Angling Net / Ikasas Talk to Myself
毎日更新(ウソつくな!)
1 Nov 1999
秋深し‥‥‥
すっかり秋も深まりまして
水が冷たい今日此頃であります
私
年令的事情から
この時期フロータで釣る際には
ネオプレーンのウエーダーを履かせていただいております
一般のフローティストのみなさんからは
「ナンジャクもん」呼ばわりされております
誠に申し訳ございません
しかしながら
歳が歳ですゆえ
これもいたしかたないのでございます
それでもやはり
水に浸っている部分はすべからく
ひんやりと秋を感じておるのでございます
つまり‥‥‥
爪先(Tsuma-Saki)
親指を深づめして痛い。足ヒレがきついので冷えると余計に痛む。
足首(Achilles-Ken)
昔ソフトボールの試合中に切断しことがある。足ヒレを漕ぐと痛む。
脹脛(Fukura-Hagi)
著しく筋力が低下している。全力で漕いだり方向転換すると痙攣する。
膝(Hiza or Sune-Bon)
昔バイクの草レースで転けて靱帯を伸ばしている。冷えると鈍痛を覚える。
太股(Futo-Momo)
小中高と水泳で鍛えたので太い。しかし筋力は相当に低下している。
尻(Oido)
筋肉が弛んでる。冷えると痔に悪い。
陰茎(Chin-Chin)
冷えて縮むとなおのこと公表できるようなモノでなくなる。
本日午後、エンドレス森下、マーキー横山と3人で近所の池にフロータかついで出撃する。水温17℃。バスはまだまだ元気。しかし、釣り人の下半身は極めて寒さに弱い。骨、関節、皮膚、肉、筋、血管、海綿体‥‥‥ことごとく寒さに弱い。大いに縮んでいる。これではバスには勝てない。
本日、出たバスの数‥‥‥4
手で触ったバスの数‥‥‥1
これが今季最後のフロータゲームになるような気がしている‥‥‥。
2 Nov 1999
ジギング(おおかたぼやき)‥‥‥
ジギングに誘われて困ってるねん。だいいち船酔いするしなあ。あの苦しさは例えようもないよ。船で酔うたら死んだ方がマシやて思うよ。こんな思い船酔いせんもんにはわからんやろけどなあ。
それにあの釣り単純すぎて退屈やわ。たしかに釣れる魚はごっついしパワーも並みやない。なんべんかやってみたけどそのへんの面白さは認めるよ。しかしなあ‥‥‥気に入らんことも多いねん。
だいたい遊漁船はどんな釣りでもそうやけど、一部の人を除いてたいがい自分の船やないから自分の思た所へ行って釣るちゅうわけにいかんやん。船頭が連れてってくれたポイントでジグを上げたり下げたりするだけやからなあ。なんや知らん船頭の手足みたいやんか。船頭がへたくそやったらなんぼ釣り人がベテランでも釣れへんわけやろ。
で、船頭が上手やったとしても、突然「ガッツーン」と強烈な引きと締め込みがきて、竿が思いきり曲がって、リールが鳴って、後は力仕事やん。迫力はあるけど妙味ちゅうもんがなあ‥‥‥かいもくないわ。(多分こんなことゆうたらニッポン中のジガーに白い目で見られるに決まってるけど、反論することも大事やからな、堪忍してや)
ちゅうわけで昔いっしょにやってたバサーは、今はみんなジガーやねん。これはいったいなんでやろ?ごっつい魚釣りたいだけやろか?
