Angling Net / Story of Great Topwater Plugs

Heddon Zara
奇才・ドクター山本のザラ2

山本さんのタックルボックスからザラ2がゴロゴロ

昔は投げて浮かべてるだけで勝手に釣れるルアーや言うてみんなでバカにしてたザラ2。誰でも2つや3つは持ってるけど、10個も20個も持ってる人は珍しいよ。コレクターやないねんから。

この前、「ぎょうさんあるからちょっとあげるあわ」と、持ってきてくれたザラ2が5つ。「こんなぎょうさんいらんよ」‥‥‥と断ったけど「いっぱいあるねん、えんりょせんと使てんか」‥‥‥て。

もちろんこのザラ2はひと昔前のザラ2。今のザラ2とはちょっと違う。(詳しくは「昔懐かしザラ2のラトルサウンド」で)
切れ味のええ首振りが生み出す波紋と、ちょっと大きめのラトルサウンドが静かな湖に響いて‥‥‥これでよう釣らんかったら「ヘタコ」呼ばわりされる。

山本さんとは何百ぺんもバス釣りに行ったけど、あんまり色んな種類のプラグを投げる人ではなかった。だいたいビッグラッシュか、このザラ2で一日を過ごす。
その割にはタックルボックスには種々雑多なルアー満載で、そのほとんどが未使用に近い状態やった。そのくせ「あらゆる状況に対応せんといかんからね」というけど、どんな状況なんやろ。

しかも、ダブルフックにして使うことが多い。「魚のかかりはそうかわらんから」という。わざわざダブルフックに換えることは少なく、ほとんどクリッパーでトリプルの1本を切断する。
今から思うと、あれはバスに対する労りというより、ブッシュに突っ込んだときの回収率の良さを重視してたんちゃうかな。キャスティングが得意とは言えん山本さんならではの工夫やったと思うよ。

それに、繊細に見えてその実、山本さんは邪魔臭がりなとろがある。ザラ2は移動が少のうてその場で小さく首を振るタイプ。移動が少ないということは、ヨシ際なんかのゴミを拾いにくい。山本さんはどうもその辺のトラブルが大嫌いなようで、ゴミがからみやすいダブルスイッシャーはまず使てるところを見たことがない。必然的にザラ2やビッグラッシュユウォーカーになる。

山本さんは「晩秋の湖は釣りにくい」という。枯れ葉が漂うかららしい。大きく滑るタイプのペンシルは、ちょっとしたゴミがフックに絡んでも動きが変わる。その点ザラ2はゴミがフックに絡んだままでもけっこう動く。

リザーバーでも、岬の突端など水通しの良いゴミの付着しにくいポイントが好みのようで、ワンドの奥などは無視。湖の外ヅラで、大きな餌を待ち伏せしている大きなバスを専門に狙う。
「デカバスを釣るためのいわゆるひとつのタクティクスや」という。ただし、山本さんが大きなバスを釣っているところはほとんど見た記憶がない。

面倒なことは御免というズボラなトップウォータープラッガーご用達。難しいロッドワークも不要。ウェイトもたっぷりあって直飛性能に優れたザラ2。トップ入門用としては最適なプラグやね。