Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


投げ続けるということ (3/3)

この時期の天気は本当に変わりやすい。

ついさっきまで明るかった空が
いつの間にか、ほんとにいつの間にか暗くなって
同時にパラパラと降り始めた雪は次第に勢いを増し
おまけに風も強くなっていった。
吹雪だ。

昼食の間に状況が良くなれば。
期待は虚しく、相変わらず荒れ模様。
海アメ釣りの間、天気なんてだいたいそんなもんだ。
穏やかだという予報が覆されることはたびたびあっても
その逆はない。

しばらくの間、車中で待機していた僕らも
一日の終わりが意識されると
意を決して外へでた。

吹きつける雪。
キャストの時だけ正面を向いて
リトリーブ中は、横を向いてしのぐ。
まともには前を見られない。
半身に雪が張り付いていく。
溶けた雪が、ダウンの表面を濡らす。

ほんとはバビューンと飛んでいくはずのミノーが
時折、風に煽られてグルグルまわる。
いつまでたっても安定しないキャストフォームのせいだ。
悪態をつく。

辺りはどんどんと暗くなっていったが
僕と先輩はキャストを続けた。
気が付くと、常に人が絶えることのなかった海岸には
ぼくら以外誰もいなくなっていた。

「これで釣れたらすごいぞ!」
そう思っていた。

「もし釣れなくても、やり遂げたという充実感くらいは持って帰りたい。」
そうも思っていた。

ゴツ!グングングングン!

うわぁ〜
き、きぃ〜たぁ〜!!!

足元まで魚を寄せる。
返す波の力を加えて、ロッドが絞り込まれる。
自分も前進し、なんとかその波をやり過ごすと
「今だ!」とばかり
こんどは寄せる波に乗せて、一気に砂浜へずり挙げた。

駆け寄ってきた先輩は
「おれもこれがやりたかった!!」
と言いながらも
興奮し、我がことのように喜んでくれた。

シャープな顔つきと、高い体高を持った
文句なしにハンサムな海アメ。49cm。


わはは〜!


わはははは〜!!!

おしまい