思い当たるフシがないでもないよ。あれだけバスに夢中になってた連中がバスを捨てた理由‥‥‥それは最近のバスポンド事情やろ。それしかないわ。今は猫も杓子もバス釣ってるもんなあ。多すぎるねんな、人が。
それに、みんな雑誌やテレビで見た通りのやり方やねんなあ。ラインがこう水面に突き刺さっとって、みんなその先を拝んでる。ちょいちょい御払いしたりなんかして‥‥‥なんか変やで。
日曜日の青野ダムなんか行ったらびっくりするで。昔からやってる連中は「もうバスやめよ」思うやろ。私もそう思たもん。「バスはやめよ」て。バス釣りの道具は年々進化してるし、ルアーも昔から比べたら格段に良うなったのに、ほんまのバスの面白さを知ってる連中がバスを釣らへんようになった。まるでアホみたいな話しや。
それでみんなジガーになったとゆうわけやねん。別に駄々こねてるわけやないしジギングに誘われたら須磨沖ぐらいやったらまあ波もないし行くよ。付き合いええからなあ‥‥‥よう断らんねん。けどゆうとくで、ほんまは嫌やねんで。みんなどんな思いしてジギングに付き合うてるか知ってるんか?たまにはバスも付き合えよ!
3 Nov 1999
Robert Johnson‥‥‥
1911年5月8日ミシシッピ州ヘイズルハーストに生まれる。家庭環境は複雑。少年時代にWillie Brown, Son Houseのブルースに触れる。同時代に生きた多くのブルースマンのテクニックを短期間に吸収する。独自のブルースギター奏法とファルセット唱法でデルタブルースの第一人者の地位を築く。後継のミュージシャンに多大な影響を与える。1938年8月16日、他人の女に手を出したのが原因で毒殺される。享年27歳。
今日は全国的に文化の日らしい。
もうじき冬やね
冬と言えばどうゆう訳か
こたつの上にはミカンがピラミッド状に積まれてますな
だれがあんなぎょうさんいっぺんに食べるんや
あれね安定ええように下に積まれてるんが大きいんでっせ
けど上から順番に食べやんと山が崩れる仕組みになっとる
思うにあれはひとつのトラップやね
何個か食べてそろそろ大きいミカンが出てくる頃になると
いつのまにか小さいミカンが上積みされとるんですわ
ミカンは元のピラミッド状になっとる
こうして大きいミカンは
冬のあいだ中だれにも食べられることなく
やがて春になって腐っていくんやね
6 Nov 1999
あかん‥‥‥
何が悪いのかこの頃さっぱり魚が釣れへん。つい先日も徳島のキュウヨシで丸ボーズ食らう。まあ3発出たからええかとボーズ逃れにメバル釣りに寄り道した鳴門ではアタリの「ア」の字もない。メバルの「メ」の字もない。横で釣ってたおっちゃんのアオリイカに涎を垂らしてしまう‥‥‥ああ、情けない。
なんでこんなに釣れへんねやろと、ふと振り返ると背中になんかへばり付いとる。なんやこれ?ゲ!ボーズの神様!
『あの、もしもし』
『だれじゃワシを起こすのは』
『スンマセン、いつからそこに居たはるんです?』
『ワシか、ワシは先週の金曜日からここに居る』
どおりで体が重いはずや。
『あの、もしもし』
『なんじゃ、うるさいのう』
『あの、いつまでそこに居たはるおつもりです?』
『今月いっぱいは居るぞ』
あかん‥‥‥12月まで魚は釣れん。
10 Nov 1999
あかん2‥‥‥
未明、エンドレス森下が来る。
6時出船の船に乗るためには、4時半には家を出発せんなん。
夜明け、船は朝靄をついて海原に出る。
船頭の話を要約すると、ここんとこ『さっぱり』らしい。それを裏付けるかのように魚群探知機の反応は芳しくない。にわかに暗雲が立ちこめる。酔い止め薬が効いて船酔いはないが始終睡魔に襲われる。
昼、泥のように疲れ果てた釣り客9名(ぜんぶ私の友人)を乗せて、わが第3福丸は帰港した。釣果は推して知るべし‥‥‥。
エソ2匹。
