Angling Net / Topwater Bass Fishing

雨冠が災いしているのか‥‥‥


こんな天気の日は釣り場を独占できるのだが‥‥‥

釣りに行く日に雨が降るという繰り返しが5回続いている。中秋の氷雨は体に堪える。普通の体力では到底持ち堪えられない。さらに雨に打ち勝つだけの強固な気力が必要になってくる。こんなにも頑丈な体と頑固な脳味噌の私を産んでくれた母に感謝する。

駐車場で車にタックルを積み込んでいると、顔見知りのK村さんに会う。何を生業にしておられる人なのかは知らないが、平日の昼間によく見かける。一見ジャーナリストっぽい。

『おでかけですか』
『はい、近くの池まで』
『この雨んなかたいへんですなあ』
『はい、しごとですから』

『ささきさん、釣った魚食べはるんですか』
『たまに食べますけど、たいがい写真撮って逃がすんですわ』
『うちに生のサンマぎょうさんありますねんけど、食べます?』
『食べます』
『ほなあとでヨメに持って行かせますわ』

■釣り場に着くと雨は一段と激しさを増す

春に降る甘い雨ではない。活性を下げる原因になる辛い雨である。降り始めはそうでもない。濁りが入る前の雨はむしろ活性を上げることの方が多い。池の水に酸素が供給されるからだ。しかしこの雨は昨日から続いている。すでに池は薄茶色の濁りが入り始めていた。

作戦は何もない。ただお気に入りのプラグを投げるだけである。オールクリア、誰もいない静かな池で、腰まで池に突き刺さりつつ好きなプラグを好きなだけ投げる‥‥‥それだけで幸福な気分が味わえたら安いものではないか。

池にはもじりひとつない。冷え切っていて生類の気配が薄い。最後にここに来てからひと月たらず、あれほど跳ね回っていたベイトフィッシュの姿が今はまったくない。岸辺を真っ赤に染めていたザリガニの群もない。鉛色の水面には、ただ雨粒の同心円だけが生まれては消えしているだけである。

動きを確かめておきたいプラグのテストをしてみたり、極めて期待の薄い無意味なキャストを繰り返しながら、アウトレットのある土手の所まで回り込む。不思議なことに、なぜかここだけは期待感に溢れていた。いわゆる気配を感じるのだ。

「カポケポ・チャランポラン・カポケポ・チャランポラン‥‥‥」

エキストラスローリトリーブ。ビッグバドのご陽気なチンドンサウンドが水面に響き渡る。この音、バスにはいったい何に聞こえるのだろう。
数投目、流れだしの向こう側に落ちたバドが、ちょうど池の吐き出し口に差し掛かったとき

「凹っ!」
「でた!」

それは躍り出るという感じだった。小さいけれどたっぷりと筋肉で武装された美しいバスだった。

ゲームは完結した。

釣り場で雨に打たれて体を冷やす
家に帰って熱い風呂で体を温める
そして冷たいビールで体を冷やす
冷やす‥‥‥暖める‥‥‥冷やす‥‥‥

22/10/2001
Ikasas ikuy


 Return to Topwater Bassin'