Ikasas Ikuy Marvelous World / Topwater Bass Fishing

Smallmouth Bass

スモールマウスバスという魚が殖えている。在来魚種を食い荒らすことは間違いない。漁協は対応に困り果て「釣ったら殺すこと」というおふれを出してしる。

つい先日、初めてスモールマウスバスという魚を1匹釣った。サイズはそれほどではないが、魚体の割に力が強く、華麗なジャンプも見せてくれる。水面への反応も悪くはなさそうである。トップウォータープラッギングの新たな対象魚として見るべきものはある。
しかしラージマウスバス以上に公認されていない。大手を振って釣りが出来ない。しかも「釣ったら殺せ」である。魚を釣って遊んでいる我々はどう理解すればよいのか。

そもそも人は損得勘定だけで生命に値打ちを付けてきた。人間そのもにさえ値打ちを付けてきたのである。ヨーロッパの先進国は、アフリカの人間を無理やり自国に連れてゆき、家畜同然の扱いをしてきたという馬鹿な歴史を持っている。

彼らは世界中の植民地に使い慣れたヨーロッパ産を持ち込み、同時に病原菌もばらまいてきたのである。気がついた時には、生態系など完全に破壊されていたのである。

ステーキを食べるために牛を持ち込み、ワインを飲みたいために葡萄を持ち込み、競馬を楽しむために馬を持ち込み、釣りをしたいためにニジマスやブラックバスを持ち込んできたのである。

それはヨーロッパやアメリカだけではない。日本もお恥ずかしいことを山ほどやってきた薄暗い歴史を持っている。


さて、スモールマウスバスである。やり玉に上げられている。ここで害魚論争を持ち出すつもりはない。人為的に移動させられた魚や動物にとって、それがどれだけ理不尽なことであるかを示しておきたいだけである。

下の表はこの百年間ほどの間に日本に移入された代表的な魚種のデータである。すでに市民権を得た魚もあれば、いまだに害魚扱いをされているものもある。

魚名 移入年 原産地 移入経路
ニジマス 1877 ヨーロッパ アメリカ
カワマス 1902 カナダ アメリカ
ライヒー(台湾ドジョウ) 1906 台湾島 台湾
タップミノー(カダヤシ) 1916 北米東南部 タイ
カムルチー(ライギョ) 1923 朝鮮半島 朝鮮半島
ノーザンラージマウスバス 1925 北米 アメリカ
ブラウントラウト 1930 ヨーロッパ北部 アメリカ
ソウギョ 1943 アジア大陸 中国
アオウオ 1943 アジア大陸 中国
ハクレン・コクレン 1943 アジア大陸 中国
タイリクバラタナゴ 1943 アジア大陸 中国
モザンビークテラピア 1954 アフリカ タイ
ブルーギル 1960 北米 アメリカ
ナイルテラピア 1962 アフリカ西部 アラブ連邦
ジルテラピア 1962 アフリカ北部 アラブ連邦
ペヘレイ 1966 南米 アルゼンチン
レイクトラウト 1966 北米 カナダ
ギンザケ 1970 北太平洋 アメリカ
フロリダラージマウスバス 不明 不明 北米大陸
スモールマウスバス 不明 不明 北米大陸

強い魚食性を持つもの、底生生物や水生植物を食い荒らすもの、交雑種を産み在来種を絶滅させるおそれのあるもの。在来種にとってはすべてが害魚と言える。

釣ったスモールマウスバスは持ち帰って、三枚に下ろして生で食べてみた。極めて美味であった。


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