Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


TopWaterPluggin' at North Fields (2/4)

あれほど僕らをわずらわせた蚊は
そのほとんどが、姿を消してしまっていた。
隆盛を誇っていた熊笹も、徐々に枯れ始めている。
1ヵ月半ぶりのイトウ釣り。
その間に、ここまで季節が変わってしまったのかと思うと
北海道の短い釣りシーズンが実感されて少し寂しい。

今の時期
川の上流部にはカラフトマスが上がってきている。
大き目の砂利が敷き詰められた浅瀬には
あちこちで、水面から突き出るセッパリが目に入る。
そしてそれを狙って
ヒグマも川原をうろつくようになるらしい。
実際この時も、普段よりずっと多くの足跡を発見した。
熊鈴を鳴らし、熊笛をピーピー吹きながら川を上る。
風で木々が揺れる音を聴いても
ついつい、ビクッとして、耳をすましてしまう。
もともと、僕は非常にビビりやすい性格なのです。

この日最初のイトウは
川が大きく曲がって作り出した深みから姿を現した。
ルアーはお決まりのVANGUARD。

「でたー!」
そう叫びながら、思わずロッドをあおる。
何の手ごたえも感じられない。
マズった。そのまま止めておくべきだった。

間髪入れず、次のキャストをする。
クイ・・クイ・・クイ・・クイ
最初のスケーティングアクションとは対象的に
ゆったりと弱々しく首振りさせる。
と、再びイトウがルアーを襲う。
勢い余り、体全体を水面に出して喰らい付いてきた。
今度はばっちりフックアップ。
2度目のバイトを誘い出し
それをフックアップ出来たのは収穫だった。

55cmだったけど僕の手から逃亡!

イトウをトップで釣っていると、今回のように
バイトと同時に水上に姿を現すことが多い。
それはバスのようにルアーを「吸い込む」のではなくて、「咥え」に来ているからじゃないかと思う。
しかも、隠れ家から一気に突進してくる。
その頃合を見計らって然るべきアクションをすれば
フックアップ率は上がるんじゃないだろうか?

去年、VANGUARDに8回のバイトを得ながら
僕は一匹も釣り上げることが出来なかった。
それは、早めの連続スケートばかりさせていたからじゃないのだろうか?
8月に釣ったイトウは、スケートから、幅の短い首振りに移行させた時に食いつき
Wフックだったのにも関わらず
フロントにがっちりフッキングしていた。

憶測は広がっていく。まだまだ経験が足りな過ぎる。
第一、僕はあわせがとても下手くそなのだ。
けれど、「食うのが下手」と運任せにしていたイトウのフッキング率を、技術次第で向上できるかもしれない。
そういう期待感が生まれつつある。

イトウ釣りに限ったことではないけれど
ポイントを一番先に攻める人は断然有利となる。
過去に僕がバイトを得たポイントも
「一番乗り」がほとんどだった。

上の写真のポイント、川幅が狭くなったのちに広がり
深い水深を有している。
僕らはじゃんけんをして、公平にキャストの順番を決める。
(一人だけ釣ってるんだから譲れよ、という話だけど。)
僕が勝った。
Muddy WatersのBed Bugをキャストする。
次に仲間がラパラのジョイントミノーをキャスト。
最後にもう一人が、スピナーベイトをキャスト。
全員反応なし。
半ば見切りを付けながらも、もう一度僕のキャスト。

このBed Bugというプラグ
もう廃盤となってしまったらしいが
久しぶりに使ったらとてもいい感じに思えた。
操作性と不規則さのバランスが絶妙で
狭いスポットで様々なアクションを仕掛けることが出来る。
カタチと表情が魅力的で
顎のプレートも格好良い。

そうして、Bed Bugのアクションを堪能していると
「あ、カラフトマスだ。」
仲間が言う。
その指差すポイントに目をやった直後

ドバッ!

激しい捕食音が響いた。
驚いて振り返ると、Bed Bugのあった場所に
大きな波紋が立っている。
急いであわせたが、一瞬重みを感じた後に
あえなくバレてしまった。

このポイントに来て4投目。
三種のルアーを通した後に
イトウが僕のプラグに襲い掛かった。
それも、トップで反応させずらいと感じていた
深さのある縦長のポイントで。
どうやらイトウには
僕が想像しているよりももっと複雑な事情があるらしい。

これら2匹のイトウは、貴重な経験をもたらしてくれた。
イトウのトップウォータープラッギングの世界が
ぐんと奥行きを増したように思えた。
Bed Bugで釣れなかったのは悔しいけれど
十分楽しんだし、満足した。

しかし、イベントはまだ終わらない。



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