Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


The イトウ釣り

それから約一ヵ月後
目指したのは、僕がこれまで訪れたことのない川。
同行した先輩が、今年そこで84cmを釣り上げ、更なる開拓を目的にやってきたというわけです。
牧場を流れるその川は、川幅こそ変わらないものの
いつもの釣り場とはまた異なった雰囲気。
新鮮な風景の中で、この先どんなポイントが現れるのか期待しつつ、釣り上がる。

例えばこんなポイントも、いつもの川では見られない。
木々が、水面を広く覆っている。
いわゆるオーバーハングというやつ。
ちょうどここは川がカーブしていて、対岸付近が深くなっていた。
隙間を狙い、サイドキャストでスルスルと、ヴァンガードを繁みの奥に滑り込ませる。
きれいに決まった。
僅かな間の後、思いを込めてアクションさせる。

スィ〜〜スィ〜・・・クイクイッ
「ガボッ!」

うぉ!まるでバスのような出方!
がっちりとルアーを咥え込んだ!

イトウのファイトは華麗なものではない。
グイグイ。ドタンバタン。不器用に暴れまわる。
そこがまたイトウらしい。
ギュイ〜ンと走ってジャンプでもされたら
イメージと違うもんな〜。
程なくしてこの魚も、僕の手の中に納まった。

55センチメートル!

いい写真でしょ〜。
イトウの顔って、素朴な感じがします。
荒削りで、けっこうヌボ〜っとしていて。
「ほ〜ほ〜、絶滅ですか〜。
それは穏やかじゃないですな〜。で、誰が?」
そういうところがまた、愛らしくもあるんです。

この時の状況が良かったのか
はたまた釣り場のお陰なのか
実に8匹のイトウのバイトを体験することが出来ました。

ドバッ!と、お得意の突進型バイトを見せるやつ。
回収中、よそ見の間に足元で出たやつ。
そして、浮上する潜水艦のように、静かに浮き上がって来たやつ・・・・・・。
実に多彩なバイトでした。

その中には、水中にプラグを持ち込んだり
実際に数秒ファイトしたやつもいたのですが
如何せん、こっちが慌てふためいてしまい、キャッチには至りませんでした。
こればっかりはホント、いつまでたっても上手くならん。
精進します。

そうそう、今まで全く反応を得られなかったダブルスイッシャーにバイトがあったのも
このときの大きな収穫です。
また楽しみが広がります。

国内最大の淡水魚と呼ばれるイトウ。
十勝川で2メートル10センチという記録も残っているけど
最近では、メーターを僅かに超えた固体が、年に数本あがるだけになっています。
もはやその座は、ほかの魚に取って代わられているのが現状なのかも知れません。

誰が一番か?という話じゃないんです。

人を寄せつけぬ、湿原の川の奥にひっそりと身を潜め
トラウトでありながら、近くを通り過ぎさえすれば、オンスクラスのビッグプラグにも果敢に襲い掛かる。
その姿に、僕は2メートルの片鱗を感じるのです。
イトウとは、そういう魚です。