Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


ブラックバスが釣りたくて 2006初夏 (4/6)

"TopWaterBassing"

ここへ来て一番したかった釣りがこれ。
大きな入れ物の中に漕ぎ出して
アシや、ゴロタ際へとキャスティングを繰り返す。
ベイトロッドの先に結ぶのは、最も使い応えのあるオンスクラスのトップウォータープラグ。
その相手になるのは40cm以上のバスだ。
魚の様子を伺いながら、ルアーを変え、アクションを変え、ポーズのタイミングをはかり
ルアーが水中に引き込まれる瞬間に臨む。

けれどここは風の影響を受けやすい釣り場で
フローターならまだしも
本格的に吹いたらゴムボートはひとたまりもない。
だから僕たちは、風の弱いだろう朝イチを狙って
睡眠欲との激しい戦いの後
ついに起き出してポイントへと向かう。
それでもやっぱり風には苦労させられたけど
結果的には半日、水面に浮かんでいられたからラッキーだった。
凪いでいる間はフローターとゴムボをロープで繋いで
フローターの動力で岸際を流していくことが出来た。

待ちに待った初バイトは
釣り始めてから2時間ほど経った頃に来た。
「こういうとこで出るんだけど」
などと言いながら
アシの密度が薄くて、奥まで投げられるそのポイントにペンシルベイトをパシャリと投じ
ちょっと待ち
ピラッピラッピラッピラッと
クイック&タイトにウォーキングさせたところをモシャっとバスが吸い込んだ。
「よっしゃー!」
叫びながらリールを回したけれどロッドに重みは伝わってこなかった。

逃したけれど、このバイトが貴重なのだ。
この釣り場はポイントが均質的
だらだらと同じようなシチュエーションが続くから
一匹の反応があったら、それがもう一匹に結びつきやすい。
俄然テンションがあがる。

それでもすぐに連発とはいかない。
今年はやはりまだ本格的なシーズンには遠いようで
さらにここ最近の冷え込みもある。
先のバイトもおとなしかった。
移動距離の少ないタイトなアクションにしっかりとポーズを入れること
そんなことを意識する。

ビビッドなレッドヘッドのプラグが
まばらに生えた葦の一群れと付かず離れず
水面を押し切るように、右へ左へボディをすべらせ
今度はちょっとおとなしくなって
クイクイと身をよじらせたところで、とつぜん
もわんという波紋と共に視界から消えた。

ぶわっと体じゅうの血が沸き立つのを感じる。
反射的に「よっしゃー!」と声が出る。
ロッドが魚の重みをとらえる。
今度は乗ったぞ!
巻け巻け巻け〜〜〜〜!
うわー必死に巻きすぎて魚がどこ行ったか分からん
いたいたいただいぶこっちまで寄ってるぞー
走る走るみぎ方向へ
ロッドを反対に倒すんだけどこの竿さばきが下手くそでよくバラすぞおりゃー
よかったーまだついてるついてる 「ごぼう抜き!」
後ろでぽーるの声がするそりゃいいアイデアだ抜き上げたれ〜!

「とった!」

このバス釣りは、最初のこの一匹がすべてだったと言っても大げさじゃない。

興奮した。
いっぱい叫んだ。
ハーハーフーフー声が出た。
ハンドランディングなんてそっちのけだ。
掲げる理想はそれとして
まだまだまだまだ生臭い釣り人だ僕は。

ぽーるさんが操るモブス。
ペラをほとんど回転させないまま
クイックイックイックイと首を振る。
そうやってパラ葦の間を通り抜ける・・・・・と
ぐわん!と魚体をぎらつかせて
横からプラグに襲いかかる姿が目に入った。

ナイスな出方!
けど、このバスが手に収まることはなかった。
ファイト中にバレた。
「気持ちわる〜!」
そう言ってしばらくジタバタしたあと
自分の不甲斐ないファイトの反省を
情けない笑顔を浮かべながら口にするぽーるさん様子を捉えたのが上の写真。

手元まで寄せたバスが
顔を水上に出して、もじもじ、ひくひくしている。
僕からのお願いは二つ。
口を開けてください。
と、ジャンプしないでください。
バスのジャンプする姿は見事なれど
今は何よりもこの手でバスのアゴを掴みたい。

願い叶わず、魚が飛ぶ体勢に入った。
僕もそれを察知して気を引き締める。
ひだりの手に握ったロッドを高くホールドして
ラインが緩んで針が外れるのを防ぐ。

あとで写真を見ておどろいた。
めちゃくちゃびびってる。
大きくのけぞった体、
その右手はなんなんだ・・・・・・
動物として完全に負けてしまってるじゃないか!

「バイトの瞬間から素人になる」と、
もう何年も前にそう言われたのだけれど
残念ながら進歩した様子は見受けられない。
写真では、一転して得意気な表情を浮かべている・・・・・・。
サイズは42cmくらい。
長くはないけれど、よく太ったいいバスだった。


to 5/6