Angling Net / Michinoku River Report

初めての尺上山女魚
text and photograph by Daisuke Ogawa


僕は去年まで尺上の鱒を手にしたことが無かったんです。
この2年とにかく川に通いました。
会社に行く前にも何度も川に通いました。
同行者に譲ったポイントから尺を出されたこともありました。
不運というかなんというか・・・
とにかく僕には尺サイズが出ないんです。
数は釣れるんですけど。
去年と一昨年はボーズ無しなんです。
でもサイズが出ないんです。
行っても8寸〜9寸。
尺という大台に手の届く魚を手にするチャンスに中々恵まれなったんです。
今年もダメかと半ば諦め気味にラストチャンスの日を迎えました。
しかしようやくその日にソイツはやってきました。


その日は全日に雨が降って渇水気味だった川が本来の流れに近づいた流れになってました。
水の色は飴色のような笹ニゴリ。良い色です。
この時期の魚は産卵を意識して遡上するので魚止めまで到達してる。
そこはまさに魚止めの滝の下。
水量も適当、ただ滝からの風が邪魔やな。
僕は馬鹿のひとつ覚えでブラウニーを結んでました。
2g程度のバルサミノーはこの風じゃツライな。
でも今年はこれで通したしとにかく行ってみよう。
滝からの風に負けないようにライナーでキャスト。
トゥイッチトゥイッチ
1投目から25オーバーのヤマメがミノーに絡み付いてくる。
2投目もまた・・・
3投目でちょっと短めのトゥイッチングをかけるとガツン!と大きな衝撃が。
グググググとヤマメの独特の引き。
その日は初卸の今まで使っていたのより柔らかい竿なので良く曲がってる。
カーディナルのドラグもジジジジと滑った。
水中でギラギラと魚が光った。
ん?想像以上にデカイ!!
グルグルグルグルとヤマメ独特のローリングで糸を体に巻きつけようとしてる。
あ〜 ヤバ〜 リアフックしか掛かってない!
バレるなよと思いながら竿とリールでかわしていく。
余程焦ってたのかネットを背中にかけてたんだけどそれを手に取る余裕が無かったんですね。
急いで岸に下がってそのまま岸にずりあげすぐに竿を投げ捨て魚を抑えつける。
獲った!
こりゃ行ったやろ〜〜
体高も高いし婚姻色は入ってるし鼻も曲がりかけの綺麗な♂ヤマメ。
同行者にメジャーで計ってもらうと32cm。
嬉しかったです。
夢中になって追いかけた魚がようやく獲れた感激でしばらくボーッとしてました。

32cmといえばそう騒ぐほどのサイズでは無いかも知れません。
でも僕にとってはとてもうれしい思い出に残る一匹でした。
ここ最近は魚釣ってヒザが笑うようなこと無かったもんなぁ。

今年はまたどんな魚と会えるのか楽しみです。


2003 4.24
レポート&写真 小川 大輔(仙台)


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