Angling Net / Ikasas Talk to Myself




1 Feb 2000
思うところ‥‥‥
Bananaの色を塗り直してる。去年の暮れにパロットとフロッグを吹いたけど、なんかいまいち面白うない。頭を赤のクラックにしてみたり、ボディをコーチドッグにしてみたりしたけど‥‥‥どーも気に入らん。で、結局ぜんぶシンナーのビンに浸けて色を落とした。
思うところとゆうのはこのことで、ブラシで吹いたらみんなヘドンやクリークチャブの真似になってしまう。ジャンキー内藤のパロット(青地にオレンジと白)やカビヒマワリみたいな独創性が出えへん。だいたいルアーは動きが第一で、色なんかどうでもええんやけどね。
やっぱりカシューにしよう。こまめに塗って、こまめに研ごう。部屋中にテレピン油のにおいが充満して、カシューの毒が皮膚にしみ込んでも、アンパン吸うより健康的やし‥‥‥それにこれがやっぱり一番面白いからなあ。どっから見ても「ささきのバナナや」と笑うてもらえるものを作ろう。



今月中に仕上がるかどうか‥‥‥自信はないけどね。


2 Feb 2000
阿波路島でヒラメ釣る!‥‥‥
夕方から阿波路島へ渡る。久しぶりにのんびりメバルを釣って遊ぶ。同行者はエンドレス森下、ドクター山本。が、しかし、メバルの釣れ方がしょぼいぞ。
風は西寄りの微風‥‥‥とは言え冬の夜風はやっぱり厳しいぞ。手がかじかんでくる。鼻水が出る。と、ところが‥‥‥そんな中で、超高級魚ヒラメを釣る!

この件の詳細は後日「海坊主倶楽部」で報告する。疲れた。寝る。


3 Feb 2000
グンゼのプロスプレー‥‥‥
エンドレス森下が「使わへんからやるわ」ゆうて、グンゼのプロスプレーとゆうビンの付いたけったいなエアブラシくれたけど、コンプレッサーに合わへん。どないしたらええやろ?


5 Feb 2000
フィッシングショー大阪‥‥‥
今年もまた、行ってしもた。「行かへん」と断言しておきながら、行ってしもた。年賀状に「謹賀信念」と書いたのに‥‥‥まったくもって信念のないことで、まことにお恥ずかしい。来年は必ず行きませんから‥‥‥ほんまに。
小一時間でインテックス大阪を脱出して、松下会長と「もっこすラーメン」を食いに行く。神戸といえば「もっこすラーメン」。油が少々えぐいけど、こいつだけは並んでも食うぞ‥‥‥って、そう言えばたしか‥‥‥前に「ラーメンごときに並べるか!」と言うたね。ははは、私はウソツキであります。どこが「信念や!」と、ののしる声が聞こえてきそうであります。あきまへん、あきまへん。まだまだ煩悩に支配されておりまする。


7 Feb 2000
新年会‥‥‥
もう2月になってるというのに新年会である。


8 Feb 2000
風邪‥‥‥
夕べからのどがおかしい。何年ぶりかで風邪をひいたかもしれない。いや、まだ断定は出来ない。
とりあえず今日は鳴門行きを中止(明石海峡大橋が揺れて通行止め)にした。


9 Feb 2000
風邪‥‥‥
悪寒がひどい。


12 Feb 2000
風邪‥‥‥
なんとか生きてる。だいぶましになってきた。


13 Feb 2000
風邪‥‥‥
あとひといきで完治する。


14 Feb 2000
Crackle‥‥‥
古いルアーで塗装がクラックルになってるのがある。最初は不細工やなあと思てたけど、よー見たらなかなか味があって面白い。陶磁器にもそういうテクニックがあって、多分、溶剤の混合比を間違えて偶然できあがった紋様と思うが、失敗を逆手にとって使うところが面白い。
最近はクラックル塗料がいろいろ売られてる。誰にでも簡単にヒビ割れ模様が作れる。私も右に倣えでやってみたら、ほんまに簡単ににひび割れる。塗る量や乾かす時間を変えるとヒビ割れ方をコントロールすることもできる。簡単すぎて申し訳ない。先人の努力が気泡と化す。そのせいか、この頃はクラックル塗装を見ても何の感慨もない。たしかに見飽きた。

先日、羽山てつお氏からいただいたグリップには見事なカシューの研ぎ出しが施されていた。二宮氏に教わったとかで、スポンジを使って叩く技を使う。私も以前、チヌ竿を作ってたころ、カシューを麻布にしみ込ませて叩く方法をやったことがある。スポンジはそれ以上に細かな紋様が出来る。恐れ入った。

