Angling Net / Topwater Bass Fishing



 

トップウォータープラッギングの聖地のこと

西の湖‥‥‥正しくは「西ノ湖」と書く。

もし、バスフィッシングがこれほどメジャーな遊びにならなかったなら、私は今もここでうつつをぬかしているにちがいない。

初心者の頃からトップウォータープラッギングにこだわっていた私にとって、西の湖はまさに聖地であった。
「琵琶湖」や「池原ダム」では味わえない面白さがここにはあった。小規模ながら「うま味を凝縮したような湖」‥‥‥といったら分かってもらえるだろうか。

初めてこの湖を釣ったのは1982年の春。

その頃の西の湖には、トップウォータープラッギングを楽しむためのすべての条件が揃っていた。

つまり‥‥‥広大な葭原と入り組んだ水路。
淡水真珠貝の養殖棚。オダ。乱杭。沈船。
布袋葵、蓮、菱などの水性植物群。
真冬でも12℃の湧水を絶えず供給する流入河川などなど‥‥‥
人造物と自然とが見事にマッチして、申し分のない条件を提供してくれていた。

西の湖でトップウォータープラッギングをやるにはゴムボートやフローターのような小さな乗り物が最適だった。

ときどき大きなエンジンを積んだバスボートが琵琶湖から長命寺川を上ってきたが、彼らはおそらく西の湖本来の釣りができなかったと思う。平均水深2m。葦原を切り開いて作られた狭くて複雑に張り巡らされた水路。それらすべてが大きなボートの侵入を阻んでいた。