Angling Net / Hard Trout Fidhing

地獄の階段を下るとそこは天国?

今から十数年前。13フィートのカヌーを担いで、果てしなく長く、恐ろしく急な階段を下りた。下まで降りたらまた駆け上がり、重いエンジンとタックルを抱えてまた階段を下りた‥‥‥。
奈良県Sダム。何年か続けて通い、尺に満たないブラウントラウトと、尺を少し超えるギンケアマゴを釣るにとどまった。
懐かしくも切ない思い出の滲むSダムである。

そんなSダムに熱き思いを馳せ、Yasu Hottaが挑む。
Sダムはまだ釣れるのか。体力的にも、もう私は行くこともないSダムだが、やはり気になる‥‥‥。
佐々木さんこんにちわ。
掲示板に書いた通り、どうにかSダムで最初の夢"40cm up"を達成出来ました。お守りピクニックのお陰ですね。次の夢は45upのギンケとブラウンです。

深夜に帰宅しギンケを三枚におろしていると、腹の中にまだ育っていない小さな卵巣が‥‥‥。結構辛かったです。
「ゴメンな、産卵出来んかったな‥‥‥」
「全部食べるから許してな‥‥‥」
と少し罪悪感がありました。ウチの子供が美味しいと言って食べてくれたので、複雑ながらも嬉しかったです。


ダムサイトに到着したのは5時前。取り敢えず一服、義兄はタバコ吸わないから車内禁煙が辛い。ダムサイトには「竣功 昭和37年」の文字が。竣工じゃなく竣功・・功績なんやなぁ。やはり凄い工事やったんですね。

上流部管理棟のあるいつものボートを下ろす場所へ。毎回ここに来るとウンザリしますね 即泣きが‥‥‥
この断崖絶壁に階段作った人はえらい!なんて思う気も当然起こらず。地獄への階段を見下ろす。相変わらず一番下は見えない。とんでもない階段ですね。

まだ暗いので様子を見つつ、5時前頃からアルミを下ろす。生命の危険を毎回感じる瞬間。 どうにか今回も死なずにボートを出すことが出来ました(汗)。
5馬力のエンジンじゃないと死ぬっす。2往復でクリア。一息入れ5時半に出船。ふぅ、 おっとピクニックを持って‥‥‥。

ボートを出すとライズがちょこまか始まっていました。ベイトなのかハッチにライズしてるのか? ボートは他になし!
GWに貸切。池原の大渋滞を見ていたから、僕には期待感が高まるばかりやったけど、義兄は「ライズは珍しい」って事でやや嫌な感じだったらしいです(以前ギンケが背中出してボイルしていた時はボーズ)。

一番期待出来る朝マズメ時に確実に一本取ろうと、バッセルスプーンでアルミを出した場所から本流支流の分岐点まで下りながら流す事に。
義兄は僕に自己記録更新サイズを釣って欲しいらしく(今まで外れっぱなしだった。昨年は坂本空振り・奈良風屋ダム豆ばっか。その前年は涙)、前回自己ベスト更新のバッセルを強く勧められたのでミノー(ブラウニー)は休憩。
事実バッセルは強いですね。坂本は外道少ないので解りませんが、他の場所だとミノーはアピール強いみたいでハスやウグイ、バスが来てしまう事が多い気もする。

「本流支流分岐のエリアをボートが抜ける頃に来る!」
その合言葉に気合も入る‥‥‥が、静まり返った岬を通過。
「やっぱ・・おかしい」
この時期のギンケはベストシーズンだと思うので、レッドコアを3色〜4色で流すのが王道!と、この時のタックル1本は3色もう1本は4色で流していました(共にバッセルスプーン)。

期待のポイントを外しましたが、実績ポイントは続く。そのままダムサイトへ流していく。ダムサイトのコンクリの壁にデカイブラウンがへばりついている。ダムサイトのコンクリ壁際を流し始めると‥‥‥次の瞬間!!‥‥‥何も起こりません(涙)
超実績有りのこのダムサイトもノーバイト。二人の口から「おかしい・・」「マジやばい・・」といった不吉な言葉が漏れ始める。

そのまま分岐点とダムサイトを数回流すも‥‥‥やばい。無反応。やはりややササ濁りの状況・朝の冷え込み・振り出した雨。パターンが読みにくいが、ワンバイト貰うまでは相手が見えない。おまけに風も出てきたので朝のライズを無視し、今日は深い!と5〜8色で流しややディープを狙うことに。
実績のバッセルがアカン時はミノーが打開してくれる!って事で、アピールを強化と考え、 ここでブラウニー銀黒ピンクベリー9cmを投入。義兄もややアピール系で大きめのバッセルをセレクト。

