Ikasas Ikuy Marvelous World / Fishing Reports



北海道・忠類川のサケ釣り

15/Oct/1996‥‥‥イカザスイクイ

去年(1995年)から北海道の忠類川で鮭釣りができるようになった。
カナダやアラスカまで行かなくても日本の川で鮭が釣れる!‥‥‥と、テレビや雑誌はええ面ばっかり強調してる。はたしてそれを真に受けてええもんやろか‥‥‥?
「これは大いに疑問やぞ」

そこで1996年9月23日から1週間の予定で出かけてみた。百聞は一見に如かず。ほんまにそんな夢のようなことがあるのか‥‥‥かなり期待を込めて出かけた。

大阪から飛行機乗り継いで、夕方やっと標津に到着。これだけでほぼ一日つぶれた。あーしんど。やっぱり北海道は遠い。
さっそく荷をほどいて、さあ、釣るぞ! と川へ行ってみたら、忠類川は雨による増水で、きつい濁りが入ってる。で、いきなり「釣り禁止」の立て札。
「ちょっと待ってえな、これぐらいの増水や濁りやったら今まで何べんも経験してるで。なんで中止になるんや?」

「ん?‥‥‥安全第一」か?
「雨も止んでんのになあ‥‥‥まあしゃあないか」と宿にひきあげることに。

二日目の朝、今日こそはと勇んで川へ行くと、なんとこの日も中止。増水で危険やということらしいけど、まあ、魚釣りにお役所が一ちょう噛むとこういうことになるんやろね。だいたい「サケ・マス有効利用釣獲調査」て言い方がいかにもお役所的や。

ガックリして宿に戻ると、民宿のおばあちゃんが「気の毒にねえ、あとで役場に行って、明日は釣りをさせなさいって文句言ってきてあげるよ」と慰めてくれた。

結局、川に入れたのは北海道へ来て3日目の朝。宿のおばあちゃんの抗議が効いたのかどうかは定かではないけれど‥‥‥。

河口近くの管理小屋の前には、道内外の釣り人でごった返してる。長い行列の最後尾に並んでやっとお役所的手続き完了。
「なんや、まるで職業安定所の受付みたいやな」

受付を済ませてルアー・フライ専用エリアへ行く。去年はなかったが今年から専用エリアができたらしい。しかし実際に釣ってみると釣り人の数のわりにエリアがめちゃくちゃ狭い。フライを流すとすぐに両隣の仕掛けが絡む。
「こらまるで釣り堀やな」

ルアー・フライエリアでは殆ど釣りにならへんことがわかる。多分一年目にエサ釣りとルアー・フライ釣りでトラブルがあって、それでエリアを分けたんやと思う。けど狭すぎる。ほんまに。これが広大な大地「北海道」やなんてぜんぜん思えまへんな。

しゃあないからエリア外(フリーエリア)へ行ってみたら、おるわおるわ、恐い顔した厚かましそうな地元のエサ釣りのオッサン。ええポイントはぜんぶ占領されてた。彼らが釣ってるポイントに近づいていったら、まだ竿も出してへんのにえらい睨まれてしもた‥‥‥。

産卵に川遡る魚やったら北陸のサクラマス釣りの経験でよう知ってるけど、のぼってきた魚が留まる場所てある。しかしそうゆうええポイントはぜんぶ地元のエサ釣りのオッサンが場所を占領してる。

やっと釣りのできそうな場所を見つけて釣り始めたら、すぐに件のオッサンが寄ってきて、サンマの切り身やら赤に染めたイカの付いた仕掛けを上流側から流しよる。これは明らかに妨害や。そうなったらもうフライキャスティングなんかできひん。ここまできて喧嘩なんかしたないしね。よそもんのフライ屋は退散するしかないみたいやね。

それからここのルールやけど、なんで「リリース禁止」なんやろ?
なんでキープして殺してしまわなあかんねやろ?
そら「調査」やねんからどんな魚がどれだけ釣れたかとゆうデータは必要やと思うよ。しかしそれやったら釣り人に依頼して自主的に報告させたらええんちゃうの。
せっかく産卵しに上がってきたサケをむざむざ殺すようなルール作って‥‥‥ほんまに何考えてるんやろ?
ふ化事業がうまいこといきすぎて鮭があまってるからか知らんけど、魚の命を粗末に扱うようなルールはぜんぜん必要ないやんか。いやほんま、これだけは止めてほしいわ。

しかしルールはルールやからね。守らなしゃあない。言うとおり正直に釣った魚をキープしたら朝の8時にはリミットの5匹を釣ってしもた。つまりその日の釣りを終了せんとあかん。
「なんか、しょうもないなあ」というのが正直な気持ちやね。朝の8時から日が暮れるまで、いったい何して暮らせというんやろ?

