Ikasas Ikuy Marvelous World / Topwater Bass Fishing

Spring Bass Come

少年の日に戻る

風の日、突然エレクトリックモーターが謀反を起こす。ウンともスンとも言わなくなる。船上の釣り人は、一瞬、目の前が真っ暗になる。

何の前触れもなくエレクトリックモーターが息絶える‥‥‥

日ごろボートで釣ってるアングラーも、いざ自前の2本足で岸辺に立つことになると、いきなりチャリンコ部隊の少年たちと同等の立場になってしまう。
つまり、どういうことかというと、釣りしてる最中に急にエレクトリックモーターが動かんようになってしもた。まあ、こういうことはようあることやけどね。
『陸っぱりでもやりに行きましょか』
『うむ、それも一興じゃのう』
てな調子で、あっさりボートを降りて陸っぱりに作戦変更。わっはっはっ、この変わり身の早さが身上や。
とはいうものの、日ごろナマクラばっかりしてる中年バサー、足取りは極めて「千鳥」、歩く速度はおもいきり「亀」。
しかも岸辺からのキャスティングはいろいろとリスクを背負うことになる。まず思たところまでルアーが届かへん。無理して肩に力が入ったりしたら、とんでもないバックラッシュ。ミスキャスト即ロストルアーやからね、キャストの精度が問われる。高いルアーを結ぶのにごっつい勇気が要る。
池によったら足場が高かったり、ブッシュに覆われてて薮こぎを強いられたりと、岸辺に近づくのも大変。少年たちはエライなあ‥‥‥。
しかしまあ、平均的ニッポンのバスアングラーは、最初はみんな自分の足で釣ってきたはずや。初心に帰るちゅうことやな。

ところが、この2本足が、エンジンやモーター以上の威力を発揮することもある。

ジャンキー内藤50cmバス釣る
エレクトリックモーターの謀反のおかげで笑う
Junky Naitou & 50.0cm BASS
Hit Plug : Top Water Junky "Tick-Tack"


あそうそう、言うの忘れてたけど、今回いっしょに釣ったのはトップウォータージャンキーの内藤賢二。この男はただもんやないよ。さっきまで私が投げまくってたポイントから、ワンキャストでこんなバス出しよるんやから。まいった、まいった、まいけるじょーだん。


イカザスイクイ20cmバス釣る
エレクトリックモーターの謀反のおかげで笑われる
Ikasas Ikuy & 20.0cm BASS
Hit Plug : Heddon "Dying Flutter"


よっしゃ、ほんだら私もさっきまでジャンキー内藤が投げまくってたポイントで‥‥‥と「ほら出たあ!」のが下のかいらしいバス。なんでやねん!

しかしまあなんやね、これが実力っちゅうやつかもしれんね。それにしてもえらい差や。面目丸つぶれ。こんなことでは橋ふたつ渡って来た甲斐がないがな。このままでは家に帰られへんで。


ちょっと本気だしたらこんなもんじゃ
本音‥‥‥「よかった‥‥‥これでなんとか家に帰れるわ」
Hit Plug : Yappari Heddon "Dying Flutter"

その後も小さい池専門に釣り歩いて、最後にたどり着いた怪しげな池。いや、その池の横を流れてる幅5mほどのドブ川で‥‥‥「凹!」
へっへっへっ、汚名挽回、名誉回復、起死回生の一発。ジャンキー内藤のバスと比べたら赤ん坊みたいなバスやけど、まあ今日のところはこれぐらいにしといたろか。


不自由な陸っぱりで、チャリンコ部隊のバッスンボーイらと同じ視線でバスを釣る。春の日差しを浴びながら、少年の日に戻ってみるのもええもんや‥‥‥。

30 March 2000 Ikasas Ikuy


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