Angling Net / Fly Fishing Today

>゜))))彡  by Yasunori Sakagami  >゜))))彡

■其の九

秋も深まり、朝夕の通学が肌寒くなってきました。10月下旬の出来事です。

「そろそろ、釣り収めかな?」

そう思えるほど日は短くなり、「穴場」のブラックバスも活性が下がっていました。しか し、その日は、よく晴れて、無風。気温もここ数日より暖かい絶好の釣り日和でした。
こんな日を私が見逃すはずがありません。さっそく”穴場”へ向かいます。農道を抜け て、例のフェンスが見えてきます。驚いたことに休日にもかかわらず、へら師達の高級セ ダンが停まっていませんでした。

「こんないい日に貸し切りだなんて、なんてラッキーなんだろう。」

顔も思わずニヤけつつ、竿を出します。無風で水面は鏡のように滑らかです。思ったとおり、ちょっと渋り気味ながらも小バスがアタックしてきます。私は、いつものようにサイトフィッシングにうち興じました。

釣りを開始した時間が割と遅かったので、時刻は4:00を過ぎていたと思います。この時間になると薄暗くなり、冷たい風が水面に傷跡をつけ始めます。釣りを続ける私も肌寒さを感じました。ちょうどその頃、先ほどからあまり魚影を見なくなったので「最後の一匹!」と思って池の東にある林の切れ目のポイントで粘っているところでした。

「!?」

葦の生えてる向こう岸の浅瀬から、30cmはゆうに超えてる魚が2匹こちらに向かっ てゆっくり進んでくるのが見えました。もし、バスであったら絶好のチャンスです。以前、 へら師の言ってた言葉が脳裏をかすめます。とりあえず、フライをキャスト。
しかし、ちょっと興味を示したもの、普段使ってるマラブーストリーマーは何事もなく 手元に戻ってきました。残念。しかし、例の大魚2匹は間近に迫ってきました。距離は約 2m。

「やややっ!間違いなくバス。しかも3匹もいるじゃない!」

ここで私は、フライを変えることにしました。半分冗談で作った、5cmもあるマラブ ーストリーマーです。震える手でラインに結び、再びキャスト。沈んでゆくフライに一匹が興味を示しました。私がクイっとアクションを与えると、そいつは

「ぱくっ」

っとフライを食べました。

「よっしゃーーっ!」

すかさず、アワせ。 しかし、むなしくフライは水面に昇ってきました。フックアップしなかったのです。私の目には、バスが

「ペッ」

とフライを吐き出したように見えました。

痛恨〜!!。


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