発。あ、写真なし‥‥‥ごめん。

突然
西の空が
暗くなったかと思うと
大粒の雨が‥‥‥
梅雨の最後の一搾り
慌てて
橋の下に逃げ込む

すでにずぶぬれ


次の日
西日本の梅雨が明けた



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