Angling Net / Topwater Bass Fishing

Topwater Pluggin' in Tokushima
雨が降ったらトップ屋がもうかる‥‥‥

Saru Morita's Shallow Trick Surface Bait"
American Dog"

たしかに‥‥‥雨降りはよう釣れる。
とくに水面で釣る釣りには好都合なことが多いね。けどどれぐらいの雨がどれぐらい降ったら好都合なんかは一概には言えんよ。時期にもよるし場所にもよる。甘い雨もあれば辛い雨もあるからね。

サルモリタ‥‥‥

彼はこの一年間一匹もバスを釣ってへんと言う。
釣りに行かへんかったわけではない。釣りに行ってもぜんぜん釣れへんかったらしい。気の毒といえば気の毒やけど、気の毒がることはかえって気の毒かも知れん。自虐の茨道が似合うやつ。サルモリタとはそういう男である。
バスがくわえているのは彼の自信作「アメリカンドッグ2」。改良を加えてよく動くようになった。塗りは申し分ない。
変なポーズをしてるけど、これは幸せを噛みしめているところらしい。難儀な釣りに足を突っ込んでしもたことを後悔してるかも知れへん。釣れへんジレンマをイヤというほど味おうたに違いない。しかしもう大丈夫や。今日一日でこの先一年分のバスを釣ったんやから。


今にも泣き出しそうな鉛色の空からパラパラと雨粒が落ちてくる。水面に小さな笑クボが拡がる。絶好のコンディション。
牛乳瓶の底のみたいな旧吉野川に、トップ屋を乗せたボートを進める。「ドッカーン!」乳白色ににじむ水面をバスが割って出る。
飛沫が上がる。ロッドがしなる。ボートが揺れる。糸が鳴る。バスが跳ねる。プラグが弾き飛ばされる‥‥‥ややおいて爆笑が起こる。

ジャンキー内藤‥‥‥

この日のジャンキーは船頭やった。自分は釣らず、客に釣らせる名船頭に徹してた。ボートコントロールは超一流。流れと風(場合によっては客のウデ)を読んでポジションを決める。客は黙ってプラグを投げる‥‥‥バスが出る。
客優先はジャンキーのロッドの先についているプラグでわかる。バナナ弐千あんぽんたん。こんなドでかいプラグではせっかく出るバスも‥‥‥出た! しかしバレる。2オンスプラグ用のロッド持参。流石。
ジャンキー内藤のええところは天性の明るさ。分厚い雨雲さえ笑い飛ばしてくれる太陽のような男(言い過ぎか)。「雨の日の友にジャンキー内藤」‥‥‥このコピーははイケルかも知れへん。
最近、下顎にヒゲを伸ばしはじめたが家人には不評らしい。水面中毒者ジャンキー内藤、絵になる男である。

この日、キュウヨシは早朝からはじけてた。普段になくはじけまくってた。何を投げてもおっけい、水面は凹凹に炸裂した。
「なんでこんな面白い釣りみんなやらんのじゃろ」とジャンキー内藤が言う。「こんな日がめったにないからとちゃうかな」と答える。
雨の日はもうひとつ利点があるんですわ。なんというても釣り人が少ない。釣り場はオールクリア。まあ、むかしは晴れててもオールクリアやってんけど‥‥‥。

わたなべなおき‥‥‥

好青年‥‥‥と言うと照れるに違いない。ほかにもっと適切な言葉はないやろか。もし日本中の若者がすべてわたなべなおきやったら、日本はもっとええ国になると思う。清く正しく美しい日本になると思う。
わたなべなおきが政治家を志して参議院選に立候補したなら、かならずみんなで投票しよう。
阿波の釣り人らしく寡黙で冷静沈着。その真摯な態度は大阪から来た釣り人を圧倒する。横山ノックはなおきを見習うべきやったな。
バスがくわえているプラグはTWJモブス風(ナオキオリジナル?)

私の心の師匠ラドン奥村がそのむかし、ある雑誌に「雨降り好っきゃねん」というタイトルでバス釣りのことを書いてはった。それを読んで以来、私のバス釣りは雨の日と決まってた。雨が降ったらバスが釣れる‥‥‥いわゆるひとつのセオリーやね。バス釣りに行く前の晩なんか、雨が降ってたら胸がドキドキして眠られへんかったなあ‥‥‥。

レイチューン上原‥‥‥

レイチューンプロダクト主宰。魚の気持ちがわかる男、というと「そんなことありませんよ」と言うに決まってる。しかし何をどうすれば釣れるかを嗅ぎ分ける才能を持ってることはまちがいない。レイチューンのミノーにはそれが反映されているのか‥‥‥。
しかし本日はトップ屋のバス釣りゆえ、ミノープラグの出番はない。ニューブランドのジョンナランからホッコゲナーというプラグを出してる。素晴らしい動きをする。いかんせんサイズが小さい。ホッコゲナーの5/8オンスクラスを待望する。
バスがくわえてるのはJohn AlanではなくTWJチックタック。自分もトップ用プラグを作るくせにここぞというときはTWJで釣る。彼らの信頼関係が伺い知れる。

雨の日はいややという釣り人は多い。うちのクラブのトラやんなんて先祖がネコ科やから、雨が降ったらカッパ着る前に家に帰る。
そらたしかに私もいややけど、釣り人のコンディションに合わせてたら魚は釣れへんからね。ちょっとぐらいは我慢せんと。特にバス釣りは‥‥‥雨に限るね。

羽山哲雄‥‥‥

オレンジフィールドおよび浮浪隊主宰。一見気難しそうで、その実気さくな職人。職人と言うてもプロではない。
バスがくわえているのは自作フーチークーチー。顔は怒っているが本当は嬉しいはず。なにしろ前回のキュウヨシではライギョ一発で撃沈した一人である。しかし本日はお日柄が良ろしいようで‥‥‥。バンバン出る。
午後からは雨が上がって、途端に出が渋くなる。しかし流石は浮浪隊隊長、ラストには二宮善生作"Are Ampomtan"で50cm近いのを出した。

この日、昼頃には雨が上がってしもた。せっかくのシェード効果やってんけどなあ‥‥‥。昼からはあんのじょう出が悪うなった。バスは正直やね。
こうなるとピンスポットをはずしたプラグは無視される。キャストの精度が問われる。針穴を通すアキュラシーが要求される‥‥‥あきまへん。私らそんなウデおまへんわ。やっぱり雨降ってへんとなあ‥‥‥。

Top Water Junky "Vanguard" Lady Bug

ぎょうさん出たけどキャッチしたバスはほんのわずか。出た数の2割にも満たへんかった。
50cm級も3本ほど出たけどね。ぜんぶバラシ。それでもじゅうぶん満足。‥‥‥と言いつつ、今度行くときはもうちょっとバットの強いロッド持って行こかな。


雨が降ったらトップ屋がもうかる


 to topwater bassin'