Angling Net / Ikasas Talk to Myself




1 jun 2003 神戸とんかつ芦屋ラーメン

所用で三宮へ行く
神戸のトンカツといえば「む蔵」だ
さっぱりしたヘレカツが人気で客層は中高年が多い
何がどうということはないがうまい
これでもうちょっと安ければ言うことないのだが‥‥‥

帰り道国道2号線を走る
三宮から芦屋にかけてラーメン屋が林立する
とある雑誌に「ラーメンストリート」と紹介されたことがある
激戦区で勝負するラーメン屋の戦場らしい
老舗店(もっこす)の隣に新参入店がオープンしていた
老舗を尻目に店の前には長蛇の行列が出来ている
行列を作っているのはたいがい若者だが
歩道上で腹を空かせて並んでいる姿はなんともみっともない
ラーメンごときに情けないぞ‥‥‥
つぶやきつつ通り過ぎる


2 jun 2003 Bass & Namazu

猿モリタと釣りに行く
案内人は姫路のぼるぼせざわさん
連れてってもらった池は
規模といい
ロケーションといい
陸っぱりのやりにくさといい
フロータで浮く条件にぴったりの池だった
昼過ぎから夕方までやって10バイト
オーバーハングの下で
黄色のヴァンガードに
ドッパーン!と出て
ズッシーンと乗って
グイグイ竿を締め込んで
そして
水中でバレたやつは
間違いなく50cmだった
しかし
「そういうことは釣ってから言え」
と言われるに決まっているので
あえて黙っておくが‥‥‥

その後
「朝まで鯰」へと突入する


3 jun 2003 朝まで鯰

前日の夕刻からナマズを釣り続けとうとう朝になる
東の空が白み始めるころにはほとんど体力が残っていなかった
「朝まで鯰」は面白いけれど体に悪いということがよくわかった
それにしても
ナマズは夜通し出っぱなしだ
ほんまにアホな魚だ
しかし
それを夜通し釣ってるやつは
もっとアホであることはまちがいない

asamade nurunuru asamade nurunuru

家に帰って
熱いシャワーを浴びて
冷たいビールを2本飲むと
昼過ぎまで泥のように眠ってしまった
目が覚めると
左肩を中心に数ヶ所で筋肉痛が起こっていた
ああ
今日は一日ブルースでも聴いてぼーっとしとこ


5 jun 2003 LIE

遅い朝
港神戸の卸売市場にある寿司屋で
いきなり店の親父に
「あんた疲れた顔してるなあ」
と言われた
「ほっとけよ」
と思いつつも愛想で
「仕事明けやから‥‥‥」
と言うと
「なんの仕事?」
と聞く
「ほっとけよ」
と思いつつも
嘘を言うのも邪魔臭いので本当のことを言うと
さも驚いた様子で
「なんでそんなアブナイ仕事を‥‥‥」
と眉を顰めて言う
「ほっとけよ」
と思いつつも
「好きやから」
と‥‥‥嘘をついてしもた
親父は
先日の火事で殉職した消防士の話をはじめた
そして感心しつつ
「あんたえらいなあ‥‥‥」
と言った

ああ
今日もまた人をだましてしもた


6 jun 2003 Muddy's Studio

ルアーのアイデアをカタチにする‥‥‥

Muddy Watersには工房がないので
すべてリビングのテーブルの上で作業するわけで‥‥‥
つまり‥‥‥
切ったり
彫ったり
削ったり
擦ったり
捩じたり
捻ったり
叩いたり
挟んだり
貼ったり
塗ったり
干したり
しているわけで‥‥‥
まあ
電動工具といえば
ドリルドライバーとリュータぐらいで‥‥‥
(ついこないだまでディスクグラインダーがあったが)
ほぼ完全なManual operation(手作業)であるといえる
つまり‥‥‥
ノコギリ
ノミ
カナキリノコ
カナヅチ
キリダシナイフ
カッターナイフ
カナキリバサミ
ヤスリ
アラカン
サンドペーパー
ドライバー
プライヤー
ペンチ
ヤットコ
キリ
センマイドオシ
などなどを右手で使いながら
それなりにうまくいったり失敗したりしているわけで‥‥‥
しかし
なんで金にもならないのに
こんな邪魔臭いことをしているのだろう?
たぶん
オモロイからだと思うのだが‥‥‥


