Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


アメマス再挑戦記

釧路まで来たあたりで、予報通り雨が降り始める。
強行日程で、思う存分釣りが出来るのは今日一日だけだというのに
何で狙い済ましたように降るかな〜。
気温も5度までしか上がらないし、釣り人には辛い。
活性があがってくれるのなら歓迎だけど
どうなんだろ?

仇相手は上りのアメマス。
海に下っていた固体が
春になって川へ戻ってくるところを狙うわけです。
釣りをするのは、川幅約60メートル、最深部が2メートルくらいのポイント。
潮の影響を受け、水位や流れの強さが変わります。
道東らしい湿原河川で、足元からそこそこ水深があって、足場もドロドロしてる。
清涼感、なんて言葉には縁遠い釣り場です。
それがこの地の自然の姿なんです。

こんな感じ

ロッドの先に7cmのミノーを結わえ、第一投。
釣れる気マンマンで引いてくる・・・・・・不発。
第二投、三投、四投、五投・・・・・・不発。
おかしい。
魚はたくさんいるはず。
スレてない朝は、ルアーにバンバンアタックしてくるはず。
あーでもないこーでもない、と色々試すうちに
周りの仲間達に、ポツポツ魚が掛かり始めた。

こーなるとまずい。
奇妙な感覚が僕を支配していく。
焦りと、ワクワク感の複雑に入り混じった感覚。
こういうとき、僕は釣れた試しがない。
かと言って、簡単に払拭できるものでもない。
しばらくはスパイラルにはまることになる。

僕がこの地ではじめてのアメマスを手にしたのは
それから3時間ほどあとのことだった。
5cmのミノーを、精一杯クロスにキャスト。
と、流れ込む小さな川を挟んで
仲間のひとりがアメマスをヒットさせた。
そちらに目を奪われている最中に、あろう事か
僕のルアーにもアメマスが襲い掛かったのだった。

38cm

うれしかったし、ほっとした。
けれど、このアメマスがミノーに喰らいついた瞬間
トゥイッチしていたのかただ巻きしていたのか
速く巻いていたのか遅く巻いていたのか
僕には全く思い出せないのです。
それまでに、高い集中の元で繰り返されてきた
無数のキャストがあるっていうのに・・・・・・。
喜びつつも、心のどこかでまだ納得し切れていない自分がいることに、僕は気がついてしまう。

少量ながらも確実に降り続ける雨と、低い気温で
時折、体がガタガタと震える。
「一度休憩して、温泉行かな〜い?」
そんな仲間の誘いを、僕は無視した。


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