Angling Net / Ikasas Ikuy Marvelous World



青野ダムに思うこと

親愛なる大兄
いよいよもって「アオノ」は狂騒地獄化しています
愛すべき「アオノ」が無法地帯となっているのです
土日ともなれば事態はますます世紀末的様相を呈してくるのです
この前の黄金週間がどうであったか想像しただけで寒気がします

湖岸という湖岸には生活ゴミが漂い
ゴミは持ち帰りましょうと書かれた看板の横にはゴミが山積みされ
ブッシュというブッシュにはラインくずが絡みついているのです

ボートを浮かべてはいけませんとマイク広報する横を
アルミボートがエンジン掻き立てて疾走し
ゴムボートやフローターが右往左往しているのです

釣り人がつけた道が湖岸の至る所に網目のようにできあがり
水際は5m置きに釣り人が立ち並び
ルアーのフックを頭や顔や手や足に刺した子どもが
連日三田市消防本部の救急車で運ばれているのです

昼ともなると湖畔のそこかしこで
インデアンの狼煙のごとく肉を焼く煙が立ちのぼり
色めき立った嬌声がとどろき
跡には真っ黒に焼け残った消し炭と
無惨に黒焦げた石とが散乱し
鼻を突く悪臭が立ちこめ
残飯を求めて野良犬が徘徊し
カラスが群をなして空を黒々と染めているのです

夜になってもひと気は引く気配もみせず
湖畔は張られたテントの海となり
ランタンの光が湖面を煌々と照らし続け
酒気帯びた蛮声と
打ち上げられた花火の爆音とが
周囲の山々にこだまし
付近良民の安眠を妨げているのです

朝はまだ明けやらぬうちから
大型四輪駆動車の排気音が響きわたり
駐車スペースを溢れた車が
良民の生活道路を埋め尽くしているのです

またも魚の数よりはるかに多い釣り人が集まってきて
懲りもせず隙間なく竿が林立し
平然と空き缶を捨て
当然とタバコの吸殻を捨て
恥じらいもなく切れたラインを投げ捨て
繰り返される悲惨極まりない状況に
さらに拍車をかけているのです

大兄
これはいったいどうゆうことですか?
人はこんなに自分勝手になれるものですか?
それとも大兄
この釣りを好む人だけに現れる性質でしょうか?
こうして胸が痛いのは私だけではないですね
それはわかっているのです
しかし大兄
何もせずに眺めていられるほど
私は穏やかではないのです

  10 May 1998 Ikasas Ikuy


return to think aloud