7-8 jun 2003 琵琶湖deケタコ

毎年恒例・琵琶湖deケタコ
巨大タープのその下で
飲んで
騒いで
丘に登って
食べて
戻して(?)
歌って
踊って
転んで
笑って
笑って‥‥‥

巨大タープの前で両手を拡げるこのモデルはだれでしょう

懲りずに二十年近く
いちども欠かさず参加し続けている
夜中の3時にたどり着いたこともあった
そうそうあの時は‥‥‥
着いてみたら全員寝ていた
みんなテントか車の中で寝ているのに
辻さんだけが
ほとんど裸で椅子に座ったまま寝ていた
ありゃ?
死んでるのかな‥‥‥?
と思って
落ちてた割り箸で頭を突いてみたら
生きてた
「こんばんわ」
「まあササキくん、まあまあいっぱい まあいっぱい」
と言いながらまた寝てしまった
ああ
なつかしいなあ‥‥‥


宴も酣となって
カマドヤバンドのライブをやる

演目は
ヴォーカルがどーしてもメロディラインを歌えない
I Saw The Lightなど6〜7曲
ヴォーカル:かまどや
ギター:西区アオシマ
ウォッシュタブベース:天下茶屋koni
ハープ:いかざす
西区ギターのシブさと
天下茶屋ベースのカッコよさだけが目立つ
来年はこれにドラムが加わる予定

日付が変わるまで
ギターをかき鳴らして歌を歌って
さぞかし周囲の迷惑になったにちがいない
遅い朝
テントの中の蒸し暑さに目を覚ますと
6時半だった
ふらふらしながら起きていって
まずアイスコーヒー
そして冷やし中華
炊き立てご飯
味噌汁‥‥‥
さて
釣りでもしよかと知内漁港へ
ラドン奥村師匠に遭遇
ラ師はすでに27ひき
よしっ!
追い上げるぞ!
いざ勝負勝負
一旦は追いつきかけたが
猛追むなしく
最後に突き放される
80-67でラ師の勝ち

あーよう遊んだ
この歳になっても
遊びだけはやめられへん
どうせ遊ぶなら自分流を貫きたい


10 jun 2003 入梅

天気予報屋が
自信なさげに入梅を告げている
 「梅雨に入ったもよう」
とか
「梅雨に入ったと思われる」

なんやそれ
ホンマたよんないやっちゃで
べつにそんなんビビらんでええんちゃうん!
思い切って
「間違いなく梅雨に入ったぞコラァッ」
とか
「梅雨やぞしばくぞワ〜〜レ〜〜」
てな風に
一発かましたらんかい‥‥‥と思います
ハッタリでもかめへんやんか
だいたいそんな弱腰な態度やさかい
足元見られるんや(だれに?)
けど
空見たら
やっぱり雲の合間に青空のぞいとるわ
ははは


11 jun 2003 今時手造泰国産赤蛇頭雷魚専用水面木栓

来月また
タイへプラーチャドーを釣りに行くことにした
目標は3月に釣れなかった大物チャドーを釣ること
いま
そのためのルークオォーク(御玉杓子)プラグを削っている
タイランドナンバーワンのジャパニーズプラグを目指して‥‥‥

