Angling Net / Trout Fishing
越中五箇山庄川の遅い春 (1/3)
桜花爛漫‥‥‥山の春はいま始まったばかり
春を釣りに山へ行く。しかし北陸の山溪は今始まったばかりの遅い春。三月の豪雪が時期を狂わせている。川は雪代で青白く太い。
岩魚が釣りたい‥‥‥
岩魚は深山幽谷の友と言う。町の釣り人の手の届くところにはない。そこが魅力なのか、常に憧憬をもって釣ることになる。町の釣り人にとって、岩魚が一匹釣れたらその年の釣りはほぼ完結すると言っても過言ではない。岩魚とはそういう魚である。
今回は「Only RayTune」でいく。スプーンもスピナーもフライも使わない。レイチューン渓流用ミノーだけが頼りの釣りである。
去年からオーダーしていた分が間に合わない。そこで急きょR上原が普段使っているものを送ってもらう。つまり実証済みのプラグである。
問題は「雪代」に勝てるかどうか。この一点に絞られる。地元の釣り人は「雪代がとれるまで川には行かない」と言う。しかし遠来の釣り人にとって、川の濁りや雪代は選択条件に無い。ここまで来たら釣る以外に方法はない。
岩魚の川、T川へ行ってみて驚いた。
いつもはチャラ瀬の連続だが、轟々と流れている。二倍三倍の太さで流れている。岩の上を跳んで渡れる川がこの有り様である。岩は完全に沈没している。
地元の釣り人が川に入らない答えがここにある。
打ち込んだミノーが一気に流される。どこをどう泳いでいるのかさえ掴めない。まったく太刀打ちできない。まさにお手上げである。
川を上ったり下ったりしながら瀞場を探す。
未舗装路を走っている途中、右のリアがパンクする。雨の中でタイヤ交換。手が油と泥まみれになる。岩魚一匹に難渋させられる。しかし苦痛ではない。
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