Angling Net / Fly Fishing Today
フライフィッシングは簡単や
少年アングラーに聞くと、フライを振っている人ってすごいベテランに見えるらしいね。たしかにあんなアホほど長いライン自由にあやつるんやから、初心者には神業のように見えるかもしれへん。
しかし、ほんまはごっつう簡単なんやねこれが。どれぐらい簡単かというと、夜店の輪投げで一番前に並んでるプラスチックのウルトラマンのマスコット人形を取るぐらい簡単。やってみたら「な〜んや」て思うよ。
ただ問題なんは、日本のフライフィッシングが、「トラウト」を釣るのが目的みたいに紹介されてきたこと。つまり、ヤマメ、アマゴ、イワナ、ニジマス等を釣るための釣法で、それ以外の魚は釣りの対象やないみたいに‥‥‥。
実はそれが初心者には大きなカベになってる。フライやるんやったら,
何が何でも先ず渓流へ行かなあかんみたいに思てしまう。そしたら場所は不案内やし、そんなややこしい場所であの長いラインが扱えるやろか‥‥‥と疑心暗鬼に陥ってしまう。
実際FF関係の書籍を見ると、サーモン・トラウトの釣り方は詳しく書いてあるけど、バスとかブルーギルとかナマズの釣り方なんかほとんど触れてへん。まちごうとるよそんなもん。
フライでバスやブルーギル釣ったらあかんとゆう決まりはないし、むしろバスやブルーギルの方が手近で安上がりにFFを楽しめると思うんやけど‥‥‥。どうも日本のFFの先駆者はプライドが高いんか、そうゆう魚を雑魚扱いしてるみたいでいかんなあ。
兎追いしかの山、仔鮒釣りしかの川‥‥‥っちゅう雰囲気は、今のニッポンのFFにはない。
ところが最近、大型釣具店なんかで「フライセット」なるものが売られてるのを目にするようになった。どんなんかというと、4〜5番手あたりのフライロッドに、リール、ライン、リーダー、チペット、おまけに10〜16番ぐらいのドライ、ウエット、ニンフフライ等がセットになって、1万円位で売られてる。
試しに買うてみたら、ロッドはやや硬めやっやけど、リールもラインもなかなかのコストパフォーマンスやね。これやったらなんとか中学生にも買えるし、バスやブルーギルを釣るのに十分。
さて、初心者は何から釣り始めたらフライフィッシングが好きになるか?
はっきり言うて、バスやナマズはいきなりからではむずかしいね。川のオイカワもぎょうさん居てるし簡単に釣れることは釣れるけど、極小サイズのフライ使わなあかんから、これも簡単とは言いにくい。
そこで登場するのがブルーギル。
![](jpg/f-gil1.jpg)
ここではサイズは不問、とりあえずフライタックルでブルーギルを釣ってみよう。タックルは前述のオールインワンのセット。場所は野池。フライはウエイトの入ってないフライなら何でもOK。
フライを落とすポイントは水草などが繁った浅場、つまり岸ぎわやね。岸ぎわを狙うということは、キャストは殆どせんでもええということ。これなら初めての人も安心やね。
ラインはロッドチップ(竿先)から1mも出てたら十分。だいたいロッドの長さが2m強やから、ラインは出さんでもリーダーの長さと合わせたら半径5m以内はキャストせんでも釣れる。
それを軽く振ってフライを落とす。ブルーギルがおったら一発で食いに来る。サイトフィッシング、つまり見釣りやね。見てる間に5匹や10匹はすぐに釣れる。何匹か釣って慣れてきたら徐々にロッドチップから出すラインを長くして攻略範囲を広げる。あ、いっぺんに出しすぎたらあかんよ。
とにかく釣ることから始める。何が何でも釣ること。釣らんことには釣りの楽しさが実感できひんからね。
渓流でFFを始めた人は一匹釣るまでに何日も何カ月もかかる。ヘタするとワンシーズンの間に1匹も釣れんこともある。
野池のブルーギルから始めた人は一匹釣るんに5分もかからへん。この差は大きいよ。変なこだわりが釣りの面白さを半減させてる例も少なくないからね。釣る楽しさから始めたら、たいがい飽き性の人でもハマるんやねこれが。
その後の細かいテクニックは市販のFF教書で研究するもよし、ベテランに教えてもらうもよし。
とにかく一匹!
がんばっとくなはれや!
9 May 1997
Written by Ikasas Ikuy
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