Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


2003年 6月 25日 水曜日 1:37 AM

レインボートラウト

まず何よりも先に、この写真を見て欲しい。

な、な、な、何という素晴らしいレインボートラウト!
しゃくれた下顎を持つ、鋭い顔つき。
体高のあるボディは、背中は緑がかり、側線付近になんとも淡いオレンジ色を帯びる。
ぎっしりと敷き詰められた黒い斑点。
そして、言わずもがなのヒレピン尾鰭・・・・・・。

最初は、こんな大物だとは思わなかった。

かなりの水深を有する淵。大場所中の大場所。
ところが、僕は今まで、こういった「如何にも」なポイントで、いい思いをしたことがなかった。
きっと魚は居るのだろうけど、と思いつつ、この日も疑心暗鬼で攻めていた。

このポイントにたどり着いて結んだルアーは、ザウルスのT-REX スーパーシンキング。
6cmのボディに9gものウェイトを背負わせたとてもマニアックなミノープラグだ。
はっきり言って、あんまり好きなルアーではない。
ULのロッドで操作するには、ただ巻きもトゥイッチも重たすぎて、全然面白くないのだ。
ただ、この特殊さが力を発揮するポイントもあるだろうと思い、ボックスに忍ばせていたのだった。

上流に投げ、5秒ほどカウントダウンする。
その後、軽くロッドをあおり、「もぞもぞ」と這うような動きをさせていると、鈍い魚の感触が伝わってきた。

リリリリリリリ・・・・・・
「あ〜!ドラグ緩いドラグ緩い!」
テンションを保つために、必死にリールを巻く。
川底で、ギラギラと光を反射させながら暴れる魚の姿が、透き通った水越しに見えた。
30cmくらいだと思った。

後から思えば、それほど緩くドラグを設定していたわけじゃなかったんだ。
すんなりと近くまで寄ってきた魚体を見て、僕は毎度のパニック状態に突入することとなった。
魚も、本格的な抵抗を始めた。
下流に走ろうとする魚。流れに乗られたらまずい。
ロッドでなんとかこらえつつ、左手は慣れないドラグ調節に従事する。
途中、どっちに回したらいいのか分からなくなる。
緩めなきゃと思いつつ、ドラグを締めていた。
しかし実際は、パワーのある6フィートULも、6lbのラインも、まだ余力を残していた。
僕だけが一人、いっぱいいっぱいだった。

やっとの思いで手にした魚は、素晴らしい魚体を持つ、47cmのレインボートラウト。
写真を撮るとき
顔が引きつって、どうしても微笑むことが出来なかった。
僕はリリースするまで、いや、今もずっと、ただただ圧倒されるだけの釣り人でいます。

今まで、自分が釣った魚をこれほどまでに誇らしく思ったことがあっただろうか?と思います。
釣り上げてから3日経った今も、このレインボーへの思いは増すばかりです。
僕は今、みんなにこの魚を自慢したい。
僕自身のことなんてどうでもいいんです。
これは偶然、まぐれで釣り上げた魚です。

この素晴らしいレインボートラウトと、それを育んだ北海道の川に感謝して。
Thank you for being there!


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