製作中の御玉杓子プラグ
名前は「泥水」(英名=Muddy Water)
つまりマディウォーターズのマディウォーターだ

泥水本舗謹製「泥水」
前方回転羽根付後方二本鉤付下方重心式
今時手造泰国産赤蛇頭雷魚専用水面木栓

工房はフル回転の忙しさだ
ああいそがし
ああしそがし(谷しげる風で)
あと3週間余り‥‥‥時間は止まらない


12 jun 2003 欧州旅行記

のら羊さんの欧州旅行記を読む
旅行記ではあるが
写真集というほうが適切かもしれない
なにしろ130枚の写真が掲載されていて
そのどれもに目を奪われる
おかげで
最後まで読む(見る)のに1時間半かかってしまった
それにしても
よくもまああれだけの数の美しい写真が撮れたものだと
ただただ驚くばかりである
ましてや見知らぬ外国の町を旅しながらである
ファインダーをのぞく心のゆとりに
ただただ唸らされるばかりである

2002年12月23日の倫敦橋(無断転載)

さらに
いったい何語が常用語であるのかさえわからない国々で
ATMで現金を引き出し
乗車券を買い
インターネットカフェでメールをチェックし
ホテルを予約し
郵便局から郵便物を送り
ベイクドポークを注文し
毎日毎日いろんな種類のビールを飲み
街を歩き
博物館を見学し
美術館を訪ねしながら国境を越え移動するなど
ボクには到底不可能に思える
ただただ感服するばかりである

ボクなど
なんべんも遊びに行ってる隣国でさえ
言葉があやふやで
ATMで現金も引き出せず
電話のかけ方もわからず
地下鉄にも乗れず
タクシーに乗ればボラれ
食べたい料理も旨く注文できず
行きたい場所へも思い通りに行けず
道を尋ねることもできず
高い値段をふっかけられても
ただただ笑って従うしかないというのに‥‥‥

のら羊さんのパワフルさには
ただただ恐れ入るばかりである

2002年12月28日のプラハ・カレル橋(無断転載)

それにしても
この写真たち‥‥‥
実に素晴らしい
ボクは写真には特に興味がないので
これがどんな写真機で撮影されたものなのか
どんな技術をもってすればあのように写るのか
まったく見当もつかないが
とにかく
素晴らしいということだけは判る
(2003年1月5日の103枚目の写真をのぞいて‥‥‥)

 ←クリック「のら羊通信・欧州旅行記」


13 jun 2003 蛙になる

蛙になって
池の上に浮かんで
「バッフン!」と
雷魚に食われてみたい‥‥‥
そこで
蛙になる夢を見ようと
一生懸命寝たのだが
ついぞ
蛙になる夢を見ることは出来なかった


14 jun 2003 漁師になる

サラリーマン生活に辟易としていた
給料は安いし
時間に縛られるし
とにかく不自由な生活に辟易としていた
その点漁師は自由でいいなあ‥‥‥

『あなたも明日から漁師になりませんか』
という新聞広告に目をやりながら
ふと思ったのだった
広告には
漁師になれば家と船がタダでもらえると書いてある

次の日
会社に辞表を出したその足で
漁師になる夢を見て気仙沼へ行く

「おめーが?新入りちゅうのは」
「そうです」
「漁の経験はあっが?」
「はい、ナマズ釣りを少々」
「何だべそりゃ?」
「あ、ライギョも若い頃やってました」
「よぐわがんねども、ま、なんでもいいべ」
「バスはトップ専門です」
「明日からすぐに働いでもらわねばならねっど」
「あの、漁師になると家と船がもらえるんですよね」
「あーそだよ、だども1年間はタダ働ぎだ」
「え〜!そうなんですか」
「あたりめだ。最初は漁協の寮さ入っでもらうべ」

案内されるまま漁労長のあとをついて行くと
古びた木造の小屋の前で止まった
表には「ハエナワ寮」と書かれた木の看板‥‥‥

「今日からおめが寝泊りするとごはこごだ」
「ずいぶん汚いところですね」
「もんぐ言うでねぇど、雨露しのげりゃ天国だべさ」
「ほんとうに一年後に家がもらえるんでしょうね」
「んだ。おらウソ言わねっど。船もちゃんどやるべっちゃ」
「じゃあここで我慢します」
「明日は漁に出っど。朝4時に港さ来でくりよ」