カシューと言えば去年、コーティング用のウレタンにシンナーを混ぜすぎてカシューが偶然クラックルになったことがある。あの時のことを思い出しつつやってみたら、それはそれは凄いことになった。表面にチリメンジワが浮き上がって、難病に冒された皮膚みたいなった。面白い。調子に乗ってどんどん溶剤を増やしていったら、収拾がつかなくなった。ボコッと5ミリぐらい盛り上がりながらシワが出る。固まったら少し均す。均したところへシンナーを侵入させる。またシワともヒビともわからぬ毒トカゲの背中状態になる。世界に1個しかない不気味なプラグができ上がる。

ちょっと趣味悪いけど、ギルモアのガラガラ蛇の皮張りプラグを思い出す。


15 Feb 2000
春遠からじ‥‥‥
一晩中起きてると、予想以上に夜が明けるのが早い。日照時間が長くなってる。春がそこまで来てる証拠‥‥‥と、窓を開けてみたら雪がちらついてる。外の空気は冷凍庫の中より冷たい。

この前、何年ぶりかで牛を食べたら突然吐き下した。久しぶりに七転八倒の苦しみを味わった。やはり牛とは相性が悪い。牛の脂には猛毒がある‥‥‥私には。
あ、思い出した。何年か前に牛を食べたのは、姫路のトラやんの家の庭でバーベキューをしたときだった。タン塩をかなり食べた。今日は大丈夫と思っていたら、帰りの中国自動車道で突然来た。運転中に突然。死ぬかと思った。大慌てで加西サービスエリアに駆け込んだ。
あ、もうひとつ思い出した。その何年か前、梅田の有名なステーキハウスでドクター山本とステーキを食べた。ドクターがおごるというのでしこたま食べた。上等の松阪牛なので大丈夫と思ったが、間違いだった。家に帰る途中ずーっと、地下街と言わず、道路と言わず、公園と言わず、駅と言わず、公衆便所をはしごした。腹を押さえながらヨロヨロと便所を探して歩いた。家に帰ると腹痛と吐き気は治まっていたが、腹ぺこになっていた。
そうそう、まだある。昔、牛と戦う夢を見たことがあった。闘牛士ではないが、牛と一対一の差しの勝負をすることになった。戦う理由は忘れたが、相手は大きな牡牛だった。広い場所で隠れるところが一切なかった。牛は鼻息荒く迫ってきた。私は説得しようと試みたが、牛は聞く耳を持たなかった。牛はいきなり私を跳ね飛ばした。倒れている私に、なおも角を突き立てた。牛の攻撃は執拗だった。私の体の皮膚は破れ、あちこちから血が噴き出した。これは夢だったがとても痛かった。象に踏まれる夢を見たときより痛かった。

大阪ではマクドナルドは「まくど」で、ミスタードーナツは「みすど」らしい。ケンタッキーフライドチキンは「けんちき」で、モスバーガーは「もすば」らしい。そして牛丼の吉野家は「よしぎゅう」と言うらしい。
そう言えば‥‥‥長い間よしぎゅうを食べていない。


16 Feb 2000
職人‥‥‥
和歌山の釣具職人(羽山てつを氏)に無理を言うてルアーに貼るバッジを作ってもろた。素晴らしい出来映え。実にええ仕事をする。本人はアマチュアと言うが、これは本職の技にほかならない。しかしまだ自らの非凡さに気付いてない。いや、気付かん方がええかもしれへん。職人が自分の腕を自慢しだしたらええ仕事にはならんからね。


21 Feb 2000
カレーうどん‥‥‥
土鍋で煮込んだカレーうどんの中に一万円札大のトンカツが入っていて880円であると言う。冷たい蕎麦が食べたくて入った店の店員が「本日のおすすめです」と言う。気がつくと意志薄弱な私はカレーうどんを注文してしまっている。
出てきたカレーうどんはあつあつで、まだ底から凹凹と気泡が噴出している。これはすぐには手が出せない。しばらくほとぼりの冷めるのを待ってから箸を入れる。辺りに湯気が立ちこめる。まだ時期尚早かと思いつつも空腹に押し負けて口へ運ぶ。
「うわぢぢぢ」
口の中が火事である。溶岩が溢れ出て唇と言わず舌と言わず火炎地獄が襲う。慌てて水を口に運ぶと「ジュン」と音をたてたような気がする。
今後二度と再びカレーうどんなどというものを食さぬことをここに宣言する。

以前、牡蛎釜飯の鉄釜の縁で手を火傷した「おばやし」という店は先日つぶれた。取り壊されて今新しい建物を建設中である。あ、そうそう、もう随分前のことだが、「羅生門」という寿司屋で鮑を食べたら硬すぎて顎の関節を捻挫したことがある。その寿司屋もつぶれて今はない。いずれこのうどん屋もつぶれると思う。


