Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


海アメ釣りをした日 (2/2)

昼食を挟んで新たなるポイントへ。

見ると、波も適度で濁りもない。
先行者の話では、ポツポツ釣れたとのこと。
俄然やる気になる。

地形の気になるあたりでキャストしながら
海岸をちょっとずつ移動していく。
しばらくすると
沖目に何となく、ほかとは違う雰囲気の場所が目に入って
ルアーをミノーから28gのジグへと変更した。

スイングキャストでビュ〜ンと飛ばす。
リトリーブはジャーク&フォール。
この時の感じがつかめなくて、ジグには苦手意識がある。
釣り人の中には
13feetのヘヴィロッドに70gものジグを結んで、100メートル
上沖から魚を釣り上げるツワモノもいるというのに・・・・・・。

何投目だったか、ジグが着水し
急いでラインスラッグを取ったその先に、アメマスが居た。
着水後のフォーリング時のバイト。

ひぇ〜!
推定距離65メートル!!!

僕には未体験のその長い距離を
「絶対バラさんぞ!」という気持ちだけで埋めて
最後は打ち寄せる波の力を借りて砂浜へとずり上げた。
41cmという長さは決して大きくはないけれど
アメマスという魚の魅力が存分に感じられる
素晴らしいプロポーションの一匹であった。

残念ながら写真がないので、昨年の春に釣った
同じくナイスコンディションのアメマスの写真です。
これは40cm弱の魚。

その後は、気分よくキャストを繰り返す。
予想外にポカポカとした陽気になって
足元で波が砕けるたびに、小さな虹が出る。
こんな日のサーフは本当に気持ちがいい。

と、リトリーブするミノーの後ろに
50cmはありそうなアメマスの姿をとらえた。
喰らい付く瞬間が目に入る。
反射的にロッドをあおる。
かすかに魚の重みを感じたあと、ふっと抵抗がなくなった。
早アワセ。痛恨のミス。

ぶわっと、全身を駆け巡るものがある。
さっきまでの上機嫌とは一転して
このままじゃ終われん!感で頭がいっぱいになる。

どうやらその場所は魚が溜まっていたらしい。
その後も何回かアタリがあった。
しかし、僕はそれをことごとくキャッチし損なう。
乗らない。
乗っても強烈にグネグネされてバラす。
「このままじゃ終われん」
と呪文のように唱えながら釣りつづけるも
やがてあたりは遠のいて行く。

そのまま夢中になって2時間ほど経つと
やがて僕の心持ちも変わってきた。

まあこれもいいじゃないか。
魚を釣る喜びを味わった。
逃す悔しさも味わった。
夢中になってキャストし続けた。
久しぶりに釣りに来て、釣りらしい釣りが出来た。
それだけで十分だ、という気になった。

ところが!
まだチャンスはあった。
恥ずかしながら
それは僕が諦めの言葉を吐いたその瞬間にやってきた。

「来ないな〜。」

ゴン!

「よっしゃ〜!」(←切り換え早っ)

慎重に慎重に取り込んだその40cmの海アメで
この日の釣りは完結した。

帰り支度を終えた後もホワホワした喜びの余韻が残る
そんな釣りだった。
しばらく僕はとてもおおらかな人間だった。