Angling Net / Trout Fishing

誰でも釣れる初心者向きの渓
天川のトラウト

天川ではええサイズの岩魚(27.0cm=エルクヘアカディス#12)

10年ほど前、まだトラウトの習性なんかかいもく知らんかった頃、足繁く通うたんが奈良県の天川。山深い所にあるこの川は近畿にしては珍しいハイランドリバーで、真夏でも釣りをしてて汗をかくことなんかぜんぜんなかった。
そんな快適さが気に入ってしもて、暑い夏の間はここで過ごしてた。都会の喧噪とか真夏の炎天下の不快さから逃れるのに、ここは私の絶好の避暑地やった。

解禁間なしの春先は餌釣りが多くて釣りづらいけど、4月も後半になるとフライ屋の天下になる。イブニングライズだけをやりに来る人もけっこう居る。流速も緩くFF初心者にはちょうど手頃な渓。小型ながら岩魚、アマゴも釣り飽きん程度に釣れるし、禁漁区から逃げ出した巨大な虹鱒(二尺はある)が飛び出してくることもある。

川沿いの食堂「かどや」のお薦めはカツ丼。山の中野食堂にしてはなかなかイケる。まちごうてもうどんは注文せんこと。オーサカンやサヌキーズにとって、あれは「うどん」やないからね。

天川と言えば久保君の話をせん訳にはいかん。彼はこの川の主で、釣りのビデオやテレビの釣り番組なんかで何回か登場してる。何回かいっしょに渓流毛鉤釣りをやったことがある。動きそのものが「山猿」のようで野性的。軽快かつ狡猾なんです。「狙うた獲物は必ずしとめるでぇ」‥‥‥そんな釣りやった。岩から岩へと身軽に飛び跳ねて、次から次へと岩魚をポンポンと引きずり出していく‥‥‥それはそれは見事な技やった。最近はちょっと太ってきて以前の素軽さは影を潜めてる。

大阪からもほど近い渓で岩魚が簡単に釣れるということでは、ここを置いて他にはないと思う。新緑の中でゆったり毛鉤を振る‥‥‥贅沢な気分が味わえるよ。


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