サバフグ1匹。
カワハギ1匹。
これが船全体の釣果。
もちろん言うまでもないが、私の竿はただのいっぺんも曲がらんかった。
午後、明石の「魚の棚商店街」へ行く。
エンドレス森下、ゾンビ正人、水橋加珍古珍、私の4人で明石焼き(地元では「たまごやき」という)を2軒ハシゴする。
明石には普通のタコ焼き屋もあるが大半は明石焼き屋である。タマゴを大量に使いふわふわとした独特の風合いを持つタコヤキとして全国的に有名である。カツオだしの効いた付け汁に浸して食べる。ソースはぬらない(エンドレス森下はソースを塗りたくって食べていたが)。
昭和43年頃、初めて口にしたときは、このふわふわ感が馴染めず嫌いな食べ物のひとつであった。しかし今は違う。うまい。
数ある明石焼きの店で、私のイチオシは「鳥居」と「たこ助」。決して店構えだけで味は決まらないという見本のように、両店とも小綺麗でもなく広くもない。
夕刻、北寄りの季節風が吹きはじめた明石浦(大蔵海岸)は、前に淡路島を臨む。それを結ぶ明石海峡大橋は夕日を受けて朱色に染まる。
4人は、すっかり夜の帳が降りるまで、黙々と餌木を投げ続ける。が‥‥‥釣果は推して知るべし。
この日4人で海底の藻くずとした餌木十数個。随分海底を汚染してしまったと反省しきり。もちろん根がかり以外に竿曲がらず。
背中のボーズの神様は極めて健在であらせられる。
11 Nov 1999
50000‥‥‥
今日自分のHPにアクセスしたらアクセスカウンタが四万九千七百八十五になってた。1996年11月からやから丸3年か。
12 Nov 1999
バットフェルール‥‥‥
友だちの竿を作ってる。フロータスティック。
トップウォータープラグを扱うには繊細なチップと強靱なバットが必要で、フロータで使う短い竿に両方の要素を搭載するのは難しい。そこでカーボンとグラスのコンポジ‥‥‥根元がカーボングラファイトで先っちょがグラスファイバー。こいつは見た目(曲がり具合)は不ッ細工やけど使える。
ブランクが決まったら次はバットフェルール。
チャンピオンのバットフェルールを真似て作ることにする。つまりブランクの受け口とグリップへの差し込み栓のあるフェルール。素人でもまあこれぐらいは作れるやろ。
ホームセンターへ行って真鍮のパイプとソリッドを買う。パイプは10ミリ。今回の竿は細いカーボンのバットなので10ミリでぴったり。しかしグラスのバットなら11ミリが必要。ところが11ミリは売ってない。7、8、9、10ミリときて、ネクストサイズはいきなり12ミリ。さらに12ミリの上は15ミリ。
なるべくヒマそうな店員をつかまえて聞くと、『11ミリないんですう、なんででしょうねえ』と申し訳なさそうに同情してくれたが、何の慰めにもならない。これは真鍮パイプメーカーの手抜きだ。きっと日本のどこかで、私同様11ミリパイプ愛好家が泣いてるに違いない。
困った困ったこまどり姉妹。とりあえず家に帰ってパイプとソリッドを切断する。パイプは簡単に切れるがソリッドはなかなか骨が折れる。真鍮はアルミより硬い。しかし手作業でやる。ヤスモンの金切りノコがキイキイ悲鳴をあげる。
やっとこさ6cmの長さに切れた外径9ミリのソリッドを、金属用接着剤でパイプに接着する。ついでにカーボンのバット部分もフェルール(パイプ)に接着する。
さらにブランクの色が気に入らんのでサンドペーパーで落とす。一気にやると熱が入ってグラス繊維が腰抜けになるのでゆっくりやる。バレーボールのワールドカップなんぞを見ながら気長にやる。しかしオーガケって小さい選手やのにすごいなと思う。ん?小さいって私より大きいか。
よーし、今日はこれぐらいにしといたろ‥‥‥と、池野めだか風にゆうてみる。時計を見ると明日になってる。
13 Nov 1999
5万アクセス‥‥‥