次の朝
眠い目をこすりながら港へ行くと
大勢の漁師たちが出漁の準備をしていた

「おはようございます」
「おせぞ!ん?なんだおめのそのカッゴは?」
「これ、アングラーズハウスのチェストハイウエーダーです」
「ほぉ‥‥‥」
「これはコロンビアのフライベスト」
「ふーん、バカ長にチョッギけぇ。手に持っでるのはなんだ?」
「フィリプソンのロッドです。リールはアンバサダーの5001C」
「オモチャ見でだのぅ」
「はい、ギア比低いですけどボク左手巻きなもんで」
「頭も左巻きでねが?んで、その先に付いでるのは?」
「わははは、これチンドンバグって言うんですけどね」
「チンドン屋げ?」
「自分で作ったんです」
「ま、なんでもいがら早ぐ船さ乗れ」

港を出て一時間あまり
船が沖合いで停まるとマグロ漁が始まった
波は思ったほどなかった
これならトップでじゅうぶんやれる‥‥‥

「おい、新入り、網さ下ろすぞ」
「あ、ボクはこれでやります」
「馬鹿こくでねっど、はよ手伝え」

漁師の言うのを無視して第一投
チャカポコチャカポコケコカコケコカコ‥‥‥
「ドッバーン!」
いきなり珍丼虫に大きな水しぶきがあがった

「き、来ました!」
「おおお!なんじゃそりゃ!おおお!マグロでねっがぁ!」
「チ、チ、チンドンバグに出ました!じ、自作プラグです!」
「しゃべっでねっでしっかり巻げ!」
「はい!」

数分後
100キロぐらいのマグロがあがった
漁師は感心してこう言った

「おめ、ながながやるでねっが」
「はい」
「しかすその糸、細いだども強えべなあ」
「PEの100ポンドラインです、エイトで1480円で安売りしてました」
「こんどワシにも買っできでくりや」
「わかりました。じゃあ、もう一匹いきます」

第二投目もドカンと出た
今度は200キロ級だった

結局その日は船が沈むほどマグロを釣った
もちろん水揚げ量ナンバーワンだった
その後
ここの漁師たちはみんな
フィリプソンのロッドにアンバサダーというスタイルになった
もちろんエサはチンドンバグだ
今では出漁するよりハエナワ寮にこもってルアーを削っている方が多い
漁師からの注文が絶えないからだ
ああ‥‥‥漁に出たい
けど
思い切ってサラリーマンやめて本当によかったなあ‥‥‥


15 jun 2003 714

数字三つの組み合わせで
好きなのは「1」と「4」と「7」だ
麻雀で言うところの「イースーチー」
好きな順番は「7」「1」「4」
誕生日は7月4日
高校時代の友人らと軟式野球のチームを作ったとき
ボクの背番号は「4」だった
これは50音順に決められた番号だった
高校時代の友人らと社会人サッカーチームを作ったとき
ボクの背番号は「14」だった
ヨハンクライフに憧れていたのだ
一番好きなスピニングリールは
PENNの714-Z
妻も忘れている結婚記念日は
なんと7月14日
携帯電話のメールアドレスは当然
ikasas714@docomo.ne.jp
今乗っているクルマのナンバープレートは
神戸300ね「・7-14」
‥‥‥
今言ったなかにウソが二つあります
さてどれとどれでしょう?‥‥‥なんだこの独り言は


16 jun 2003 らいぎょ

ハヤマテツオ、ナイトウケンジと雷魚釣りに行く
ホッタヤスシの案内で
早朝から夕方まで10時間以上フローターで浮く
雨が降って気温が下がるという悪条件下
7回バイトがあって1匹だけ釣れた
打率.143だ
鯰よりはすこしだけマシだ
ボクだけではなくみんな苦戦していた
詳しいことはココに書いてあるので省略する
しかし‥‥‥
バスといいナマズといいこのライギョといい
水面で釣る魚はなんでこんなに食うのがヘタクソなのだろう
あんなに大きな口をしているくせに
なんでじょうずに食うてくれへんのだろう
ブルーギルなんか
あんなに口が小さいのに
すばらしく上手に食うではないか
バス、ナマズ、ライギョ!
オマエらもっとブルーギルを見習え!