23 Feb 2000
ばなな弐千‥‥‥
風邪引いたり、クラックルペイントを失敗したりして一ヶ月遅れたけど、やっとできた。けど‥‥‥納得いく塗装にはなってへん。仕上げも粗い。これで動かへんかったら最悪のルアーや。なんとかかっこついたんは羽山さんが作ってくれたバッジぐらいか‥‥‥。使うてくれはるみなさんには申し訳ないけど、ばなな不作の年やとあきらめてちょうだい。


24 Feb 2000
音楽‥‥‥
私は釣りもやりますけど音楽もやりまんねん。やるっちゅうてもまともにやれる楽器はギターぐらいですけどね。どんなギターを弾くかちゅうたらブルースですわ。しかも古いやつ。1900年代前半のデルタブルースですねん。師匠はなし。あえて言うなら"Robert Johnson"でっしゃろか。ぜんぶ独学ですわ。

釣りをしてへんあいだはたいがいギターいじってますわ。魚釣ってへんストレスが癒されるんでっせ。ルアーメイキングは返ってストレスたまることが多いんですわ。絵描くんも好きですけどこれもあきまへんな。なんせカタチあるもん作るんはストレスたまりますな。

演るんはブルースですけど、聴くんは何でも聴きまっせ。まあ演歌はあんまり聴きまへんけど、ジャンルはけっこう広いと思いますわ。
聴いてて気持ちがええんはボサノヴァでんな。ボサノヴァが流れてたら気分が軽うなりますねん。だいたい重たいボサノヴァっておまへんよってね。小野リサはすごいでんな。同じニッポン人の血が流れてるとは思えまへんな。
ハワイアンも聴きまっせ。むかしプールサイドやビアガーデンで流れてたニッポンのハワイアンもよろしけど、アロハハワイアンズとかね。しかしほんまのネイティヴなハワイアンはあんな軽いことおまへんで。ハワイ王国音楽はもっとズシッときますわ。けどやっぱりニッポン人でっさかいねえ、ハワイアンのイメージはけっこう軽いもんですわ。ウクレレの音も好きやし、スラックキーギターの音色にはそそられるもんがありますわ。あ、そうそう、ハーブ太田のウクレレはすごいでっせ。
北アメリカの音楽はもちろんブルースですけど、カントリーも大好きっせ。学生時代はブルーグラスバンドをやってたんですわ。ギターとフラットマンドリンやってましてん。ビルモンローとかアールスクラッグスに傾倒してましてん。ライブやる店でアルバイトで演ってたこともおまっせ。けど今はもうあの速いテンポにはついていけまへんなあ。
今のジャズはかいもく聴きまへんけど、古いのはよう聴きまっせ。グレンミラーとかね。デキシーランドジャズも聴くんは大好きですわ。よう演りまへんけどね。

とにかく音楽は面白いでんな。音楽のない生活なんか考えられまへんわ。むずかしいこと考えんでもええし、しんどい努力もいりまへん。やりたい音楽演って、聴きたい音楽聴く。だいたい音楽は音を楽しむもんで、決して音を学ぶもんやないと思いまんな。


25 Feb 2000
フィールドテスト‥‥‥
今にも凍りつきそうな冬の池で、作ったルアーをテストしてるうちに、昔のバナナの方が動く理由が解明できた。で、次のプランが浮かんできた。さっそく家に帰って5〜6本削ってみる。
たいして変わらないかも知れないが、大きく変わるかも知れない。とにかく、やってみないことには分からない。

ガラス越しに見る外はいかにも晴れやかで、暖かそうで、春遠からじを感じさせるが、玄関を出るとやっぱり厳寒。‥‥‥釣りに行きたい。


27 Feb 2000
日本擬似餌釣連盟‥‥‥
じゃぱんるあーあんぐらーずあそしえーしょん、略してJLAAという団体に加盟している。連盟は35年の歴史がある。釣りにおけるアマチュアリズムを謳い続けている。いわば釣り人の理想郷である。しかしこの連盟には未だホームページすらない。今どき珍しい全国組織の団体である。
今日、大阪の労働会館というところで日本擬似餌釣連盟の支部長会議があって、東京から本部の会長、副会長、役員、全国から各支部の支部長らが集まる。釣りをしなくなって久しいといった感の方々である。私は支部長でも理事でもない一般会員だが出席(傍聴ともいう)させてもらう。
会員は一様に高齢化し、連盟は急速に衰退化している。つまり弱体化している。しかし、アマチュア精神を鼓舞し貫くために存続すべきであるという。そのためには減少の一途をたどる会員を増員せねばならないというが、その手だては見えてこないようである。毎年、商品目当ての盗賊のような釣り人を集めて釣り大会をしている。これが会員増加につながると言う支部長もいる。「形骸化」という3文字がぐるぐると頭の中を回る。
誰か良い案はないかというので、少しだけ発言させていただく。良い案はいくらでもある。しかし、お金も頭も使わずして良い案はないかもないものである。
「それじゃあパソコンでも買ってインターネットの勉強をしなくちゃなあ」という。牛の歩みよりのろい。亀にブレーキをかけたようなスピードである。恐れ入る。
改革派がいないわけではない。すでに六年前に改革案が提示されている。その案に対する回答はまだ出ていないらしい。
連盟に加盟して16〜7年になる。もちろん年貢(年会費ともいう)は毎年滞らず収めている。たいした額ではないが‥‥‥。