物事には潮時とゆうものがある。調子に乗っていつまでも同じことを続けとってはいかんとゆうことだ。そろそろ潮時のような気もする。
話は変わるが‥‥‥
自宅へ戻る途中、国道百七十一号線を左折して中津浜線にはいる。しばらく走ると「宮っ子ラーメン」がある。行列ができる有名店だ。何度か入ろうと思うがいつも店の前は長蛇の列。ラーメンごときに行列に並ぶ気はない。しかし気になる。この前を通る時になぜか列の長さをチェックしてしまう自分が情けない。
ある日、行列ができてなかったので駐車場に車を止めて中に入る。さて出てきたラーメンは‥‥‥完璧に期待はずれだった。冷静に考えてみればそんなに悪い味ではないが、期待が大きかった分その落差ははげしい。誰に対してではないが食べているうちに腹立たしくなって、おおかた残して店を出る。
しばらく走ると「熊五郎らーめん」がある。サッポロラーメン系だがこの店で行列が出来ているのを見たことがない。ラーメンの種類は極めて多いがどれもごく平均的な味だ。ラーメンの具がやたらと多い。ときどき食べにはいる。理由は店の前の道路が広いので車を止めやすいからだ。店の中にマンガ本がいっぱいあって食べ終わった客が読みふけっている。そのせいか店の中には客は多い。
そこから60mほど走ると「駒っ子ラーメン」がある。店の中はガラス張りで車で走っていても見通せる。営業中にもかかわらず客がラーメンを食べているところを見たことがない。この前を一日に何度も通るが客が居るのを見たことがない。その理由を明確にするためにも是非一度食べてみたいと思う。評価はそれからだ。
さらに70mぐらい走ると「自然派ラーメン」がある。駅前のやや繁華な所だ。ついこないだまでは「長崎ちゃんぽん」だったが、改装してラーメン屋になった。名前が示すように店のウリは食品添加物一切なしなのか?まだ食べたことはないが興味を惹く。
興味を惹くと言えば、そこから20mも行かないところに「しぇからしか」という名前のラーメン屋がある。これもつい最近できた店だ。名前からして九州(とんこつ)ラーメンとわかる。看板は目をひくが入り口がよくわからない。車を駐車するスペースがない。まだ食べたことはないが名前がいいので是非食べてみたい。
競馬場のメインゲートを見ながら160mほど走ると「順ちゃんラーメン」がある。店主の名前が「順一」とか「順次」なのだろう。店構えが平凡すぎてはいってみる気がしない。店名や店構えは大事だ。
さらに80mほど走ると「ニンニクげんこつラーメン」がある。同店名のラーメン屋が神戸にあるので多分チェーン店だろう。しかし凄い名前だ。店にはいった途端げんこつを食らいそうなのでまだはいったことはない。チェーン店なので味は平均点以上と推察するが、やっぱり店の名前は大事だ。
そこから240mぐらい走ると「九州ラーメンさつま」がある。九州とゆうぐらいなのでもちろんスープはトン骨。実はここのラーメンを食べるまでトン骨ラーメンは嫌いだった。カウンターだけの小さな店だがうまい。スープの塩加減と麺の硬さをオーダーできる。スープは絶妙、麺はコシのある細麺で私の好みである。‥‥‥別段ここのオヤジに宣伝料を貰ってるわけではない。
さらに140mほど行くと「天下一品」がある。有名チェーン店だ。麺はごくふつうだがスープに特長がある。つまり「あっさりスープ」と「こってりスープ」。後者は素人には無理がある。どんぶりをひっくり返してもスープがこぼれないぐらい粘りがある。スープがのどを通らない。常識を逸している。この2種類のスープにニンニクを加えるか否かの選択ができる。私は迷わず「こってりスープ&ニンニク」である。
なぜこの道筋にこんなにもラーメン屋があるのかは知らないが、これほどラーメン屋が林立しているにも関わらず、好みの味はそうあるものではないということを言いたかっただけである。なお味に関する評価は個人の味覚によるものであり公平性は一切加味していない。
