Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


投げ続けるということ (2/3)

久しぶりの釣行。
3月という響きに寄せた僕と先輩の期待は
車から出てすぐに打ち破られた。
寒い。とっても。
しばらく釣りに行っていないせいで
体が甘えているのかとも思ったけれど
後から聞くと、この日の最低気温は−9℃だったらしい。

よいしょー!
と気合を入れて仕度を済ませ、海岸に立つ。
釣りを始めさえすれば、弱い風にも助けられて
寒さに震えることはなくなった。
(ガイドは凍っていた)

ここで2時間ほど粘るも、反応がない。
周りの釣り人も同じようだ。
肝心の釣れる気も失せてきたので
朝食をはさんでポイントを移動する。

サーフにおいて、どんな要素を拾ってポイントを選ぶべきか、僕はよく分かっていな い。
ただ、渓流釣りなどをしていると
トラウトが「ここまでしか追わないぞ」と決めたラインの存在を感じることが多くて
さらに、それはだいたい地形の変化によるものなので
ここでも僕は、なるべく足元からえぐれた所を選んで釣る。
(そうそう、一昨年オショロコマ釣りをした時に
ラインなどお構いなしに
背中が水面から出てもなおルアーを追いかけ続けて
そんなオショロの姿が可笑しかった。)

投げては巻き、投げては巻き
しばらく反応がないとポイントを移動する。
繰り返すうち、ついにチェイスを確認した。

リーリングに変化をつけながら巻いてくる。
近くまで来たところで、ルアーが波に押されて浮き上がる。
水面下で点滅するようなミノーの動きが目に入る。
と、その後ろに、
黒いラグビーボールのような影を捉える。
すぐに波打ち際だ。
とっさに、チョン、とロッドアクションを加える。
ゴン!

しかし、その重みに反応し切れず
ふっとテンションが軽くなった。
悔しい気持ちもありつつ
一ヶ月以上ぶりのバイトに興奮する。

その後、再び足元近くでヒットさせるも
今度は砂浜へ引き上げる最中にポロっとルアーが外れた。
小さい!
けど今年初めて写真が撮れる!
そう思った直後にバレた。

この時点で昼前。
日暮れまでは時間があるし
失いかけた自信が少し湧いてきて
僕には余裕があった。


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