Angling Net / Topwater Bass Fishing





最後の楽園

1983年頃から、私は琵琶湖で釣りをしていた。
その頃の琵琶湖にはバサーは皆無で、一日中釣りをしていてもルアーで魚を釣っている人に出会うことはなかった。今の状況からは想像し難いけれど。

1オンスクラスのトップウォータープラグで、40〜50cm級のバスが1日に50〜100匹釣れた。「釣った」いうより「釣れた」という感じだった。

湖面で出会うのは年老いた漁師だけで‥‥‥

『何を釣りよる?』
『バスです‥‥‥』
『ほう、ハスかい』
『いえ、バスです』
『ん‥‥‥?』
『釣って見せましょか』
『おう』

ザラを投げると、すぐに40cm級が飛び出してきて‥‥‥

『こんなんです』
『わしはここで五十年漁師やっとるが‥‥‥見たことないな』
『よかったら食べてみませんか』
『おう』
『うまいですよこの魚』

これは1987年頃の安曇川河口付近で実際にあった話である。
その頃、琵琶湖ではバスはまだ一般に知られておらず、五十年も漁をしている漁師ですら未知の魚だった。