14 Nov 1999
ページ一新‥‥‥
5万アクセス記念にこの「talks to myself」のコーナーを一新した。と言ってもちょっと色を変えてみただけだが。
このコーナーを見てくれてる人からこのコーナーを見てるぞというメールをいただいた。と言っても今までに3人だけだが。しかし世の中に3人もこんなものを読んでくれている人がいるとは心強いかぎりである。YHさん、THさん、TUさん。ほんまにおおきに。
ここのところしばらく寝てないので少し寝ることにする。
18 Nov 1999
天気予報はウソツキや‥‥‥
今日、ほんまは魚釣りに行く予定やった。しかし天気予報屋のおっさんが「悪いこと言わへんからやめとき」と言う。「まちがいなしに雨降るで」と言う。この時期、雨の中で竿振るのんなんぎやし一日順延する。
朝起きたら雨なんか降ってへん。おまけに昼からごっついええ天気や。だまされた。予報屋のおっさんにだまされた。
とにかく明日はぜったい釣りに行く。せやけど、背中にはえらい神さんがいたはるし、何が起こっても不思議やない。もしかして土砂降り‥‥‥。
いやな予感がする。
21 Nov 1999
My Blue Heaven 天国の釣り‥‥‥
四国で釣りをすることが多い
橋を二つ渡るとそこは四国
そうゆう便利さもあるけれど
それだけではない
近畿では味わえない釣りがここにはある
しかし釣れるかとゆうとそんなことはない
例えばバスなんかまるで釣れない
それでも四国が面白い
四国三郎‥‥‥吉野川の愛称
吉野川本流でバスを釣るのは初めてで
歳がいもなくウキウキする
恥ずかしながらワクワクしてしまう
快晴微風
気温20℃
水温19℃
湧水があって周囲より2〜3℃高い
透明度が高い
水面ではバスが小魚を追いかけてガバガバやってる
まるで夏みたいに
晩秋とは思えない陽気に誘われて
沈んでたバスが身を乗り出した
R上原が私の作ったバナナで
丸々太った川バスを引きずり出してくれる
さらに反対側ではJ内藤が
ヴァンガードで見事な雷魚を引きずり出す
ははは
まいった‥‥‥まいった
これだけ好条件が揃ってるのに
私には釣れない
ぜんぜん釣れない
小春日和の穏やかな午後も
日がとっぷりと暮れると
急激に冷気が襲う
夕闇迫る川面は別世界のように美しい
西の空は夕焼けに染まり
東の空に月が浮かぶ
やがて夜の帳が降りてくる
最後まで諦めずに投げたけれど
四国三郎は微笑まなかった
「四国」とゆう文字を見てると
「天国」に見えてきた
23 Nov 1999
GT‥‥‥
十年以上前、鹿児島県の徳之島へジャイアントトレバリー(以下GT)を狙うて3年ほど通うたことがある。真夏の炎天下、リーフの先端に立って超ヘビータックルを振り回してた。熱射病で倒れる寸前までやってた。
ちょっとデカいのがヒットしたら、そのまま海に引きずり込まれそうになる。ラインが根にやられる前に取り込めるかが勝負になる。必死に踏ん張るけど大概はやられる。やられると同時にバランスを崩した釣り人は後ろにもんどりうつ。
見た目は美しいリーフやけど、実は剃刀の刃をビッシリ敷き詰めた地獄の絨毯で、Tシャツ短パンの軽装では足と言わず腕と言わず皮膚はズタズタになる。布製のウエーディングシューズは歩いているだけでボロボロになる。どんな太い釣り糸使うてもひとこすりでスパッと切れてしまう。どうしょうもない。
そこで思うたことは、リーフからトレバリーを狙うのは邪道やとゆうこと。
なんでかとゆうとルアーをなくし過ぎる。それも半分は魚の口にごっついルアーをひっかけたまま。はっきりゆうてこれは殺戮行為に他ならん。それに気付いて以来この釣りはやめた。GTは船からやるのが正しい。しかし船は酔うし‥‥‥。
