The Tio Pepe and Cardinal 33










無題

誰もいないと思っていたら奥に一人いた
遠目にも大きなプラグを投げている
これ以上近づかない方がいいかな‥‥‥
様子をうかがっていると

「釣れますか」

と話しかけられた
外見は恐そうだが声は優しい

「ダメですぜんぜん」
「そうですか、こっちもまったくダメです」
「はははは」

それにしてもでかいプラグ

「オリジナルですかそれ」
「いえ、友人のです」
「2オンスぐらいありますね」
「それぐらいあるでしょう」

そう言うとまた重そうにキャストした
派手な水柱をあげてプラグは水面に落ちた
首を大きく左右に振りながら水に絡んでいた

「いい動きですね」
「ええ、出たらもっといいんですけどね」
「出そうですよ」
「はははは」

何度かキャストを繰り返したが水面は反応しなかった
夕日が大きく西に傾いていた
釣り人の影が長く水面に伸びていた