Angling Net / Fly Fishing Today

>゜))))彡  by Yasunori Sakagami  >゜))))彡

■其の十

地上のサルが盛り上がってるのを知らずか、魚達は距離1mまで近づいてきました。ほ とんど足元です。
サルは気付かれるのを恐れ、木になったふりを試みました。絶対気付かれちゃいかんのです。小手先だけでフライを操作してみます。しかし、もう、私のフライを 「あやしい」と思ったのか無視されつつあります。絶望的な状況の中、ふと、私は魚の数が一匹減っているのに気付きました。正確にはこちらから見えない深さに潜っているようです。

「こちらが見えないのなら奴もこちらが見えていないに違いない。」

そう判断した私は、足元にいる2匹を無視して、もう一匹が潜っていったと思われる、ポ イントにフライを落としました。
フライが視界から消えて、アクションを加えようとした瞬間、グググっと強い引き伝わっ てきました。
フライではかつて味わったことのない強い引きです。弾力のあるフライラインを伝ってグイグイ手元に伝わってきます。魚がデカいため水面もうねります。
魚が走るたびにラインを出し、強烈な引きがゆるむたびにラインをたぐり、魚の疲れを待 ちました。ティペットが太かったせいでしょうか。ビギナーズロッドの潜在能力のせいでしょうか。いつもの数十倍の魚がかかったにもかかわらず、意外にも楽にランディングに成功しました。


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