上流に向かい分岐点を越えまたも期待の廃校前のS字エリア。「ここで45上がってるんや」の声もむなしく、すでに9時を回り重い雰囲気。
  エリアを変え流すコースも微妙に変え‥‥‥しかし。目の前には落差30〜40mの滝。中国を思わせる巨石の山。延々続いていくガレ場湖面を横切るつり橋。僕は景色を眺め「この雰囲気だけでもオッケー」と明るく振舞う。が2人とも言葉数は少なくなる。
6時から8時に一番期待が高い時間。前回もこの時間にバイト集中。この時間に外すと非常に「やな感じ〜」。義兄の「以前同じような状況で3艇のボートが朝から全然当たらなかった時は10時過ぎに45cmが1匹だけ来た」に期待を賭ける。

そこで事態を打開すべく9時半頃に動くことに。さらに王道を外してみる事に‥‥‥。反応が無いから凄く勇気も要るっす。
思い切って狙いは6色〜9色のディープ。ドジャー(集魚板)もシルバーのノーマルなタイプからスピナーベイトに付いている外郎みたいなペラが3個(金)も付いているタックルハウスの廃盤派手派手ドジャーに。
「坂本には合わんのとちゃうかな?」と言われた若鮎9cmをセレクト。兄貴はドジャーをやや小さくして逆の方向で魚を探す。しかし僕はなんとなく来るような気がしてました・・ まぁ何度もそう思ったんですけど。第一印象で買ったこの若鮎。で・・流し始めて30分も経ってない時に
「ジャ―!!」と短いが鋭い悲鳴が。
(3連ペラなのでドラグをやや締め気味にしてた)
やっと「来ぃたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」と2人で絶叫(笑)
本来なら「ジャ―――――――!!!!!!」なんですけど、小さいのか?と一瞬思う間もなくティップが‥‥‥。すぐさまホルダーからロッドを抜いてドラグを締めて追い合わせ! その次の瞬間えらく離れた後方でジャンプ!
「なんか魚が跳んでるなぁ・・あ・・俺の魚か!」と苦笑。この時6色。興奮のあまりロッドを立てていたので2度目のジャンプ。ロッドを寝かせ、慎重に、慎重にとフっと軽くなる。横走り‥‥‥慌ててラインを巻く。

掛かり所はどうだろうか?と少し「バレ」の文字が頭に。そして巻く。そんな事を何度繰り返したか・・ようやく銀色の魚体が‥‥‥
ネットを用意するとボート際の最後の突っ込み!底へ底へ右へ左へ。これで良く外れるので テンションを掛けつつもややティップを送って警戒しつつ耐える。ようやく浮いてきた。ネットが入る。
「よっしゃ――!!○≒!※★!!!」とにかく叫んだ・・ようです(笑)

何度見ても美しい銀色の魚体・・背中はエメラルドグリーンを薄くした感じ。鰭は大きく発達し、本当に美しい魚。ブラウニーは下アゴのええ場所に、フロントフックががっちりフッキングしていました。
フックを外し義兄と握手。手が震えて、いや体中が震えていました。久しぶりの感動。体中の緊張感が抜けフニャフニャになる。
義兄の「勝利の一服は?」で思い出したようにタバコを‥‥‥手が震えて中々火が着かない。時計を見ると10時を少し回った所。4時間半のノーバイト・・メイクドラマはやっぱりありました。

ギンケ 40.0cm 奈良県S湖 釣り人:Yasu Hotta

その後は僕にとってはどうでも良い時間になってました。義兄と話しをしてギンケはもう出ないやろ・・・と。ブラウン狙いに上流へ・・そこで若鮎ロスト(苦笑)。
その前に、一度流し始めの時に横から40位の茶色っぽい魚体が突っ込んできました。結局続かず・・12時前に帰着の最後の一流し。帰着場所付近で25cmクラスのギンケを追加しましたが、僕にとっての今年の坂本はすでに完結していました。 また来年・・45up(50up)とS湖ブラウンを夢見て‥‥‥

今回のヒットタックル
リール:アブ7500C3
ロッド:攻鯛(笑)3.3m
ライン:レッドコアライン16ポンド
リーダー:忘?(^^;多分8ポンドか10ポンドです
ドジャー:タックルハウス 3連ペラ(金)
プラグ:ブラウニー9cm若鮎


2002 goldenweek
レポート&写真 : 堀田 恭史


 Hard Trout Fishin'