Angling Net / Fishing Reports

渓流解禁というのに‥‥‥
管理釣り場でブルックを釣ること

生まれて初めて釣ったブルックトラウト (29cm)
Ray Tune 渓流用ミノー 55mm, 2.4g



管理釣り場へ行かんようになって久しい。
十年ほど前までは「練習」と称してあちこちの管理釣り場へ足しげく通ったもんやけど‥‥‥。

近畿一円の管理釣り場はほとんど釣り尽くした。しかし、満足できる釣り場はなかった。足が向かんようになって何年にもなる。理由は「おもしろないから」。
しかしこれは正直な言い方ではない。実際、管理釣り場であろうと、自然渓流であろうと、釣りそのものを楽しんでたことは事実で、それらを区分をする必要はどこにもない。
ならばその「おもしろない」は何に起因するんやろ‥‥‥おそらく、釣り人の多さやかれらのマナーの悪さではなかったかと思う。

私は自分自身がマナーの良い釣り人やとは決して思てへん。人はそれぞれ、多かれ少なかれ非道徳的な部分を持ち合わせてる。人数が増えれば増えるほどそれは露呈する。
「高い料金を払うてんねんからアタリマエや」という意識が釣り客にはあるんやろか。遊技場感覚でやってくる釣り人も多い。けっこう平気でゴミを捨てて帰る。
管理釣り場の河原には自然渓流に比べるとたしかにゴミが多い。川底には必ずと言うてえほど色とりどりの空き缶が沈んでる。当然、管理釣り場なんやから管理されておられる人がいて、清掃は定期的にされている。にも関わらず、また新たなゴミが捨てられる。

ゴミだらけの川で釣りをするのは悲しい。

さて、渓流が解禁になったというのに、管理釣り場で釣りをするというのはなんやアホくさい気がするけれど、せっかっく来たんやから釣りを楽しむことにする。
しかしマスはなかなか釣れへん。釣れてもイロやカタチの悪いマスばっかり。鼻は潰れてるし、尾鰭はウチワみたいに丸いし、胸鰭が付け根から欠落してる。狭いコンクリの水槽で飼われてたんやからしょうがないけれど、これでは渓流釣りの気分なんか到底味わえへんよ。

そんなとき、一匹の岩魚が竿を曲げた。独特のクネクネとしたファイト。背が淡い紫紺で大粒の白斑がちりばめられてる。今までに見たことのない岩魚‥‥‥聞けばブルックトラウトというらしい。図鑑でしか見たことがなかった。尺に少し足らんそれは、各鰭が小さいながらピンと伸びていかにも健康そうで美しい。

最近は、管理釣り場も客寄せにいろんな魚を入れてるらしい。シルバーサーモン、ブラウントラウト、イトウまで居るらしい。


レイチューンに来たこの一匹のおかげで、ちょっとは気分が晴れた。
一瞬、春の里川や周囲の野山が輝いて見えた。
この次私が管理釣り場に来るのは何年後やろ。いや、もしかしたらこれが最後かも知れへんなあ。


16/3/2001 Ikasas Ikuy


 Hard Trout Fishin'