28 Feb 2000
がっくり‥‥‥
朝までサッカーを見てたので目が覚めたら夕方だった。このままメバル釣りに行こうと思ったが外はやっぱり寒い。娘が「ラーメン食べに行こう」というので出かけることにする。
第一候補の「さつま」はこの時間は休憩で開いてないので、第二候補の駅前の「光留」へ行くことにする。が、「な、な、なんちゅうこっちゃ!」店はいつの間にかつぶれててたこ焼き屋になってる。ついこないだまでやってたのに‥‥‥店の前でしばし茫然とする。
気を取り直して第三候補の「雅苑」へ行く‥‥‥と、定休日である。「おーまいがあ!」店の前でガクッと膝から崩れそうになるのをなんとか堪える。駅前のショッピングセンターに車を停めたので、何も食べずに出ると駐車料金を取られる。しかしほかに駅近辺にあるラーメン屋は「すすき野」ぐらいで、ここのラーメンを食べるぐらいならミスタードーナツの飲茶セットのたんたん麺の方がはるかにマシである。
しかたなく娘がよく行くというイタリア料理屋に入ってしまう。ボンゴレピラフはなるほど美味かった‥‥‥が、ラーメンを食べに来たのに、なにゆえピラフなどを食べなければいけないのか‥‥‥。
やっぱり潔く駐車料金を払って「もっこす」か「東海楼」まで行くべきであったと深く反省する。まったく信念に欠ける。自己嫌悪に陥る。

スペインリーグのバリャドリッドというチームに城ショージというニッポン人選手がいる。別に大好きな選手ではないが、孤軍奮闘する姿に思わず声援を送ってしまう。で、移籍8試合目にしてやっとゴールを決めた。しかも前後半で2得点。試合は2対1でバリャドリッドが勝った。神戸新聞の夕刊の第一面にそのことが載っていた。
その後、イタリアのセリエAの試合が放送されて、ナカタヒデトシというニッポン人にしては最高のプレイヤーが出ているのでついつい朝まで見てしまう。最近、海外のサッカーが面白い。ニッポン人が出ているせいもあるが、とにかくスピーディでエキサイティングである。こういうゲームを見た後にJリーグの試合を見ると、何とも拍子抜けしてしまう。大人と子供の差がある。とてもプロフェッショナルとは思えない。
ニッポンの優秀なプレイヤーはどんどん海外に出ていくべきだと思う。その間にニッポンのリーグが衰退しようと一向にかまわない。彼らが再びニッポンに戻ってきたとき、初めてニッポンのサッカーが世界と肩を並べる。


29 Feb 2000
しかしまあなんですな‥‥‥
今年はうるう年で2月が一日多い。なんや損したような得したような‥‥‥おんなじ月給やのに一日余分に働かんなん一般の人は損した気分になるやろうし、私みたいに毎日遊んでるもんには一日余分に遊べるから得した気分でもあります。しかしまあなんですな、ふつうの月は30日か31日あるんやから2月は変な月であることには間違いおまへんな。

最近、個人のホームページでいちばんおもろいと思うのは「jammon」。奈良のもんじゃ岡本というグラフィックデザイナーが作ってるページで、とにかくセンスが抜群に良い‥‥‥というか、イカザスの感性にぴたーっとくるもんがある。軽いノリとアットホームな雰囲気、そしてもんじゃ氏独特の鋭い観察眼や洞察力が絶妙のハーモニーを醸し出してる。もちろん魚釣りのことも書いてあるが、それ以外のところがとりわけ素晴らしい。おもろいコンテンツの中でも特にオススメは「Jack雨野の独り言」。いわゆる日記(文字が小さいのでいつも拡大して読んでる)だが、とにかく唸らされる。ただの日記とは思えない深い味わいがある。実はこの「Ikasas talks to myself」はこれ見て影響を受けたところが大きい。

 

もんじゃの血を引きし者の描いた素晴らしいタッチの「口画」2点
(左はマウスで描いたもの/右は大きな作品の一部を切り抜いたもの)



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