Angling Net / North Fields Report



written by kouki yoshida ........ it is inserted with the original.


23 Jun 2004 22:09

僕らのイトウ釣り (1/4)

今年最初のイトウ釣り。
バタバタして大した心構えも出来ないまま釣り場へ行くと、案の定、圧倒された。

自ら蚊柱の一部となって川を上る。
もちろんそれはユスリカなんかではなくて
スキあらば血を吸ってやろうと、常にこちらを牽制する蚊やブヨの群れだ。
チクリを痛みを感じた時にはもう手遅れで
しばらくすると、かゆみがむずむずとわいてくる。
入念に虫除けを塗りなおす。
小さなブヨが時おり
防虫ネットの網目をかいくぐって侵入してくる。
言い知れぬ苛立ちと共にそれらをつぶす。
襟元で締めたネットの裾に、死骸が散乱する。

泥の斜面をよじ登る。
頼りになりそうな、若すぎず、そして枯れてもいない熊笹を探して、身を託す。
手ごろな熊笹がなければ
つま先で地面を蹴って足場を作ったり、
ロッドを置いて手をついたり、
いつ崩れるか分からない足元に気を配って、自分の体重を様々に分散させながら進んでいく。
気が付くとウェーダーも手も泥にまみれて
手入れしたばかりのリールからは、シャリシャリと耳障りな音がしている。

こんな状況であっても
そのうちそれを、幻の魚が生息するポジティブな要素として受け入れて、釣りに没頭できてしまうのだから
僕らもなかなか大したものだなと思う。

今年最初のイトウは、思いもよらぬ瞬間にやってきた。
川の真ん中辺りまでヴァンガードを首振りさせて
「もうこないな。」
と、回収をはじめたその時。
スッと、水中にダイブしたプラグをイトウが襲った。
ドタンバタンとお得意のファイトを見せたあと上がってきたのは、頭でっかち、
ちょっとスリムな体つきの60cm。

久々のイトウにしばし見とれる。
武骨でたくましい体つき。
どことなく愛嬌のある表情。
やはり僕は、この魚を一番釣りたいと思う。

それにしても・・・・・・なんと不本意なプロセス!
なんとも贅沢な話だと自分でも思うけど、こだわっている分、悔しさが残る。

そんな中、去年感じた興奮をよみがえらせる出会いもあった。

自分の立つ位置から15メートルほど上流の対岸。
その付近だけ、コーヒー色の水が濃さを増して
深みとなっているのが分かる。
バックハンドでルアーを投げ込む。
スプラッシュをあげながら、ショートスケートさせる。

ジュ・・・ジュ・・・・・、「ドッパ〜!」

激しい水しぶきと共に、高く跳躍するイトウの姿。
これまでに見たこともないくらいのジャンプだった。
あたまから尻尾まで全て丸見え。
実際はそんなわけないのだけど
印象としては、1メートル以上、跳ね上がったように思えた。
もちろん、のらず。

この日、一緒に釣り上がって
ランディングや写真撮影なんかを手助けしてくれたのが
一つ上の先輩、通称おいどんさん。

(外道のウグイを恨めしそうに見るおいどんさん)

普段は、水産学部の函館キャンパスにいて会う機会も少ないけれど
一緒に釣りをすると、ヒジョーに楽しい。
たぶんそれは、おいどんさんが
ほんとうに釣りが好きで
誰が釣った魚にも賛美を惜しまず
自分の中に基準を持って
いつも変わらない素直な姿勢を、魚釣りに対して持っているからじゃないかと思う。

簡単に言うと、「凄い釣りバカ」ということかな〜(笑)。
「凄い釣りバカ」と釣りをすると、自分の釣りまで豊かになるのかも知れません。たぶん。
おいどんさん、またよろしうお願いします。


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