17 jun 2003 魚類図鑑

魚類図鑑が好きである
いつもそばに二三冊だしておいて
ちょっと手が空いたらページを繰る
なんども見ているので真新しいことは何もないが
これがどんな本を読むよりも妙に落ち着くのである
いわゆるひとつの座右の書である
こないだ買った「Cat fish of the World」は素晴らしかった
本棚にしまっておくのは勿体ないので
いつもバッグの中に入れてある
どこででも出してきて眺められる‥‥‥
そうそう
177ページの「トランスルーセントグラスキャット」は
是非家で飼って毎日眺め暮らしたいと思っている
雷魚の赤ちゃんも飼ってみたいし‥‥‥

図鑑とはいえないが
「魚の手帖」という本を持っている
サブタイトル
「江戸時代の図譜と文献例とでつづる魚の歳時記」
図はすべて江戸時代に描かれたもので
本草学者・毛利梅園の手による
「梅園魚譜」「梅園魚品図正」を複写したものらしい
全部で240魚種ほどが掲載されていて
そのどれもが素晴らしい「図」(絵)である
特に114ページのオキエソの顔は圧倒的に素晴らしい
中には「これはちがうやろ」という図もないではないが‥‥‥
概ね日本の河川湖沼近海で見られる魚ばかりで親しみやすい
なんと人魚まで出てくる‥‥‥

本草綱目「ナマツ(魚夷)」

ナマズではなくナマと書かれている
しかも魚へんに念でも安でもなく、魚へんにと書かれている
河産無鱗とも書かれている‥‥‥カサンムリン?
中国の猛毒セーサンカーリンみたいである
図の添え書きに
筑前國那珂郡魚夷(ナマツ)川ノ渕ニ
ナマツ多ク岩穴ニ住テ常ニ出ズ
天下ニ異変アル時ハ必出ルト云(中略)
大サ三四尺ニ及ブ(中略)
‥‥‥とある


本草綱目「ナマツ一種(ホシナマヅ、ゴマナマツ)」

イワトコナマズのことである
やはり魚へんにと書かれている
解説に
図の岩床鯰は尾鰭直前にある臀鰭の描き方が不適切で
背びれのように見えるので注意が必要である
‥‥‥と記されている

残念ながら琵琶湖大鯰は記載されていない
琵琶湖固有種であるイワトコナマズが載っているのに
ビワコオオナマズがないのは不思議な気がするが
当時から食用にされていなかったからかもしれない

この本を
学術的あるいは芸術的な書物と捉える見方もあるが
ボクは
これは写真技術のなかった旧き佳き時代の
精密で丹念な「職人の仕事」であると考えたい
いや、じつに素晴らしい
書名:魚の手帖 発行:小学館
編集:尚学図書
定価:2200円(本体2136円)


18 jun 2003 無愛想な釣師

もう数時間も前から
ヨルダン川西岸の岸辺にたってルアーをとっかえひっかえ投げているのだが
川からは一向に魚信が伝わってこなかった
いったいこの川に魚はいるのだろうか‥‥‥
猜疑心の深い根がボクの脳裏で渦巻きつつ頭をもたげはじめたそのときだ
川下のほうからひとりの釣り人が歩いてきた
かなりくたびれた感じの年配の釣師だ
「どうです、釣れますか」
とボクはたずねてみた
老釣師は怪訝そうな顔つきで
「なんの用だ」
と問い返した
「いえ、魚が釣れたかどうか知りたくてたずねたんです」
と言うと老釣師はますます怪訝そうな表情になり
「ワシは釣りなどせん」
といってたち去った
世の中には無愛想な釣り人もいるが
これほどけんもほろろに返されたのは初めてだ
それにしても不機嫌そうだったな‥‥‥
だいたい釣師のくせになんだあの格好は
ウエーダーも履かずに普通の革靴だ
だいいち手に竿も持っていなかったじゃないか


