Angling Net / Shogawa Gokayama

越中五箇山庄川のトラウト (7/7)

城端・山田川の堤に咲く桜
前日の反省から、この日は4時には前田を抜け出して猪谷の曲がりに陣取る。放射冷却現象で痺れるように寒い。吐く息が白い。

「しかし、やたら川の音が大きいのは気のせいやろか?」
「もしかして水止まってないんちゃうやろか?」

‥‥‥と、不安がよぎる。
猪谷へ下る急な坂を下って行くと、案の定、厭な予感が的中。猪谷の曲がりはゴーゴーと水が出ていた。これではまったく釣りにならん。

「なんでこんな朝早よからダムの水出してんねんやろ」

あきらめて前田へとって返すと、富山市からきたルアーマンが一名。

「五時に来たら水出とって釣りにならんっちゃ」

と言いながら稗飯をあてにビールを飲んでいた。
ははは、すべては昨日朝寝坊したのが悪かった。こんなことやったら今日朝寝坊しとったらよかったと、嘆いてみても後の祭り。そう言や昨日は福光の祭り。むかで獅子が練り歩いてたなあ‥‥‥。

まあ、贅沢言うては切りがない。数こそ釣れへんかったけど、悪い釣りではなかったし、結構楽しめた。
よーし、今回はこれぐらいにしといたろ。

五箇山を降りて福光に向かう途中、山田川の堤に大きな桜が満開の花びらを輝かせていた。季節が春であることをもう一度噛みしめながら山を下りた。


17 April 1997
Written by Ikasas Ikuy


 Hard Trout Fishin'