Angling Net / My Humble Opinion

Rod

トップ屋でもこれだけの竿が要る

■竿‥‥‥
釣りにおいて、竿の果たす役割はどの道具よりも重要である。竿なくして釣りを語ることはできない。ちょっと大袈裟だが。

■リールは必要か‥‥‥
ルアーフィッシングではリールを重視しがちだが、釣り全般からいえばリールは二次的な道具に過ぎない。たとえば、へら釣り、鮎釣り、アマゴ釣り等ではリールを用いないのが普通だ。
もっとも私が子供の頃は、海釣りでもリールは使わず、竹の延べ竿でカレイ、テンコチ、ハゼ等を釣っていた。竿一本分と、それとほぼ同じ長さの道糸の届く範囲にいる魚を釣っていたわけだ。リールは高価だったこともあるが、昔はそれでもじゅうぶん釣れたので、ことさらリールを付けて遠くの魚を釣る必要はなかったのである。時代が進むにつれ、釣り人口が増加した今となっては、リールも不可欠な要素になりつつある。

■釣りには竿を用いない釣りもある
以前、垂水(神戸と明石の間にある港町)の漁師の船に乗せてもらって、ビシマ糸を使ったいわゆる手釣りというのを経験したことがある。スズキやメバルを釣るのだが、まさに魚信が手に取るようにわかる。竿では感じ取れない微妙なアタリまで取ることができた。とても貴重な経験だった。
たしかに効率の良い釣りではあるが、この釣りでは釣趣というものがまったく味わえなかったのも事実である。 もっとも、これは漁である。いかにして多くの魚を確実に捕るかという極め尽くされた方法なのだ。方法論でいえば、「漁」と「趣味の魚釣り」とでは根本理念がまったく違う。プロフェッショナルとアマチュアを同じレベルで語るのは論外である。

■ルアーロッドとは何か‥‥‥
さて、ルアー釣りにおいて、釣り人は竿に何を求めるのだろう。パワーであるかもしれない。あるいは感度であるかもしれない。釣り人にとって竿は自らの腕の一部である。それは切っても切り離せない重要な道具であるはずだ。
竿にはさまざまな調子がある。超ファーストテーパーから超スローテーパーまで。いわゆる先調子、胴調子というやつである。なぜ竿にそういった設計が必要なのか‥‥‥そこには釣り人の欲望が渦巻いている。

掛けた魚をより確実に捕りたい
掛けた魚の引き味をより楽しみたい
ルアーをより遠くへ投げたい
投げたルアーをより自由に操りたい

釣り人はだれも、より魚に近づこうと模索する。そして、より優れた竿を求める。しかし、何かを求めれば何かを捨てなければならない。つまり、それらの欲望のすべてを、たった一本の竿で満たすことはできないのである。
したがって、バスという単一魚種を釣るにも、釣り人は何種類もの竿を持たなければならない。バスの居場所やコンディション、それに応じたルアーに適した竿が必要になってくるのだ。バス釣りも楽ではない‥‥‥とはいえ、それが楽しみでもあるのだが。
ただし、私のような単一な釣り方(トップウォータープラッギング)しかしない者にとって、竿はほぼ一種類あればじゅんぶんである。

■オンリートップウォータープラッギングロッド
掛けた魚を確実に捕りたいという欲望がないわけではない。しかし、掛けた魚の引き味をより楽しみたいという願望の方が勝っている。ルアーを遠くへ投げたいという欲望もないではない。しかし、投げたルアーをより自由に操りたいという願望の方がはるかに強い‥‥‥と、なると、竿は胴調子であるしかない。もし超硬調先調子の竿でトップウォータープラッギングをしたなら、その面白さは半減してしまうだろう。

以下は現在私が使用している竿である。これが完ぺきであるとは決して思っていないが、何かを得るために何かを犠牲にした結果である。


5/8ozクラス用ボートロッド
古いsikariのバットを15cmカットした 5.6ft


1ozオーバー用ボートロッド
新しいsikariのバットを15cmカットした 5.6ft


1ozオーバー用フローターロッド
FC60とスピードスティックのコンポジ 5.0ft


5/8ozクラス用フローターロッド
オールソリッドグラス 5.0ft


陸っぱり専用ロッド
ハトリーズスティック 6.4ft(未改造)


■素材
釣り心地を重視するなら旧式の素材を選ぶことになる。つまり時代に逆行した竹やグラスファイバーである。竹は別として、ファイバーグラスはこの釣りに最も向く。
カーボングラファイトやボロンのトップウォーター用ロッドもある。たしかに軽くて振り心地は良い。しかし、その独特の張りがプラッギングを面白くないもにしてしまっているように思う。
では、グラスロッドならなんでもよいのかというとそうでもない。グラスにも駄目なものがたくさんある。当たり前のことだが、このあたりまで来ると後は好みの問題になる。味覚が千差万別であるのと同じく、釣り味も人それぞれ好みが分かれるところだ。

■十人十色‥‥‥
トップウォータープラッガーが十人集まれば、それぞれこだわりの一本というのを持っているはずだ。そこで、出来ればお願いして振らせてもらうことを勧める。好みのプラグを結んで投げさせてもらうことを勧める。必ずロッド探しのヒントになるはずだ。


2002.4.9


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