19 jun 2003 読書の梅雨

駅前の本屋で文庫本を三冊買ってきて
三冊同時進行で読みはじめる

開高健「パニック・裸の王様」
池波正太郎「陽炎の男」
筒井康隆「くたばれPTA」

なぜこの三冊かというと‥‥‥
先日のライギョ釣りの帰り道
ふと読みたくなったのだ

開高健のパニックは20年ぐらい前にいちど読んだ
そのときはまったく面白いとは思わなかったが
今日読んでみて背筋がゾクゾクするほど面白かった
その描写力の鋭さに打ちのめされそうになった

池波正太郎はなにがどうということなく
単に読み物としておもしろい
若いころは
こんな時代小説など読むに値しないと思っていたが
これがひとたび足を踏み入れると見事にはまってしまうのだ
藤沢周平が死去した1997年
書店のレジの前に山積みされた一冊を手に取って以来の時代小説ファンだ
藤沢周平なら「橋ものがたり」が素晴らしい

筒井康隆はむかし何冊も読んだ
あのころ(昭和40年代)は最高に面白いと思ったが
今読んでみるとなんとも締まりがなくて拍子抜けしてしまう

人間の趣味趣向というものは
時の流れの中で
激しく移ろい続けるものであると思った


21 jun 2003 SO-MEN

日本一うまい手延素麺を
さるお方から送っていただいた
富山県砺波市名産「大門素麺」である
ダイモンではなく
オーカドと読む
「オーカド‥‥‥」
なんと清々しい響きであることか
しかも
近畿一円で一般に食される素麺とは異なり
この素麺は重厚な気品に満ち溢れている

いろといい
つやといい
あじといい
はごたえといい
のどごしといい
筆舌に尽くしがたいとはまさにこのことである

もしどこかで素麺に関して語ろうと思うならば
まずこの大門素麺を食してからでなければお話にならない
‥‥‥というほどの逸品である

それだけに入手は極めて困難だが
ほめたり
そやしたり
ちぎったり
もちあげたり
おとしたり
おどしたり
すかしたり
どなったり
かみついたり
わめきちらしたりしていると
いずれそのうち送られてくる


23 jun 2003 宿替え

「巳川はんやおまへんか」
「あ、これは卯山はんに辰野はん」
「どないしましたんや、えらい荷物背負て‥‥‥引っ越しでっか」
「さいな、大阪では引っ越しのこと宿替え言いまっけど」
「しかしまた、えらい急でんねんなあ」
「へえ、まあ、いろいろとおましてな」
「え、なんぞおましたんか」
「へえ、実は追い出されましたんや」
「追い出された‥‥‥て、どういうことでんねん」
「へえ‥‥‥わてなんにも悪いことしてまへんねんで、そやのに隣のおっさんがわて見て気色悪いとか、なんじゃかんじゃ因縁つけよりまんねや。警察は呼ぶわ、消防は来るわで大騒ぎになってしもてね」
「なんとまあ‥‥‥理不尽な話でんなあ」
「さいな、家主はええ人でんねやけど、近所にヤイヤイ言われるんもかなんやろし。それにまた、ここのよめはんが恐いがな」
「さよか‥‥‥」
「昨日なんか『出ていかなんだらスコップで首切り落としたれ〜』て物騒なアドバイスする人までいてましてな」
「ひえ〜、そんなえげつないこと言いまんのんか。むちゃやがな」
「そうでっしゃろ。もうちょっとで首飛ばされるとこですわ」
「なんと恐ろしい‥‥‥」
「殺されたらかなんし、こっちから出ていくことにしましてん」
「そらそんなとこ居れまへんわなあ。しかし、気の毒に‥‥‥」
「ほら、あこに立ってますやろ、ここの家主」
「あのがたろみたいな長靴はいたおっさん‥‥‥良さそな人やなけどなあ」
「まあ、家主が悪いわけやおまへんからなあ」
「ほんで、どこへ行かはりまんねや」
「どこて‥‥‥たいしたあてはおまへんけど」
「さよか‥‥‥そや、これ少ないけど取っといてんか」
「わてもこれ、はだかでなんやけど、取っといて」