仮に船酔いせんかったとしても、あのヘビータックルを一日振り回すのはごっついしんどい。そんな体力はもうない。そこでメッキ。メッキならライトタックルでやれる。おまけにトップに「バシッ!」と出る。ライトアクショントラウトロッド+小型スピニングリール。これやったら丸一日やっても疲れへん。
メッキ(ミニトレバリー)‥‥‥今はこいつの魅力に執り憑かれてる。
24 Nov 1999
水死体‥‥‥
スタンドバイミーという映画の中で、主人公の少年たちが死体を隠すシーンがあったのを思い出した。どういう経緯だったかは忘れたが、あれはどう考えても理解に苦しむ。もしかすると日本人とアメリカ人では死体に対する認識が違うのかも知れない。
小学校を卒業して、中学校へ入学するまでのあいだに長い春休みがある。小学生でもなく、はたまた中学生でもない。なんとも中途半端な身分に置かれる時期がある。自分が何者なのか‥‥‥戸惑いながら過ごす時期だ。
そんな春休み、家から自転車で30分ぐらいのところにある御前浜へ友だちと遊びに行った。広い砂浜の海岸へ出てみると、まだ4月だというのに誰かが海で泳いでいた。近付いてみると、それは泳いでるのではなく死体が浮いているのだった。
父や兄たちの会話によく出てくる「どざえもん」というやつだった。どざえもんは仰向けに顔を出して海面に浮かび、両方の肘を少し上にあげて曲げていた。つまり車を運転するような格好のまま硬直し浮かんでいたのだ。
それまで人間の死骸をいっぺんも見たことがなかった私には、これはかなり衝撃的な事件であった。初めてヒトの死に直面したことで、膝がガクガクと震えた。得も知れぬ恐怖に襲われた。
誰かが通報したのか、しばらくすると警察が来て海から水死体を引き上げた。今思えば、これが警察官を尊敬のまなざしで見た最後だったような気がする。
その日の夜、布団の中で目をつむると、昼間見た水死体がまぶたに浮かんできた。眠ると夢の中に死体が現れそうで、恐くて眠れなかった。ほとんどマンジリともせず朝を迎えた。
明るい朝は昂った神経や恐怖心をやわらげてくれたが、朝食に出ていた焼き魚は食べられなかった。
27 Nov 1999
メッキ‥‥‥
先週、メッキで良い目をしたのでついつい味をしめて今週も四国へ行く。こういうのを「サルする」というのだが、なんと言ってもあの引き味は堪らない。止められない止まらない。
メッキはロウニンアジ、カスミアジ、ギンガメアジ、カイワリなどヒラアジの仔魚の総称で、南の海に棲息するそれらと違って冬になって海水温が下がると死滅するらしい。つまり本州南岸のメッキは越冬しないと言われている。真相は定かではないが「定説」である。
メッキという魚は面白い魚で人に沿わないところがある。同じ海水魚の中でも気難しさは天下一品である。もっとも魚から見れば人は百害あって一利無しの存在であるから沿うの沿わないのと取りざたする方が勝手すぎるのだが、それにしても特異な魚なのである。昨日釣れても今日はパタッと釣れなくなる。目の前にいっぱい泳いでいるのに釣れない。室戸岬の近くまで行って、夜明けから日没まで何百回となくキャストを繰り返したが海は微笑まなかった。
背中の神様はいまだ健在である。
28 Nov 1999
リール‥‥‥
最後のアンバサダーを加古川の友だちにプレゼントしたので、とうとう家からアンバサダーがなくなってしまった。厳密に言うと6000Cという安価なやつがまだ手元にあるが、これは海用でバス用のリールとしてのアンバサダーはすべて私の手を離れてしまった。
一番最初に手にしたアンバサダーは1750Aという赤い小さなリール。25年前に家の前にあった「黒潮」という釣具屋で15000円で売られていた。ショウケースに納まったそれは、他の国産のリールにはない異彩を放っていた。
