Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


2003年 12月 26日 金曜日 2:53 AM

海アメはじめました (1/3)

日本海に面した海沿いの道を走る。

トンネルを抜ける。
看板に目をやる。
海の様子を窺う。
電光掲示板に表示された風速をチェックする。
うっすら雪の積もった路面のカーブを
少しの不安と共に曲がる。

ああ、昨シーズン、何度も通り過ぎたこの道のり。
見慣れた風景に、かつての僕を支配していた感情が
心の底からふっと浮き上がる。
それは少し複雑で、決して心地いいものじゃない。

10釣行でたったの1匹。そのうち半分が泊まりの釣り。
それが昨シーズンの海アメの釣果だった。
バラシも一回だけだったように思う。
途中からはほとんど意地になって通い詰め
一匹釣った後も、これと言ってコツを掴むわけでもなく
ひたすら、ボーズ記録だけを重ねた。

そう言えば、春が近づいて、久しぶりに行った根魚釣りや
実家に帰省しての気軽な釣行が
無性に楽しく感じられたっけな〜。
だから、今年のイトウ釣りが終わったときは
来年の春がとても遠くに思えた。
そこにハイシーズンと同等のワクワクがあるとは
今の僕にはお世辞にも言えない。

それでもとりあえずは行ってみるわけで。
あの大海原から
たくましく成長したアメマスを僕の手元まで呼び寄せる一連の過程を想像すると それは確かに魅力的なのだ。
それに、負け犬のまま逃げ出すわけにもいかない。

久々に、海岸に立ってキャストする。
今日は暖かく、波は穏やかで風も無い。
とても心地よい日だ。
キャストの動作全てがうまく調和して、ミノーがバビューンと飛んでいくと、それだ けで気持ちがいい。
と、まだ初めて間も無いうちに隣で声が上がった。

「こうきさん、きました!」
驚いてそちらを見ると
後輩のヨコヤマのロッドが弧を描いている。
な、なに〜〜〜〜!
こ、こいつ、俺があんなに苦労して釣った魚を・・・・・・!

多くの邪念を心に抱きつつ様子を見守る。
意に反して、ルアーは魚を捕らえたまま波打ち際まで戻ってきた。
が、しかし、ついに姿を現したその魚は海アメではなく
ホッケ。

おめでとうヨコヤマ!
心から君を祝福しよう。


‥‥‥その2へ