Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


2003年 8月 10日 日曜日 10:05 AM

The イトウ釣り

釣り場に近づくにつれ、車の窓から見える外の景色が
次第にその険しさを増していく。
辺り一面が、木々と、人の背丈以上もある熊笹などの植物に覆われている。
「鬱蒼とした」という形容が、まさに当てはまる情景。

僕は胸の高ぶりを覚える。
それは、これから始まる釣りへの期待感であり
道中降り続いた雨の影響を心配する気持ちであると同時に
そのあまりの自然に対する畏れでもある。

約半年ぶりに、大好きな川へとやってきたというのに
親近感を感じることはありませんでした。
遭難することもあるかも知れない。
ヒグマと鉢合わせになることもあるかも知れない。
そこを流れる川には、イトウが住んでいて当然のように思えます。

この地へ訪れれば
イトウが生息しているという事実と
それが幻の魚であるという事実を、実感として感じることが出来ます。

「イトウはべつに幻じゃないっすよ。」
そう言ってしまった方々、訂正します。
僕らは単に、特殊な領域に足を踏み入れているだけなんです。

これらは、ただ先輩に連れられて来た去年には、感じることの出来なかった事柄です。

川が特殊であれば、そこでの川歩きも特殊。
ハイレベルなヤブ漕ぎが体感できる。
高い草が茂っていて、数メートル先の仲間の姿を確認するのも難しい。
中でもやっかいなのが熊笹で、非常に強いため、進むのにかなり苦労を強いられる。
何度も転びそうになりながら、前へ進む。

一方で、段差をよじ登るときにはこの熊笹が役に立つ。
鷲掴みにして体重をかけても
折れたり、根がはがれたりすることがない。
もし、近くに手ごろな熊笹が見つからないときは
つま先で泥の斜面に足掛けを作る。

川の底質は、基本的に泥。
ズボズボと足が埋まっていくこともあれば
ツル!と、足元をすくわれるときもある。
滑ったときには思わず
「ぅあっ!」と、ヒジョ〜に情けない声が出る。
釣り場に笑い声が響く。

これら一連の川歩きがなかなかハードで
最初のうちは、かなり体力を消耗しました。
慣れれば、ある程度マシになるけれどキツいことはキツい・・・・・・。

ご承知の通り、狭い川で
ロッドを思い切り振れるスペースもない。
となると、キャストは必然的にピッチング、サイドハンド、バックハンド主体になってくる。
タックルも、ラインコントロールのしやすさで、ベイトタックルに分があると思う。

上の写真、めっちゃあやしい格好してるけど
この虫除けネットがないと釣りにならない時があります。
ただ、僕のは安もんで、帽子の部分が薄っぺらいゆえ、オデコを蚊に刺される。
オデコへの虫除けスプレーが必須。

蚊は、こちらが一箇所に留まっていると、わんさかと群がってくる。
よってルアー交換は、いち早く事を済ますためにスナップを使いたいところだけれど
ナイロン直結スタイルを尊重したいから我慢してる。
露出した手へ、入念に虫除けを塗り
そして、効果の薄れを感じ次第塗り直せば、だいぶ予防は出来る。

とある先輩はこれを怠って、以前
両手を数百箇所!刺されたことがあるらしい。
「その時は、『蚊に刺された』と言っても、誰も信用してくれなかったんだよ。」

僕にとっては、これら全部ひっくるめてイトウ釣りです。
こういう状況で釣る魚だからこそ
一匹を手にしたときの感動は大きく
またその一匹に対して、出来るだけ心を震わす釣り方をしたいと思うんです。


‥‥‥その2へ