魚はアホほどおるから5匹や10匹は見てる間に釣れる。浅瀬なんかサケの背中が水面から出てて、サケ踏みながら対岸に渡れるぐらい。もう因幡の白兎状態やからね。

で、釣った魚をぶらさげて(たまたま5匹のうちメスのカラフトマスが4匹釣れた)検体所へ持って行ったら係の人に
「おかしいなあメスばっか? オスも釣れたはずなんだけどなあ」
て、ジロジロ顔見られてイヤミたっぷりに疑われてしもた‥‥‥。
こらいったいどうゆうこっちゃねん?(あんまり腹がたったからもうちょっとで噛みつくとこやった)

つまりこうゆうことなんや。地元の連中は、オスのカラフトマスはたいがい「闇」でリリースをしてる。闇いうてもけっこう堂々とね。私が釣ってたポイントに割り込んできたエサ釣りのオッサンなんか、平然と「メンタならいいんだあ」言うて、マスの腹をナイフで割いて卵だけをビニール袋に入れてた。腹割かれたマスは河原にポイ。
そのオッサンはけっこうやさしそうなええオッサンやったけど、やってることはみんなといっしょでデタラメや。

川原は腹割かれたメスのカラフトマスの死骸でいっぱい。そのうち野鳥なんかがつついて自然に帰るんやろけど‥‥‥。カラフトマスにしたらものすごい理不尽な死に方やんか。
で、オスのカラフトマスはどうかとゆうと、こっちは殺されんですんでる。頭を蹴っとばされながらも川に戻されてたね。
エサ釣りのオッサンらは口々に「川に入ったサケ・マスは肉が不味いんだなあ」と言いながら、釣っては腹を割いて卵を確保し、釣っては頭蹴っとばし瀕死のまま川へ戻す‥‥‥。「ええ加減にせえよ」て、腹立つのん通り越して呆れてしもたね。

北海道の人間は北海道の自然は後退してるという。そう言いながら平気で自然を破壊してる。言うてることとやってることがバラバラやないか。

これが地元の釣り人から足蹴にされ蔑まされているカラフトマスのオス。しびれますやろこの魚体。どないです、この背中のセッパリ具合。ほれぼれするなあ。
こんな素晴らしい魚やのに、食べるためだけに釣る輩には、これがゴミに見えるらしい。なさけなすぎて言葉にならん。こんな程度の低い輩(北海道の釣り人の中の一部の愚かな輩)をこの川から排除せんことには‥‥‥どうにもならんやろ。
この事業を取り仕切ってるらしい○○○スポーツフィッシング協会は、このことをどない考えてるんやろ。スポーツフィッシングてどうゆうことかわかってるんやろか。「この記事の掲載を即刻中止せよ」て、掲載されたら困るような、後ろ暗いことでもあるんやろか?

川の管理人らは実はみんながそうやって「闇」でリリースしてること知ってる。つまりルール違反を知っときながら見て見んふり‥‥‥極めて役人らしいやり方や。日本全国これだけは一貫性がある。
こんなことしとったら、いずれ北海道の魚も自然も滅びるやろな。不自由なルールのうえに地元のエサ釣りのオッサンの不法行為。見て見んふりのええ加減な管理人。ちゃんとした理由も説明せんと、この記事の掲載中止を言うてきた○○○スポーツフィッシング協会。なんか変なもん見に北海道まで行ってきたみたいや。

この辺のルールとかシステムが改善されへんのでは遠来の釣り人の足は遠のくよ。ごっついきつい言い方かもしれへんけど、標津町がこの釣獲調査を観光事業の一環としてやるんやったら、マナーの悪い地元のエサ釣りのオッサンを川から排除せんとあかん。

それから「リリース」禁止ちゅうような不細工なルールは話にならんね。とにかく今のままではぜんぜんあかん。もうちょっとしっかりした人が音頭取れんのかな‥‥‥て思うね。

たしかに忠類川の釣りそのものは最高にエキサイティングやった。関西におったんではこんな経験は一生でけんやろ。できたらもっとぎょうさんの釣り人にこの素晴らしいファイトを経験させたげたいと思た。
この先、道内の他の河川でもサーモンが開放されることと思う。今この忠類川で起こってる「問題」(あえて「失敗」と言うとく)をええ経験として、次なる向上発展を期待する。


なお、この事業に関係する方々にはたしかに耳障りな発言かと思うけど、決して後ろ向きの発言でないことをご理解の上、どうかお留め置きいただきたい。
なお、この件でご意見のある方はメールにてお願いします。


15/Oct/1996‥‥‥イカザスイクイ



 Hard Trout Fishin'