Angling Net / Lure Museum Nories Domestic Industry "Brower" Length 80mm, Weight 5/8oz 左がノリーズ・ブロワー、右はモデルになったと思われるベイブオレノ。 作者の苗代一夫氏は、1980年代前半、トップウォータープラッギングに大きな情熱を傾けていたアングラーで、当時の私の良きライバルであったと同時に非常にユニークなトップウォータープラグを製作するプラグビルダーでもあった。 本人はまったく別物と言っているが。 2本並べてみると、スタイルといい、サイズといい‥‥‥ しかしよく見るとBrowerの方が思い入れが深い分、マウスカップの彫り込みも深い。 違う点は「目玉」の位置。ベイブオレノが先端両側にあるのに対して、ブロワーは後ろの方に2つ並んで付いてる。ここが「笑える」のである。 わざわざプラグの表情を「まぬけ」にするのがノリーズの最大の特徴なのである。まるでアクビでもしているようなひょうきんな顔、これでバスの警戒心を解きほぐすというのが狙いらしいが‥‥‥。 ダーティングは抜群。しかしポッパーとして使うのもなかなか面白い。素早く手首を返して「ガッポン」と頭を突っ込ませると、ややしてお尻から飛び出してくる。2〜3回繰り返してもほとんど移動していない。 そうこうしているうちに‥‥‥ 「ドッカーン」とバスが出てしまうのである。 現在は塗装もはがれてボロボロになっているが、新品の時はそれはそれは美しいプラグだった。勿論、美しさもさることながらよく釣れるプラグだったことも付け加えておかんとね‥‥‥。 Nories "Brower"で釣った西ノ湖の51.0cm Nories "No Name" Length 80mm, Weight 3/8oz どこかで見覚えのあるカタチ‥‥‥。 アーボガストからクレームの付きそうなデザイン。しかし作者は完璧なオリジナルであると言い切る。勿論異存はない‥‥‥が。 このプラグもやっぱり「目」である。写真では少々分かりづらいが目がクルクル動く玩具人形の目玉を使用している。しかしそれだけではない。「鼻の穴」までちゃんと手描きされている。 このノリーズ家内製手工業のプラグは、まだ日本にバサーが少なかった頃、野池の水面を自由に滑り、軽やかなスパッタリングを奏でたのである。そして必ず「轟音」とともにバスを連れて帰ってくるのだった。 おおらかだった時代を象徴するようなすっとぼけた顔。上品に描かれた鼻の穴に注目。こうゆうプラグで遊んだ日にゃ風呂上がりのビールがサイコーにうまい。 return to lure museum |