店のオヤジに頼み込んで1個10000円に値切って2個買う。「2個買うからまけてえなあ、おねがいやからまけてえなあ」と粘り倒したのを思い出す。
チヌのかかり釣りに使うつもりだったが、塩水に浸けるのがもったいないのでバス用に使う。しかし遠心ブレーキの効果もなくバックラッシュを連発する。そのうちハンドルの軸の所に仕込まれたクラッチボタンが2個ともいかれる。修理に出したがまたすぐに壊れる。しかたがないので銅板を切って部品を自作して直してみたがやっぱり壊れた。
その後、気に入ったリールに出会えるまでアンバサダーを買い続けた。憶えているだけでも5000C、5500C、5001C、1500C、2500C、4500C、4600CB、5600A、Mag-1、1000、3500C、1600C‥‥‥重かったり、ギア比が低すぎたり、デザインが気に入らなかったりで、次々に手に入れては手放した。中には釣り場に置き忘れてきたのやら、車ごと燃やしてしまったのもあるが、惜しいと思うリールは1個もない。いや、あえて言うと1500C(揖保川の土手に置き忘れる)が可愛らしくて好きだった。
この前、あこがれの5000Cを手に入れて悦にいる若い釣り人と酒を飲んだ。バッグからそっとリールを取り出して、本当に愉しそうにハンドルを回している。私には微笑ましくも羨ましかった。
道具に関して合理主義を貫いてきたので、古い道具に愛着を持てなくなっている。捨てる文化だと自負していたが、これは間違いであろう。骨董趣味と古い道具を大切に使い続けることはまったく別である。いずれ私にもそういう道具が現れることを期待しよう。
それにしても、アンバサダーを持っていないトップウォータープラッガーも珍しいかもしれない。
29 Nov 1999
巨大魚‥‥‥
石垣島から帰って来た水橋君から
『魚の方が優位にたっている釣りを初めて体験してきました。ゴンゴンといういつものアタリとちごうて、剣道で三段以上の人に面をパーンッと打たれたようなアタリに衝撃を受けました。全部、バラしてきました』
というメールが来た。
北海道のイトウを簡単に釣りあげる男が、南の海の巨大魚に翻弄されて帰ってきたと言う。いったい海にはどれぐらい大きな魚がいるのだろう?
船からクレーンを伸ばして竿にして、ワイヤーロープの釣り糸にドラム缶の浮子を付けて、胴付き仕掛けの鈎の一本いっぽんに子牛を丸々一頭づつ餌にして釣るような魚がいるのだろうか?
テレビでも「巨大魚」はもてはやされる。タイトルがすごい。
「幻の巨大魚に挑む」
「赤道直下に巨大魚を追う」
恐いモノ見たさについついテレビを食い入るように見る。が、あがってくるのは中途半端な中型魚ばっかり。いや、ふつうなら超大型のハタや立派なマグロだが、巨大魚釣り師は
『こんな小さな魚じゃない』
と言い捨てて釣った魚を海に返す。
『ああもったいない、あれで十分なのにぃ‥‥‥』
と、視聴者はだまされつつも息を飲んで見入る。
しかし考えてみるとどうもおかしい。大リーグボール養成ギブスのようなハーネスまで着けているが、竿が短いし細すぎる。どうやらトローリング用の竿のようだ。そんな竿でどんな巨大魚を釣るというのだろう? おまけに餌も子牛一頭ではなくカツオ一匹だ。まったくの素人でもない限り、変だと思わない方が変である。巨大魚は一向に釣れる気配もなく番組はどんどん進む。‥‥‥と、突然こう言う
『巨大魚は最後まで我々の前にその姿を現わすことがなかった』
『残念ながら我々の今回の挑戦は失敗に終わってしまった』
『しかしロマンを求める巨大魚師のあくなき挑戦ははじまったばかりだ』
さらにこう付け加える
『この紺碧の海の下に巨大魚は今この瞬間も生き続けているのだ‥‥‥』
って。
開いた口が塞がらない。
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