Angling Net / Fly Fishing Today

>゜))))彡  by Yasunori Sakagami  >゜))))彡

■最終章

げんこつが入ってしまいそうな大きな口はいかにもランカーらしく、片手で持ち上げるに はちょっとつらいほどの太ったバスでした。発達してきた歯が指に食い込みますが、うれし い痛みといえました。ルアーならば口をフックが貫通しているところですが、私が巻いた極 大マラブーストリーマーはフライサイズはでかくてもフック代をケチってレギュラータイプ の#12を使っていたので広い口の中にちょこんと申し分けなさそうにかかっていました。 魚の大きさとフックのギャップからフライで釣った実感が湧いてきます。未だだかつてこん なデカいバスを釣ったことのなかった私には感無量といったところでした。ところが、ふとここで、自らの大きな過ちに気付きました。

「メジャーを持っていないっ!オー・マイガーッ!」

せっかく大物を釣ったのに、インスタントカメラも持っていませんでした。ルアーフィッシングでは必ずメジャーは持ち歩いてたのに。

「ああ、誰かにこの感動を伝えたいのに!(正しくは「自慢したいのに。」)」

しかし、まさか持ち帰るわけにもいきませんし。バスをぶら下げたまましばらく考えてしま いました。 一時は本気で持ち帰ろうかといろいろ画策しましたが、原付を片手運転して、残った方の手でブラックバスをぶら下げていくしかないようなので、思いとどまりました。

仕方がないので、手のひらで魚のサイズを測ることにしました。ひとあた。ふたあた。手のひら2つ分より大きかったと思います。この概算が微妙で、いまだに40cmあったのかなかったのか、悩んでいます。ひょっとしたら45cmぐらいかもしれないし、39cm程度だったのかも知れません。
魚をリリースしてから、すぐに納竿しました。今日は十分な戦果でした。下宿に戻るとちょうど、友人が洗濯物を取り込んでたところでした。当然彼は興奮覚めやらぬ私の最初の餌食になりました。
次の日、大学の卒業研究でデータのファイル名を「LINKER」と名づけたり、デカい バスはその後一週間私を幸せにしてくれたのでした。


(完)

Written by Yasunori Sakagami >゜))))彡


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