「いや、餞別でっか‥‥‥えらいすんまへん‥‥‥う、う、う」
「そんなぐらいで泣きなはんな」
「おおきに、長いことお世話になりましたなあ」
「何の力にもなったられへんけど、元気でがんばっとくなはれやあ」
「へえおおきに、ほなどちらはんもごめんやっしゃ」

‥‥‥というような
どっかで聞いたような話やけど
登場人物はすべて架空の人物です
言い忘れましたが
こんな話を書くためのページではないことは
じゅうぶんわかってます


24 jun 2003 肩凝りの原因

昨日
心斎橋を三年ぶりぐらいに歩いた
三年前にも思たけどなんとしょうもない商店街や
新しいメレルのモック見よ思て行ったら
あら?
前にMerrell買うた靴屋はもうつぶれてて別の店になってる
昔なじみの店はどんどんつぶれて変な店に取って代わられてる
コーヒー飲も思たらいつもの喫茶店までつぶれてた
不景気が原因なんやろなあ‥‥‥
人の波は平日の昼間とは思えんぐらい多いのに‥‥‥
買いもんする場所やのうてただのたまり場になってるんや
アメリカ村から流れてくるんか
平日の昼間やちゅうのに半分以上が二十代前後
ああ仕事ないんや‥‥‥ちゅうか仕事する気がないんや
たいがい数人で徒党を組んでよろよろと歩いとる
このままホームレスになりよんやろか
金と落ち着きのない人間のたまり場になってしもては
商店街は儲からんわなあ‥‥‥
ああ‥‥‥あこがれの心斎橋
大阪でいちばん情緒のない商店街に成りさがっとる
京都の寺町通りや新京極通りのほうがずっと落ち着くなあ‥‥‥

戎橋を渡りしな
銀色の服着た女の子数人に取り囲まれる
うわっなんやこいつら
カツアゲか‥‥‥
オッサン狩りか‥‥‥と
思たら発泡酒の街頭キャンペーン
コッテコテに化粧した
昔のピンサロのネーチャン風の女の子に
缶ビールみたいなんを手渡される
ああ缶の貯金箱か‥‥‥思て
手にとったら重たいがなこれ
ホンマモンや
「極生」と書いたある
ふつうアタマに「極」ときたら
つぎは「道」ちゃうんか‥‥‥
冷えとったら飲みもって歩くねんけど‥‥‥思いきりぬるい
しゃあないからショルダーバッグに入れたら左肩にズシッときた

そのままナンバまで出て千日前へ
千日前道具屋筋に入る
雰囲気はガラリと変わる
昔のまんまの商店街‥‥‥空気までが昭和になる
この前
インターネット通販でテーブル付きお好み焼き機を買いかけて
ちょっと待てよ
とりあえずいっぺん現物見とこ思て来たわけやけど
現物見たらいっぺんに買う気が失せた
33000円もするのにえらいちゃっちいやんか
ネットで「注文する」ボタン押さんでよかった‥‥‥
店のおっさんは
「安うしときまっせ」
言うから
「ナンボにしてくれるんや」
て聞いたら
値ぇの引き方までちゃっちいがなも
「いらんわ」
さらに安い23000円のを売ってる店があって
これやったら買うてもええかな‥‥‥思て店に入ったけど
店のもんは他の客の応対でなかなかこっちにきてくれへん
十分近う待ったけどアホくさなって店を出た
アーケードを南に出たら急に雨が降ってきた
ニッポンバシのジョーシンインターネット館に飛び込む
23インチの液晶で「のら羊通信」の欧州旅行記を見る
めっちゃ綺麗や
けどG4やないと使えんらしい‥‥‥だれが買うか
雑貨屋で500円の折り畳み傘を買うて心斎橋へ戻る‥‥‥

この夜
心斎橋の「源八」という焼き鳥屋で
のら羊さんの帰国歓迎パーティ
十人ばかり寄って楽しい酒を飲む
のら羊、泉州屋、印刷屋、自転車屋
楽器屋、弟子、サラリーマン、救急救命士
スポーツ屋、喫茶店のマスター‥‥‥ボク
店は狭うて座り心地の悪い座敷やったけど
ここの鳥はなかなかうまい
普段よう食べん
生肝の刺し身がスルスルと喉を通る
みんなで飲もゆうことで
のら羊さんが持ってきてくれたMuddy Water
結局封を切らんとボクが持って帰ることに
小さなBradyに無理矢理詰め込んだら
左肩にズシンと食い込んできた
ああ‥‥‥こんなんぶら下げて宝塚まで帰ったら
思いきり肩が凝るぞ‥‥‥

Muddy Water‥‥‥
明日の晩は納豆を肴にこいつを飲ろかな


25 jun 2003 Plaa Chadoo Plugging

着々とプラー・チャドー攻略作戦を進めている

■まずプラグ‥‥‥
これは前回の経験からも高速リトリーブに対応できることが肝臓だ
特にバズペラにこだわる気はないが
プラグを準備しているうちに結局ペラ付きルアー一辺倒になってしまった
しかし
普段プラー・チャドーがああいう音を発しながら
あんな高速で泳ぐ(走る)獲物を捕っているとは到底思えない
しかし
そういうプラグに反応する事実はなんべんも見た
まあペラはスプリットリングプライヤ一本ですぐに外せるし
ケースバイケースで自分の考えをカタチにしてみよう

■次にロッド&リール‥‥‥
ロドリはすべて新調した
新調と言っても中古品のオークションモノもあるが
とりあえず前回の反省から
ロッドは短く硬く
リールはロープロファイルで高ギア比でキマリだ
Palms EGC-606×2
ABU HPC-581
いずれもバスのラバージグ用らしいが
そういう釣りをしたことがまったくないので
とにかく振ってみて「コレだ」とい竿にした
リールはシマノしか使わないので
メタニウムのMgとXT
それにスコーピオン1001

■ラインシステム
ラインは40LB前後のPE+350〜40LBナイロンリーダー
70cm級のシイラの抜き上げに耐えられるシステムだ
もちろんこれで太刀打ちできない場合の用意もある

さああとは
あのネットリとした空気の中で
プラー・チャドーを釣るだけだ‥‥‥


26 jun 2003 ウチナー

ウチナーのショップに頼んどいた
ミミガー
豚タン
うみぶどう
ウチナーソバ
島唐辛子
サーターアンダギー
などなどが届いた


27 jun 2003 ライギョ

雷魚の赤ちゃんが売られているという
KナンのA崎店へいったら
売ってへんかった
やっぱり
津守まで行かんなんか‥‥‥


29 jun 2003 胃痛

胃の辺りに変な痛みがある
痛みを感じてからもう三日が経つ
20分置きに痛みが来る
ううううう
あぶない‥‥‥んかこれ?

チャドー用のプラグが出来た
泥水セカンド‥‥‥

おお!
これは釣れそや!


30 jun 2003 なんとか

なんとか6月が終わった
さあ7月や
胃の辺りの痛みが治まってきた
沈々トラやんず今月も強いわ
杉山愛‥‥‥相手悪すぎたなあ
レアルマドリードどこまでいくんやろ
今日賞与がちょっとやけど出た
今年の梅雨は梅雨らしい
シンボリクリスエス息が持たへんかったなあ
もう寝よ



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